今年も9月に入りましたが、連日の猛暑に加えて感染症予防の為のマスク着用が相まって、例年以上に熱中症のリスクが高まっています。

 

私は去年に引き続き、所謂「水筒持参問題」について実態調査を行いました。

学校管理権の名の下に子ども達の安全が危ぶまれている実態を危惧しています。

 

去年に私が江東区立小学校(全45校)を対象に行った水筒持参の可否と中身の実態調査についての詳細がこちらです。

 

「水筒から考える教育現場(令和元年度調査)」

 

今年も情報開示請求の結果、およそ128ページに渡る全45校の通達文章を入手する事ができました。それらを纏めた結果が下記の通りです。

 

 

素晴らしい事がありました!

 

去年は水筒の持参可否について明文化されなかった学校もありました。

しかし今年は全45校、全ての学校において水筒の持参が認められています!

 

去年は運動会シーズンのみ水筒持参を許可していた学校も存在しました。今年は運動会の中止を受けて学校への水筒持参を中止する事も懸念されていましたが、杞憂に終わりました。本当に良かったです。

 

江東区立の全小学校で水筒持参が可能となった事は大きな前進と捉えて良いと思います。

 

一方、やはり課題が残るのはその中身の指定についてです。

 

水筒の中身を細かに指定する学校から、相変わらずお水のみという学校まで、全く統一性の無い結果となっています。

 

(個人的にはお湯OKの判断根拠も気になるところです…。)

 

なお今年は、その水筒持参を許可した理由も様々でした。

 

「水道水(冷水器)が安全だ」と明記する学校から、「水道水は流しで密になる状態になるため安全ではない為に避ける」と明記する学校まで様々です。

 

これでは何が良くて何がダメなのか、学校の通知を読んでもわかりません。

保護者も児童も混乱していると思います。

 

水筒持参について対応が混乱するのは、国(文科省)の通達が曖昧な事も原因と思います。

 

■文部科学省通知 熱中症事故の防止について(依頼)

 

1. 適切な水分補給や処置を行うことができる環境の整備等について

 

熱中症は、活動前に適切な水分補給を行うとともに、必要に応じて水分や塩分の補給ができる環境を整え、活動中や終了後にも適宜補給を行うこと等の適切な措置を講ずれば十分防ぐことが可能です。

 

■文部科学省事務連絡 「熱中症予防月間」における熱中症事故の防止について(令 和2 年6 月29 日)

 

熱中症は、気温・湿度などの環境条件に配慮した運動の実践や、こまめに水分や塩分を補給し休憩を取ること、児童生徒等への健康観察など健康管理を徹底することによって防止できることができます。関係の皆様においては、登下校中も含めて、必要に応じて水分を補給できるよう水筒を持参させるなど、熱中症予防のための万全の対策を行うとともに、熱中症の疑いのある症状が見られた場合には、早期に水分・塩分補給、身体の冷却、病院への搬送等、適切な応急手当等をお願いします。

 

太字はさんのへによる)

 

 

国の通知では水筒の持参について明文化されたものの、やはりその中身については触れられていません。「そこまで指定する必要が有るのか?」と思われるかもしれませんが、指定とまでは行かなくても推奨する中身を記載するだけで現場はとても動きやすくなります。

子ども達の命を守るため、文科省は是非とも水筒の中身についても検討と通知を期待します。

 

この様に曖昧な指示の下で混乱する学校がある一方で、特に素晴らしい対応だと感じた学校があります。

 

それが東川小学校、第二辰巳小学校、砂町小学校、北砂小学校の4校です。

 

まず4校全て、筒の中身の指定が幅広いのです。

これならば各ご家庭は準備がしやすくて大変助かります。

更に砂町小学校においては「子どもと相談して欲しい」旨が明記されていたのです。

 

「子どもと相談」とはどうやって自分の命を守るかを学校や保護者が一方的に決めつけるのではなく、子ども達と一緒に考えて欲しいという事だと私は捉えました。

 

安全性に考慮しながらも子どもに主体性を置く。

教育機関として素晴らしい対応だと思います。

 

また最後になりますが、去年と同じく誤解の無いように申し上げます。

 

私は水筒持参や中身をスポーツドリンクにする様にと、私の考え・論理を学校に強制させたいのでは有りません。子どもを教育する学校において、子どもの健康・安全よりも管理責任を逃れる事を優先した合理性のない判断が平然と行われているのではないか、その問題提起を水筒持参という切り口から問い掛けています。

 

もちろんスポーツドリンクは水分と塩分が同時に接種できて、熱中症対策に最適です。これはこれで訴え続けて行きます。

 

新型コロナウイルス感染対策など、誰もが注目して命に関わる問題では政府・自治体からも明確な指示が降りてくるため、実は学校ごとにそこまで差が見えにくいのです。

 

水筒持参の様な一見些細と思われる学校独自の運営ルールにおいてこそ、子どもの人権・主体性について学校がどこまで真剣に捉えているか測れるのです。

 

それと同時に、水筒持参はヒートアイランド現象による熱中症被害者が増えている東京においては、子どもの命に関わる重大な問題であるという認識の変化も求めています。

ですので特に熱中症被害者が多発している今年の夏に学校毎の対応が異なるのは問題と捉えています。

 

私はこの様な切り口、認識のアップデートを元に引き続き学校校則・ブラックルールについての調査・情報開示を進めて参ります。

 

さんのへあや