「アロンソンの不貞の法則」は、自分のことをよく知っている人から褒められるよりも、よく知らない人から褒められた方が嬉しく感じてしまう…という認知バイアス(様々な理由で認知が歪んでしまい、事実を正しく認識できずに不合理な認知をしてしまう傾向)による心理法則です
親密ではない相手からの褒め言葉は、客観的に受け取られやすく、納得できる好意的な言葉として嬉しく感じるのです。
一方、親密な相手からの褒め言葉は、内集団バイアス(身内びいき)がかかり、誇張されたものだと認識しがちです。そのため、納得感が足りず、素直に受け取られにくくなります。
ある日のとある企業のカウンセリング室で。
カウンセリングにいらしたAさんから「この後、私の部下が体験カウンセリングを受けに来ます。その時に、先生から彼にこういうことを伝えてほしいのですが・・・」と言われました。
Aさんの意図することが理解できたので承知しました。
その後、Aさんの部下の方がカウンセリング室にいらっしゃいました。
その方の話をお聞きした後に、私は「Aさんから〇〇してほしいと指示があった時は、〇〇だけをすればいいと私は思います。それ以外のことをしないからといって、Aさんはあなたのことを気が回らない奴だななんて思わないと思います。あなたの能力を高く評価しているからこそ、Aさんは○○の仕事をあなたに任せているのではないでしょうか」とお伝えしました。
その方は、「実はAさんからも同じことを言われてたのですが、本当にそうなのかな?と疑う気持ちもあって、納得がいかなくて不安だったんです。でも、先生にそう言って頂けてすごく納得がいきました。今後は安心して〇〇の仕事に専念します」とおっしゃいました。
笑顔で退室する彼を見ながら、上司のAさんはとても頭の良い方だなと思いました