ちょっとおすすめ本 「罪の余白」 芦沢央 著 | ココアラテぷらす、ときどき読書

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子宮筋腫発覚!どうなる私!?
2019年にステージ0の乳ガンが発覚しました。(5月20日に手術しました)
婦人科と皮膚科と外科にも定期的に通院してます。

高校生の娘が、学校の校舎から転落死した。

大学で心理学を教えていた講師の父親である聡は、一体、娘の身に何が起きたのか、信じられず、呆然とする。

自分がもっと娘のことに気を配っていればー。

そんな最中、娘の仏壇にお線香をあげたいとやってきたのは、娘をいじめていた当人である咲だった。

そして、咲は「日記か遺書か何かなかったんですか?」と問う。

娘のパソコンにもしかして、何か残されているのかもしれないと思い、思いつくパスワードを片っ端から入力してみるものの、失敗。
しかし、とある数字を組み合わせたら、パスワードのロックが開き、web上にはいじめられていたことが記されていた。

それを見ていた咲は、聡が本当の自分を知ったら身の破滅と思い、その日記をなんとか消せないかと画策する。

果たして、日記を削除するのが先なのか。

それとも、聡が本当のことを突き止め、娘を死に追い詰めた少女に復讐するのが先なのか。

ここに心理戦が開幕する。

 

第3回野生時代フロンティア文学賞受賞作となります。

後書きの選評で小説家の池上さんがおっしゃっていたように、小説の中で出てきた熱帯魚の「ベタ」が生かされていなかったことが悔やまれます。

そして、聡を慕って、娘を失った彼を世話していた同じ大学の教室の早苗の、人の心を汲み取れないと自分自身で思い、アスペルガー症候群や高機能自閉症ではないかと検査をしたものの、陰性だった彼女の「特性」があまり登場しなかったことにも、触れていましたが、私もそうだなぁと感じました。

ミステリーとは言い切れず、なんだか不安定な上に成り立っていた小説というかなんというか。

読後の後味はいいです。(結局は娘が亡くなったことについては翻らないのですが)

咲のどこまでも自分勝手な行動にちょっとイラッとします(笑)

自分が美少女であることは鼻にかけず、ひたすら芸能人になりたい、いや、自分がなれないはずはないと思い、いじめていたことに悔いもせず、自分「だけ」が助かる道を模索していた彼女。

そんな咲に振り回されていた、同じく死んでしまった加奈をいじめていた真帆は、自分の容姿を気にして、咲に依存していましたが、結局は彼女も同じ穴のムジナかと思いきや、加奈の残した(咲が罠を仕掛けて、彼女が加奈の筆跡を真似して、机に書いた遺書でした)遺書を読み、そこでいじめていたことを悔い、涙を流します。

そんな彼女を消そうとしていた咲。
どこまでも自分勝手というか、なんというか。
ぶっちゃけていえば「今時の少女」というか。

文庫になったということは、評判が良かったのかな?
時間がある方は読んでみてもいいのかもしれませんね。

 

 

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