あれから2週間
チェギョンの容体は順調過ぎるほど順調に回復していた。
本人曰く、
「私はクラス中が風邪にかかっても一人元気に学校へいくわ、そんな私がいつまでも寝込んでいるなんてらしくないじゃない?」
そんな言い分…クラスの皆が休んだら学校は休みになるはずだが…
そもそも怪我と病気は別次元の問題だ。
まったく的を得ていない会話も真剣に熱意を伝えてくる彼女。
表面上はすっかりいつものチェギョンであると確認し自然と笑みがこぼれてしまう。
「あっ、なにがおかしいの? シン君」
「ゴホンッ、いや別に…」
口元に手を当てひっそりと笑っていたのにチェギョンに指摘され急いで引っ込める。
ベッドの上で体を起こし退屈そうに本を広げているチェギョンは俺の笑いを訝しんでいるようだった。
「ほらっ、少し休め」
そっと布団を直し睡眠へといざなうがすでに2週間もの入院生活に飽き飽きしているチェギョンはなかなか休もうとしない。
ふと寂しげな表情を見せたチェギョンが呟く。
「犯人見つかりそうなの?」
「いや、証拠になるものがなにもなくて…まだ憶測でしかないよ」
俺はチェギョンに事件のあらましを話すか随分悩んだが、自分の身の危険を知らなければいざと言うとき身を守れないのではないかと思った。
もちろん、俺は全力で守る。それは変わらない。
ただチェギョン自身も危険を知って自分を大切にして欲しかった。
チェギョンを失うかと思った恐怖は、もう2度と味わいたくなかった…。
だからすべてを話して聞かせた。
さすがにショックだったのかしばらくは涙が止まらなかったけれど、今日は落ち着いていた。
「館長の調べで犯人らしき人物チェ・ジチャンの息子が最近パク・テヒョンの息子テウクと頻繁に連絡を取っていたみたいだ。帰国を阻む者との繋がりも見えたがそれだけじゃ捕まえられない」
「そっか…」
テウクは父親に似ず有能で野心を持っている…と館長が話していた。
「やっぱりシン君のお妃にふさわしくないのかな…私は…」
「俺の妃はお前だけだ。周りがなんと言おうとお前だけだから」
「でもっ! 私のせいであのおじさんがっ!」
また思い出してしまったのか急に涙で溢れるチェギョンの瞳からは不安や恐怖、自責の念、色々な感情が押し寄せてきていたたまれなくなる。
チェギョンと共に事故に遭った領事館の職員は未だ意識が戻らず、医者の見解ではいつ意識が戻るか分からないそうだ。
チェギョンは自分が命を狙われている事よりも何よりもその事に心を傷めていた。
俺はベッドに横たわるチェギョンに覆いかぶさるように抱きしめそっと耳元で囁いた。
「言っただろ、お前のせいじゃないって。それに運転手のおじさんも言ってたんだろ?
国民は帰国を喜んでるって、もっと自信を持て。それに前にお前が言ってただろ?
皇太子は韓国国民の誇りだって」
「…うん」
「あれ、嬉しかったんだ。妃宮様も韓国国民の誇りだよ。だからそんなに泣いてないで、帰国の時
泣き顔でいいのか? ほらっ笑顔の練習しとけよ」
「…うん、ありがとう」
明日にはマカオから韓国へと移動する。
まだなにも解決していない状況だがまずはチェギョンの身を安全な所に移す事が先決。
証拠は見つけられないが敵は見つかった。
事件の真相はうやむやだが犯人の背後にある真実は見えてきた。
相手の手駒を捕まえても解決はしない。
すべては韓国に戻って…そこから始まる。
ひと際輝くその星は今にも零れ落ちそうなほど輝きをためている。
その星に呼応するかのように空一面きらきらと星が瞬いていた。
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