小町物語１から読んでね
わかりやすく現代語で書いてあります☆
笛吹きであるあの方は、その笛の音で、私のこころに花を咲かせてくれたのでした…。(初めての出逢いは私が13歳の頃です)
幾年過ぎた頃でしょうか。
私は、私の側近である女官に、あの方へ文を渡してほしいと頼みました。
【明日の夜、川のほとりの大きな桜の木の下で待っています。】
私は生まれて初めて、このようにドキドキ、そしてワクワク、胸が張り裂けそうな気持ちを経験いたしました。
その夜、笛吹きである方は、川のほとりにある桜の木の下へと姿を見せてくれました。
月夜輝く、素敵な夜でした。
私よりも早く木の下へ、そして笛を吹き待っていてくれたのでした。
私は、笛の音を聞きたいがためにしばらく木陰に隠れ、笛の音を聞きながら、笑顔こぼれ、
ワクワクドキドキと胸を高鳴らせていました。
それ以上に「会いたい会いたい」と思う気持ちが勝った瞬間、歩き始めました。
あの方は、私の姿を感じた瞬間笛を吹くのを止めました。
あの方は、私へ一礼、
私も笑顔で一礼。
本当に月夜の光のみ照らす中、あの方の姿……とても美しゅうそして輝いておりました。
ろうを灯すと、誰に見られるかもわかりませんからね。
(あの方)「突然の文、とても驚きました。ありがとうございます。」
(小町)「私の方こそありがとうございます。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
互いに見つめ合い、川の流れるせせらぎ、そして月夜の明かりの中、沈黙の時間が流れました…。
私は嬉しくて嬉しくて、しばらく言葉も出ませんでした。
(小町)「そなたの美しい笛の音を聞かせて下さい。」
小町座り込む。
あの方、笛の音を奏でる…。
とても美しい笛の音、桜の木の下、月の輝く夜、私は、心からあの方を愛しく思い、恋に落ちた…のでした。
(小町)「明日もこの木の下で待っています。」
(あの方)うなずく。
明日も会う約束を交わし別れた初日でありました…。
私は、あの方の優しく美しい笑顔、そして笛の音、心から愛しく思い始めておりました……。
続く
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