「・・・という訳なんです。あたしは、大神さんを迎えに行きたいだけなんです。あの、ここから銀座までは・・。」
泣きそうな目で見上げてくるさくらに、少し動揺した土方は、とりあえずその「元凶」になるかもしれない銀時を
訪ねる事にした。そうでなくても、信じ難い事に見舞われているのに、これ以上の騒ぎはごめんだった。
「あー、さくらっつったか?とりあえず、万事屋のばかに保護してもらおう。あいつならなんか知ってるだろ。」
さくらは、そんな暇はないと断ったが、いかんせんこの世界(と言わざるを得ない)で知っているのは、
その銀時という男だけだ。もしかしたら、すぐに帝劇に帰れるかもしれない。そう感じた。
「て・・・。いねぇし!たく、あいつ等どこ行ったんだ?」
「そういえば、仕事があるからって言ってました。」
「仕事・・・?ああ、そういえば今日は桜祭りだったな。神社か。」
さくらを連れ、神社へ向かうすがら、沖田に逢った。彼は神社の警備もとい、交通整理に駆り出されていたはずだが。
「総悟・・・。てめぇまたサボったな。」
「人聞き悪いですぜぃ土方さん。俺がなめてんのは土方さんだけでさぁ。そん位分かれよ、土方の癖に。」
沖田はさくらに気が付くと、すっとんきょうな声を出した。
「土方の癖に、こんなかわいい姉さんとデートかぃ、生意気なんだよ土方の癖に。」
「癖に癖にうるっせぇんだよ。大体、生意気なのはお前だろ。」
「あの。」土方は沖田を前に出した。
「こいつは沖田総悟。俺の一応部下だ。」
「沖田でさぁ。あんた、もしかして旦那の言ってた人かぃ。」
「そのバカ銀時はどこにいる?」
「あっちで屋台の手伝いしてますぜぃ。」とにかく、銀時と逢わなければ。そして、早く帰らなければ。
「旦那ぁ。さっき言ってた人、来ましたぜぃ。旦那に用があるらしいや。」やっぱりさっきの男だった。
坂田銀時。そういう名前だった。
「あの。さっきはありがとうございました。えっと、あの。仕事を依頼したいんですけど。」
「あー。さっきの。何?怪我でもしてた?賠償金なら払えないよ?」
「いや、ですから仕事の依頼に来たんです。」
一瞬の沈黙。そして、銀時がやっとという様に声を出した。
「え?仕事?ここじゃなんだから、俺んち行こう。詳しい話聞くからさ。神楽ぁ。新八ー。お客さんだよ。」
呼ばれて来たのは、2人の少年と少女。2人ともまだ10代前半だろうか。
「ほんとですか銀さん。あれ、土方さん。依頼人って土方さんですか。」
「マヨが私達に何の用ネ。言っとくけど酢コンブならやらないよ。」
「誰がいるか。そうじゃなくて、こいつの依頼を受けて欲しいんだよ。」
「とにかく詳しーくお話を聞くから。先に俺んち行って待っててよ。すぐ行くからさ。」
言われて土方と万事屋銀ちゃんに訪れ、彼等が帰ってくるのを待つ。
さくらにはそれがとても長い時間に思えてならない。
早く帰りたい。それだけが彼女の思考を支配する。
10分ほど経った時、銀時たちが帰ってきた。
新八が茶を出し、さくらにいすを勧め、銀時が仔細を話すよう促す。
さくらは土方や近藤に話した内容を、詳しく話して聞かせた。
話した後、
「信じてくれないかもしれませんけど。」と付け足して目を伏せた。銀時の反応が怖かった。