この前2010年台の乙女ゲームを初めてやって以降、いそいそとvitaで出来そうな乙女ゲームを検索していると、妙なタイトルが目に入りました。

\\\ 男 遊 郭 ///

なんと直球なタイトルなんでしょう!プレイしましょう!即決!

ちょっと作品について調べてみると、元々アプリゲーム「逆転吉原」を移植したものだというじゃないですか。これはこれで殺人事件の起きそうなハイセンスな題名してますけど、あえて3文字に濃縮したというところがポイント高いです。

Wiki見る限りだとなんか攻略対象の年齢がえらい高くて、蔭間とは全く別物っぽいですし、
内容もコテコテのアプリゲーのようで、プレイ前から変な期待が高まります。


さあプレイ開始!

主人公のデフォルト名 : 偉宝 みさを

……( ゚д゚)
全国のみさをさんには悪いけど言わせて?
ゲーム内ですぐ貞操失いそうなのに、みさをって名前はどうなんです?
スタッフの頭の中はどうなっているんですか?

もちろんデフォルト名でプレイしますとも。


そしていざ始めると「花魁」「傾城」「禿」などの遊郭用語を男にバンバン使いまくってて違和感半端なすぎて笑ってしまいました。


総合感想

※※以下ネタバレ注意※※


1ルート1 時間半という短さなのに、なんだかもうお腹いっぱいです。


まず主人公、凄い。
脳みそふわふわで読んでいて面食らいます。
一回会っただけですぐ男に貢ぎまくる乙女ゲームの主人公とか聞いたこともないんですけど!

攻略対象に好かれているからハッピーエンドまで持って行けているものの、そうじゃなかったら唯のいいカモです。
絶対コロっと騙されるわこりゃ。母親が心配するわけですよ。


次に攻略対象、凄い。
毎晩女性と夜を共にする手練れたちのはずなのに、主人公と数回会うと勝手に陥落します。

まあそれは主人公がとんでもねえ美少女だということで納得も可能なんですが、美少女主人公(推定10代)が居ないと生きていけなくなる男たち(半分は20台後半以上)の図は正直キモ奇妙なものでありました。


シナリオの流れも強引すぎて、凄い。
数分のお話×13〜14話で構成されているため、なんかピンチがあろうともあっさりと片付きます。しかもこれ以上ないほど恋愛脳。

きっと、アプリだと1日にちょっとずつしか読み進められない形式なんでしょうね…だから毎話ユーザーを萌えさせねばならないし、攻略対象が出てこない溜めの話も作りにくいと。アプリゲームの宿命だから仕方ないでしょう。

でもさ、vitaに移植したからには連続で読むことになるわけだから、多少は修正してくれても良いんじゃ無いでしょうか?
毎話整合性取れてない甘々ばっかり見せられると胸焼けしてしまいます。


そしておまけシナリオまで、凄い。
各攻略対象クリア後におまけシナリオを読むことが出来ます。内容がなんとも…ソシャゲのイベントシナリオでして、本編と致命的に噛み合わなくなっちゃってます。本編に季節のイベント挟む間なんてありませんでしたよね?

節分はともかく、バレンタインは時代とも合っていないしなー。明治時代にホワイトデーまで存在する謎時空に飛ばされるので、理解が追いつかなすぎて笑えてきます。
チョコレートのエロイベントやりたかっただけなのかな…


シュールな内容を期待してはいたのですが、ここまでだとは予想外でした。


ルート別感想

【高尾】

1周目は、俺様メインヒーロー花魁さんです。
彼は最初に出てきたときからグイグイ来ていて、主人公をその気にさせちゃって、流石は売れっ子ですな〜とか思っていました。

めっちゃ甘い言葉を投げかけられた主人公ちゃんは、結構な頻度で高尾の元に通っちゃうんですよね。売れっ子なのに指名されたらちゃーんとやって来てくれて、ガッツリ顧客を離しません。これが花魁の手際ですか、やりますねぇ…

だから高尾が実際に恋に堕ちたときはどんな反応をするか楽しみで……うん?最後まで大して変わらなくないですか?
えっと、あの、どこから主人公に惚れちゃっていたのでしょうか?

あんまりにも態度が変わらないから10章辺りまではまだ営業状態なのかと疑いましたとも。だってまだ数回会って若干18禁状態になっただけじゃないですかー、惚れるの早すぎんよ花魁なのに(><)


本気で恋をしてると分かると、なんだか高尾が不憫に見えてくるんですよ。主人公が金持ってやって来ないと会えないし、どれだけ口説いても本気だと信じてもらえるか分からないし。兄妹疑惑が出ると主人公がスーっと離れていきますし。

そもそも父親の病気はともかく母親はどうなってん…騙されてないですか?ってのもずっと気がかりでした。

実際父親に会ってみると、病気なのは事実でも働いてるわせっかく仕送りしたお金に全く手をつけていないわで、なんかモヤモヤするオチを残してくれちゃってます。

十分なお金が準備できたのなら身請けしろよなああ!!
なんか主人公母への恋心でお茶を濁してますけど、高尾が父に会いに行ってなかったらもう28歳だというのに年期がなかなか明けなかったんだかんな!
まあ最終的にはお金払ってハッピーエンドだから許すけどな!

まあパパさんも花魁としてやっていたらしいから、自分の息子だったらやっていけるって判断だったのかねぇ…事実高尾は売れっ子だったし…


不憫とかなんとか書きましたけれど、遊郭のトップとして働いて好きな子が出来たらいい具合に身請けされた高尾は、最終的にはかなり幸せな部類ですね。
本土まで行って帰ってきても普通に大丈夫でしたし。菊屋、緩いっすねー( ̄∇ ̄)


【ときわ】
2周目は、高尾ルートで主人公に強引に迫ってて好感度が地に埋まりかけてるときわさん。

金髪というよりも、緑のメッシュ…?が気になる彼。他の傾城の客を横取りしているのを否定していましたけど、じゃあ高尾から主人公を取ろうとしていたのはなんだったのでしょうか。

まあ口が上手いだけなんでしょうね多分。主人公ちゃん、騙されてるぞ!
正直彼の株は落ちていく一方です。異人云々で捨てられたとか湿っぽい話も一瞬で吹き飛ぶからやっぱり嘘はいかんですね。


そんな彼に思わず好感を持てたのは、花魁道中で辻斬りさんがやって来なくて思いっきり油断していたときでしょう。

……もしかして結構抜けてる子か?という疑惑が出てきました。よくよく思えば高尾へのプチ嫌がらせも失敗しているし…節々に考えなしな様子が見えていたような。BAD ENDで切られたときも、辻斬りさんの前でイキりまくった挙句なんか殺されてましたよね。

天然であるが故に他の人の客を奪っている自覚がなかったと結論づけることにしました。
バカな子ほど可愛いっていうし、それでいっか。


【神楽】
3人目は、学問にお金を惜しみなく注ぎ込んでるせいでなかなか年季の明けない28歳さんです。

神楽は前の2人と違って真面目な方でした。あんまり表情つかないし…これで人気があるのだから凄い。
指名したら基本乗り換え不可ってなると、怖い印象ある人は選びづらい気がするんだけどな。よっぽど美形なんでしょうね。


んで、この人をどう落としていくのかと思いきや、前2人の攻略対象を更に上回るチョロさでした。これが遊郭の人でなければ、めっちゃ可愛いな〜て言ってれば済む話なんですけども、状況を考えると何故今まで恋に落ちなかったのか不思議でしょうがないレベルなんですよ。

主人公は特に口説くつもりもなくて興味本位で話しているだけなのに、勝手に口説かれてないですかね?
学問に精を出す余り色恋を知らなかったピュアボーイなんじゃないかと錯覚しちゃいました。

それに、主人公の所持金が底を尽きて菊屋に行けなくなったらお金渡してくるし…ただでさえ本にお金使ってるというのに、これだから年季が来ないのよ神楽さん。


彼のエンディングは少々棚ぼたが過ぎる感じあるので、非恋エンドの方が好きです。学んだことが役に立つ職業に自力でなってるっていうのが良いんですよ〜
それに、彼が学んでいるのは蘭学なんですよ。政府の高官になるより医者になった方が遙かに役に立ちますよね?


【かげろう】
そして本命、かげろうさん!

彼は時あの学生服っぽいのが可愛いし、19歳なのに修行中でまだ客取ってないってのが美味し過ぎるのですよ。

そもそも彼に関してはここまで読んできた中では、
・言葉遣いは丁寧だけど、素直な嫌味を吐く
・神社でこっそり猫を飼ってる
・神楽さん大好き

とまあ、可愛いところしか見せなかったので、本人のルートだとどうなるのか気になってしょうがありませんでした。


さて実情は……なんという意地っ張りさんなのでしょう!あとやっぱりカワイイ

最初はね、嫌味言ってるのはほぼ本心で、後々主人公に惹かれていって優しくなるのを予想していましたよ。
まあ間違いではないのですが、嫌味の半分は照れ隠しっすよね。素直で可愛い子が嫌いなのは流石に嘘ですよね思いっきり主人公のこと気になりまくってますよね(*´꒳`*)

途中からこれはただ好きな子に意地悪したいだけだと分かってしまうのですよ。デレても意地悪言うの自体は癖になっちゃってますし。

それに姉の身請け話は断ろうとするし、好きな子が出来てもやっぱり受けず、姉が芝居を打ってようやく…ですから。
もうちょっとで客取らなくちゃいけなくなって錯乱しているくらいなのに、「施しは受けたくない自分の力で出る(`・ω・´)キリッ」状態なのは強情にも程があるのですよ。


うんまあ、そこが可愛いわけなんですけどね!
同い年の気になる子と知り合ってドキドキしつつも素直になれないなんて、初々しくて萌えるに決まってるじゃないですか!

しかも傾城としての手腕はしっかり学んでいるから口説き文句を合間に挟んでいくというパーフェクト具合です。終盤の流れはどうかと思ったけどそこを帳消しにするくらいにはかげろうくん、良い…


ところで、このゲームはCERO : Dでもちろん18禁要素はありません。とはいえ遊郭の話なので、まるで18禁部分をカットしたエ○ゲーみたいにはなっているわけです(事後だけ見せる的なアレ)。

他の攻略対象のときには大して気にしてませんでしたけども、かげろうの突き出しだけは見たかったんですよ…
DT×生娘の営みを拝見したかったんだ…


【いろは】
5人目は、遣り手のいろはさん。

見た目◎、声◎、第一印象も落ち着いていて良し。なのにどうしてシナリオが混沌と化しているのでしょうか⁉︎


いやあ……油断してました。4人分のお話をプレイし終えて、すっかりこのゲームの雰囲気に慣れていると錯覚していましたよ。ツッコミどころしか無くてやばかったんですよこのルート。

序盤の主人公の我儘度がメーター振り切っているところとか。
いろはさんの職権濫用が度を越しているところとか。
鬼の存在が周知の事実で割と受け入れられているところとか。
幸福エンドのアレはいくらなんでもないだろうとか。
かげろう君が余りにも可哀想過ぎる、とか。
いろはさんがしょっちゅう主人公連れて部屋に籠っているというのに菊屋は特に問題なく営業できているなんて、実は菊屋にいろはさん必要ないんじゃないの?とか。
ひと回りほど違う娘さんにエロスで迫りすぎじゃね?この32歳のスケベオヤジは、とか。

5分間に1ツッコミじゃ足りないレベルで、脳の処理が追いつきませんでした。うっかり楽しいとすら感じてしまうほどの意味不明さには驚きを隠せません。


いろはさん、雰囲気で誤魔化されそうですけど、相当どうしようもない人ですよね。
非恋エンドで婿さんとの結婚の方が、よほどハッピーエンドっぽくないですか?


【伊東慶二】
ラストは攻略制限かかっていた人です。
慶二シナリオは一風変わっていて、島の呪いを解くという目的でストーリーが進行していきます。目的があるから、比較的お話が分かりやすかったです。

もちろん探せばツッコミ所は出てきますけれど、頑張れば無視できる範囲でしたので、このゲームの中ではダントツで読める内容でした。


慶二シナリオがvita版で追加されたものだってのはマジなんですかね?女宝島についての説明要素として必須な気もするのですけど。
このシナリオがなかったら、カオスないろはルートで締められるかと思うと…うーん…恐ろしい。


だからさ、ラストはもっとビシッと決めて頂きたかったのですよー。

とりあえず、
・帯留を燃やしたら何故木が復活したのかの説明
・結局島の呪いは完全に解けてないというモヤモヤの解消
の2点を要求したいところです。

終盤になって、なんじゃいこのフワッと感は!気が抜けるわ!


まとめ

アプリゲームを家庭用ゲーム機に移植させたゲームって初めてやりましたけど、ベタ移植だととんでもないことになっちゃうんですね。
同じゲームといえど、メディアの違い(?)というものは大きいということです。


それが分かっただけで男遊郭をプレイした収穫はあったと思います。ひとしきり笑ったわけですしね