2022.8/19



以前かかっていた和歌山の病院からの紹介状や情報提供書類を持って、転院先の病院をはじめて受診した。


病院に向かう足はとても重かった。




行きたくなんかない。



治療なんか受けたって、わたしには苦しいだけなのに…。




だれにもわかってもらえない。




一番身近な親にだってこの気持ちを理解も受け入れても、もらえなかった。






順番が来て診察室に入る。



新しい主治医の先生は、壮年の穏やかそうな男性の先生だった。




和歌山での最後の診察の日を確認して、「だいぶ空いたんですね」とだけ言って、それ以上何も聞いてこなかった。




ただひとつ、


「この病気はね、治療をしないと100人患者さんがいたら、100人が数年で亡くなる病気です。」って言われた。




知ってるよ



そんなことわかってる




「時間はかかるけど、いつか薬をやめられるように頑張りましょう。今はいい抗がん剤が出来たから、治療さえすれば、何も諦める必要なんかないんですよ。病気にならなかった人生と何も変わらない人生を送ることを目指そう」


そう言ってくれた。




泣きそうになって、必死に涙をこらえた。




そんなことできるの…?


もうわたしには先生を頼るしかないんだよ…




先生のその言葉を信じて、その言葉を希望にするんだって自分に言い聞かせた。




もし未来を覗けたら…いつか、前向きに明るく人生を歩んでるわたしはいるのかな…



今は想像しただけで泣けてくる将来も、


もしかしたら何かの奇跡が起きたりでもして、幸せに、楽しく暮らしてたりしないかな…





先生の言葉を何回も頭の中で繰り返して、


その言葉に縋って、


また抗がん剤の治療を始める。





生きるってこんなにもつらくて、苦しくて、大変だってこと、知らなかった。





がんになって、はじめて知った。







⬇︎病院に行くことになった経緯⬇︎