「怪我は……なさそうだね。良かった。これからはお互い気をつけよう、それじゃ」
それだけ言って立ち去ってしまった。
彼の言う通り気をつけなくっちゃね。
気を取り直して歩き始めようとしたらまたも後ろから黄色い歓声が飛んできた。
声の主はヒスンとスニョン。
「きゃーー、彼ってパク・シウォンでしょ? こんなに間近で見れるなんて~」
「かっこぃぃ~~」
「流石『貴公子』あの笑顔がたまらないわ~」
「なにそれ?『貴公子』?」
ヒスン達からの情報だと彼の名前はパク・シウォン。
どうやらこの大学の中でもかなりの有名人らしい。
音楽学部のピアノ専攻で国内外を問わず大きなコンクールで表彰されているほどの腕の持ち主。
『韓国音楽界の貴公子』なんて呼ばれているんですって。
確かに笑顔はかっこよかったけれど……、カッコイイというよりむしろ優しく愛嬌のある顔立ちで、可愛いっていう言葉の方が似会う感じ。
背も男の子にしては小柄な感じだし、私と同じくらいかしら?
そんなに騒ぐ程の事なのかな?
なんてヒスン達に言ったら、
(妃宮様は毎日殿下とご一緒ですもの、あ~んな殿下が側にいたら目も鈍くなるでしょ!)
ですって、シン君の方が何倍もカッコイイと思うけどそれは私の欲目なのかしら?
まぁそれは置いておいて、色んな人がいるのね大学って。
ピアノで有名な人だったらシン君に聞けばわかるかな?
普段クラシックなんて興味はないけれど、こんな風にお近づきになれたから少ーしだけ関心を持った。
そろそろ授業の時間だ、そのまま私達は教室へと向かう。
胸躍る初授業はどんなものかしら?
足取りも軽快に廊下を突き進んでいった。
一方
「シウォン」
「あれ、姉さん。めずらしいね大学で会うなんて」
「探してたのよ、それよりどうしたの?楽しそうな顔しちゃって」
「いや、さっきね妃宮様に会ったよ、今日から登校だって聞いてたから近くでみたくて、わざとぶつかってやった」
「ふぅん、そう。で? 感想は?」
「まぁねぇ~」
「何よそれ、まぁいいわ。わかってると思うけど、まだ時期じゃないんだからあまり目立つ事しないでよね」
「わかってるって、それより姉さんの用事はなんなの?」
「あぁ、そうそう……」
降り注ぐ日差し、空には数えるほどしか雲はない
けれどもその二つの厚い雲に太陽が覆われると
辺りを闇が支配し始めていった
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
Next → Ep8の⑥
参加中であります、励みになります。よろしければ1日1ポチッとしてください。

にほんブログ村