絡新婦の理 | aya風呂

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ちょっとまた書いてみようかな(´u`)

ひとつの事実に複数の物語。
無関係に見えた事実がつながっていたり、重要な信念が無意味な勘違いだったり。
レギュラーメンバー次々全員集合、過去の関係者たちも登場し、二三冊の作品を一度に読んだかのような手応えがあった。
これは、前作「#4鉄鼠の檻」と同時期に発生した事件の話。

「#1姑獲鳥の夏」で京極の果たした役割について、関係者から批判がなされ、京極自身も自分の哀しみについて語る場面があった。かえすがえすも#1を先に読んでおくべきだったと思った。
#2匣、#3狂骨ともうっすら関係があり、京極レクチャーは宗教、民俗学、占い等に加えてLGBTと、ますます立体的になってきた。

 

榎さんいいね( •̀ᴗ•́ )و ̑̑


男女の別と云うのは最早単なる性差ではありません。我我が男らしい女らしいと口にするとき、そこにはもう性差を越えた価値判断が発生している。(中略)
人間は誰しも男性性と女性性の両方を持ち合わせているのです。これは均衡の問題で、そのどちらの度合いが強いか、どちらが顕在化しているのか、そこで個人差が出るに過ぎない。女性性の強い男性が劣っている訳でもないし、男だから男らしくて当然だと云う決まりもない。それは、ある特定された場所と時間――文化の中でのみ意味を持つだけです。(中略)
時代による洗脳――呪いのようなものなのです。(中略)
繰り返しますがこの世に劣った人間などいないし異常の基準などと云うものもない。犯罪者を異常者と決めつけて理解の範疇から外してしまうような社会学者こそ糾弾されるべきです。法を犯せば罰せられるが、法は社会を支える外的な規範であって、人間の内面に立ち入って尊厳を奪い去り、糾弾するものであってはならない!だから――(中略)
あなたは虫でも犬でもない!


『絡新婦の理』