イリスを守るために魔法を使ってしまったヴェルト。
一方のアルクは、食堂に向かっているようです
今回も安定の妄想でゆきます(^^ゞ
アカ「開幕!」
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第7話〈惨状〉
アルク「やれやれ、係の仕事がこんなに長引くなんて…。
ヴェルト怒ってるだろうなぁ…いや、怒りはしないか。でもあれは裏では怒ってるのか…?」
そんな独り言を呟きながら、アルクは廊下を小走りして食堂へ向かっていた。
待ち合わせ場所にヴェルトがいなかったからだ。アルクが遅れると、ヴェルトはいつも先に食堂へ行く。
アルク(もうちょっと待つことは出来ないもんだろうか…)
そう思いながら廊下を曲がろうとしたとき。
ズウゥゥン…
という音と共に、突然地響きが起こった。
バランスを崩したアルクは壁に手をつく。
アルク「な、何だ!?地震…いや違う!」
音が聞こえたのは食堂の方向からだ。
火元で爆発でも起こったか、それとも天井が落ちたか―――
アルク「そうだ、食堂にはヴェルトが!」
嫌な予感がしたアルクは、食堂へと走った。
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食堂の入り口にはすでに沢山の野次馬が集まっていた。
アルク「おいっ、そこ通せ!」
なんとか間をくぐって食堂の中へ入る。
同時に、アルクは愕然とした。
目の前に広がっていたのは、
半分が無惨に崩れ去り、
瓦礫の山となり果てた食堂。
アルク(やっぱり爆発が起きていたのか!?しかし、何でこんな爆発が…)
崩壊しているのは厨房とは反対側。
爆発が起こるような物は何も無いはずだが…
困惑していると、横から聞き覚えのある声がした。
「…なせェ…離せェっ!こンな所ぶっ潰シてやる!全部消し炭だァっ!」
アルクはハッとして声の主を探し、絶句した。
その声はヴェルトだった。
否。
その形相はヴェルトのそれとは全くかけ離れたものだった。
ヴェルトは数人の衛兵に羽交い締めにされ、いつもの雰囲気からは想像も出来ない奇声を上げながら逃れようともがいている。
アルクはその光景に見覚えがあった。
アルク(ああ、魔法を使ったのか!でも何で…)
恐らくヴェルトは魔法を乱発して食堂を吹き飛ばしたのだろう。
しかしヴェルトは“こう”ならないために、魔法を使うまいと自制していたはず。
相当な理由がない限り魔法を使うことは無いのだ。
――ということは。
アルクは、食堂の隅で床にへたりと座り込んで俯く少女を見つけた。
その人物にゆっくりと歩み寄る。
後ろでは衛兵達が、暴れるヴェルトをなんとか押さえ込みながら外へと連れていく。
アルクは少女の前まで来ると、低い声で話しかけた。
アルク「…原因はお前だろ、イリス。」
その声に反応するように、イリスの肩がびくりと震える。
その様子に、アルクは呆れたようにため息をついた。
アルク「どうせいつもみたいにかんしゃくを起こしたんだろう。そしてヴェルトは君を庇った。
全く、これで分かったんじゃないか?君が周りに迷惑をかけて」
そう言いかけたものの、アルクの口は動くのを止めた。
顔を上げたイリスを見たのだ。
顔は真っ赤になり、目からは大粒の涙がボロボロとこぼれ落ちている。
イリスが泣くのを見るのは初めてだった。
アルク「えっ…えと…、イ…イリス」
声をかけようとした途端、
イリスは立ち上がると、
ダダダッ
と一目散に走り去っていった。
誰もいなくなった食堂に、外で集まっている野次馬の声だけが響く。しかしアルクにその声は届かず――
――イリスが走っていった方を向きながら、ただ呆然と立ち尽くしていた…
To be continued...
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シロ「アルク、誰もお前を愛さない!!」
アルク「orz」
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