ドイツの深刻な教員不足&社会の闇について思うこと1 | 「言葉のノート♪」フルート奏者 塚本絢加の音楽日記

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„Noten“ ノーテンはドイツ語で音符、楽譜の意味があります。残り少ないヨーロッパでの海外生活の様子や、日々思うことを、“言葉の楽譜“として気の向くままに書いていきたいと思います♪
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昨日、無事に家具や荷物の搬送が完了しまして、

なんとかザルツブルクのお家も片付いてきました😅




大型車で一気に運べましたが、

ものすごい筋肉痛に苛まれています、、





今日はドイツの教育、教員システムについて個人的に思う事を書きます。




教育史の授業の中でテーマに上がったのですが、


ドイツでは急激な移民増加による指導教員の不足が、深刻な社会問題になっています。




教員は社会的地位が高く、

労働時間も短め、

労働条件や給与も最高レベルのはずなのに何故?



と疑問に思ったのですが、

どうやら教師になるための過酷で長期間にわたる養成課程に原因があるようです。




(1段階目の国家試験で修士号及び2科目以上の専門科目の取得が必須、2段階目の国家試験前には18ヶ月の実習が科され、最短でも免許取得に6年半かかります。

ただ、よほどの天才でない限りそれは不可能で、みんな8〜10年程度費やすそうです。大学入学が20歳前後なので、働き始めるのが30手前に。)





 この教員免許システムが、

教師志願者数の減少と7分の1以下という圧倒的な卒業率の低さの大きな一因になっています。


特に非接触系で高収入が得られるIT系職種に人気が集中するコンピュータサイエンス分野の専門教員の不足が深刻過ぎて、満足に授業を行う事が出来ない学校も少なくないそうです。





今後国を挙げて改革を行う事、

又は他業種からの転職システムに賛成か否かで議論を行いました。



音大の器楽教育科ですら、大変な試験が多いのですが、通常の教員養成課程はまず外国人には不可能といえる内容でした。


試験の時期になると、

「今回こそ単位を取得しないと退学になってしまう、、」という深刻な会話を必ず耳にします。





また、教育課程の学生の親は約半数近くが教員・教育従事者で、かなり経済的に裕福であり、

長期の就学に理解のある家庭が殆ど、とのデータがあります。



授業がハードであまりアルバイトができないので、

みんな国からの就学助成金と親の仕送りで生活していて、いくら学費が無料に近いと言っても、それを何年も続けるとなると結構な負担になります。。



ドイツは大学の学費がほぼ無料で、

特殊な専攻を除くと入学試験がないので、一見すると門戸が平等に開かれているように見えます。




しかし、実際はそこに至るまでの教育に大きな格差が生まれており


(休暇が多く、義務教育の授業時間も13時ころまでと短いので家庭学習や体験学習の差がつきやすい)、


大学入学資格取得のための試験を突破して、

かつ希望の学部に進めるような好成績を得る事が出来るのは、


親の教育的関心が高く、

経済的にも文化的にも豊かな家庭の学生なのです。



結局トータルで見ると、富裕層が一番、高等教育無償の恩恵を受けているのです。



つづく。