「さくらのやつ、一体どこほっつき歩いてんだ?」とは、帝劇支配人、米田一基。
「さくら君のことだから、心配いりませんよ。」とは、帝撃隊長、大神一郎少尉。
2人とも、さくらの「上官」に当たる。そして、大神は、さくらの「恋人」でもあり。
さくらが「別世界」にいるとは夢にも思わず。2人して大川を遊覧していた。
所変わってこちらは江戸。歌舞伎町。相変わらず、さくらが元の世界に戻れる方法が見つからないまま。
一週間が過ぎてしまった。一週間もすれば、お互いの事が結構分かって来る。
さくらと銀時達の場合もそうだった。
「さくらぁ~。悪いけどちょっとお茶入れてくんない?」
「「そんなん、自分でやれ。」」と言う子供たちに対し。さくらは二つ返事で了承する。
「はい、お茶ですね?ちょっと待ってて下さいね、坂田さん。」
「だから~、銀さんでいいって。もうこれ5回位言ったよね?」
「でも・・年上の方に銀さんなんて失礼ですから。」生真面目と言うか。融通が利かないというか。
そして、結構泣き虫で意地っ張り、加えて少々頑固な所もある事を銀時は見抜いていた。
真撰組の面々に聞いた所、大川には別段、不審な所はなかったと言う事だった。要は。「分からない」。
さくらに聞いても、気付いたら大川のほとりで寝ていたというし、さくらがウソを言っているとは思えなかった。
皆目見当もつかないまま、春の一日はゆっくりと過ぎていく。
「さくら。あんまり焦ってもしょうがないヨ。銀ちゃんが調べてくれてるから、ゆっくり待つアル。」
神楽はそう言って笑って傍に座る。その笑顔は。アイリスと似ていた。
「ええ。そうね、神楽ちゃん。あたしは、待ってればいいのよね。」
「そうですよ、何日かかるかわかんないけど・・・。銀さんが今調べてくれてますから。」
その何日が、一体いつになるのか、そして、自分は本当に帰れるのか。
さくらは、自分では分からないほどに焦り、また嘆いていた。
その事を知ってか知らずか。銀時は重い腰を上げて屯所に向かっていた。
新たな情報が入ったのだ。
「もしこれで戻れる方法が見つかったら・・・あいつ帰っちゃうんだよな・・。」
なんだか帰したくない。そう考えてしまう。銀時自身、それが「恋」とは知らずにいた・・・。