糖尿病の薬でガンになるってほんと? | 群馬県安中市の地域に密着≪あやこまごころ診療所≫院長女医あやこ先生のブログ

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群馬県安中市磯部に≪あやこまごころ診療所~糖尿病・ダイエット・予防接種・訪問診療~≫医療情報・診療所の様子・プライベートな事などを書き綴っています。

こんにちは、糖尿病専門医の原田文子(はらだあやこ)です。

2017年春を目標に、群馬県安中市で≪文子まごころ診療所(仮)~内科・小児科・漢方・ダイエット~≫を開設準備中です。

 

 

糖尿病の薬の中で≪ピオグリタゾン(商品名アクトス、アクトスOD)≫というのがあります。食事や運動を頑張っておられて、他の糖尿病の薬を飲んでいてもなかなか血糖コントロールがうまくいかない…といった患者さんにとって、強い味方となるお薬です。日本では1999年に発売され、糖尿病患者さんでこの薬を飲んでいる方も多いと思います。(今は他の薬の台頭もあり、だいぶ減りました。)

実は、このピオグリタゾン…膀胱がんが増えるのでは?とまことしやかに言われているのです。動物実験を含め、人間でのいくつもの研究で≪膀胱がん≫との関連が報告されています。その結果をふまえ、フランスやドイツではピオグリタゾンは販売中止となっています。

 

今年3月British Medical Journal誌という著名な医学雑誌において、14万人での解析で

ピオグリタゾンを飲んでいたグループは膀胱がんの発症が多かった

という結果が示されました。しかしなんと、下の根が乾かぬ半年後に全く同じ医学雑誌で

ピオグリタゾンと膀胱がんは関連がないという相反する結果が示されたのです。

 

ピオグリタゾンと膀胱がん論争については、まだきちんと決着がついていないのが現状なのであります。
 

私、個人的には・・・極力この薬は処方しないようにしています。例えば、前の病院からずっと飲み続けている患者さんに対しては<この薬は膀胱がんのリスクが高まると言われていますが、飲み続けますか?>と確認するようにしています。

『この薬は私にはとても合うので、これからも飲み続けたい』とおっしゃる患者さんも中にはいます。

 

ピオグリタゾンを飲んでいる糖尿病患者さんは、主治医と良く相談し納得した上で服用を続けるか否かを考えてみてほしいと思います。

 

良い薬、効く薬、と思われていた薬であっても、副作用が強く出る場合があるのです。私たち医師側はどんな情報であっても包み隠さずに患者さんにお伝えしたいものです。

 

Ayako Harada