私はといえば特別にあげる恋人も居なければあげたいと想う人すらいない。
それではなんだか寂しすぎるから一応女の子らしくチョコだけは作ってみた。
当然パパとチェジュンには失敗作を、ちょっとだけ良く出来たのはガンヒョンたちに…いわゆる友チョコって奴ね、それを渡した。
わざわざあげたってゆうのにヒスンたら…、
「失敗作はいいからこのまともな奴をよこしなさいよ~どうせあげる人なんていないんでしょ?」
なんて言うのよ?
来年ヒスンにあげるチョコには隠し味に唐辛子でも入れてやらなくちゃ!
それにしても高校2年にもなってチョコを渡す相手すらいないなんてちょっとヤバイ……。
形だけでも隣のクラスのジュノに渡してみようか?
あいつ結構カッコイイし。
それか先生に賄賂として渡す?
それも良い案よね。
それとも……。
「キャッーー! 殿下が登校されたわ!!」
あの黄色い悲鳴の中心にいる人物、この国の皇太子殿下は今日も重役出勤みたいね。
あぁ、彼に渡すって手も?
ダメダメ!!
そんな事したらあの黄色い連中にもみくしゃにされてとろけたカレーになるのがオチよ。
結局私はこのチョコの有効な活用法を思いつかずふところにしまったままだった。
放課後、今日も長い一日がようやく終わり気分よく家路につこうとしていたらガンヒョンからお声が掛かった。
「ちょっとチェギョン、あんた本命チョコは誰に渡したのよ。教えなさいよね」
チョコ?
チョコ……チョコ……チョコ……チョコ!
「ない…チョコがないわ!」
「えぇ?! んとにドジなんだからっ」
「確かに昼休みまでは持ってたのよ?…さては誰かが私のチョコ欲しさ…ィテッ!」
「おバカな事言ってないで諦めなさい。あんたには縁が無かったの。精々カッコイ~イ王子さまが拾ってくれる事を祈るのね」
「あははチェギョンらしぃ~最初に私達に渡さないからよ!」
「なにおーそう言うあんたたちこそ皇太子に渡せてないんでしょ? 私が食べてあげるわよー」
そう言って私はヒスンとスニョンからチョコをひょいっと盗むと教室中を逃げ回る。
鬼ごっこの始まりだ。
「たかがバレンタインじゃない、何をそんなに熱くなってるのよ…」
いつも通りクールに決め込んでいるガンヒョンだけど私は知ってるの。
あの鞄の中にちゃーんとチョコが入っている事。
こうなったらガンヒョンも道連れよ!
私はガンヒョンから鞄ごと奪い去ると素早くそれを取り出した。
「じゃぁこれはなーに?」
「それはべ、別に…」
「じゃ食べちゃおーっと」
「あっ!ちょっとチェギョン待ちなさい!!」
「「「こら、待てチェギョーーーーン!!」」」
バレンタインなんて大っ嫌い!
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