「平清盛」37話【殿下乗合事件】/〜岡田将生(源頼朝)、窪田正孝(平重盛)、それぞれの涙 | どら☆ぶろ〜テレビドラマ感想ブログの決定版

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岡田将生(源頼朝)、窪田正孝(平重盛)、それぞれの涙
親の存在を知らしめられる岡田将生(頼朝)と窪田正孝(平重盛)。
平家の台頭により、父・玉木宏(義朝)の志を呼び起こさせられ、覚醒の涙を流した岡田将生。
父・松山ケンイチ(清盛)の大きさにより、自分の無力さを噛み締めた窪田正孝。
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流す涙の意味が、今後の平氏と源氏の命運を示唆する

◎あらすじ(ネタバレあり)
清盛(松山ケンイチ)は、福原(神戸)で着々と日宋貿易の準備をしていた。
朝廷を離れてなお、その影響力を持つ清盛と平家一門への周囲の嫉妬は益々増していく。

そんな中、平家の棟梁・重盛(窪田正孝)の次男・資盛(大西建誠)と摂政・藤原基房(細川茂樹)が橋の上ですれ違い、資盛が輿から引きずり降ろされるという事件が起きた。(殿下乗合事件)
「平家が辱めを受けた」と息巻く一門に対し、重盛は何も出来ない。
福原でその報告を聞いた清盛は、義兄・時忠(森田剛)を使い、秘密裏に基房の輿を襲撃するという復讐と牽制を果たす。

「よくぞ復讐を果たした」と何も知らない一門から賞賛を受ける重盛だが、清盛の仕業と知り、「自分は父(のよう)にはなれない」と己の非力さを噛み締める。

一方、伊豆では、度重なる平家の権勢と先代・義朝(玉木宏)への非難を耳にした頼朝(岡田将生)は、源氏の棟梁として、その魂を呼び起こされる。
 


◎みどころ

岡田将生(源頼朝)、窪田正孝(平重盛)、それぞれの涙

◯おもしろポイント
岡田将生(源頼朝)、窪田正孝(平重盛)、それぞれの涙
岡田将生(頼朝)と窪田正孝(重盛)が涙を流した。
が、流した涙の意味合いは異なる。

聞きたくもない平家の台頭話を聞かされて虚ろな目をしていた岡田将生だったが、
「平治の乱で玉木宏(義朝)についていったのが間違いだ。浅慮な玉木宏に!」と言われたことで、眠っていた武士としての魂を呼び起こされることになる。
今は流罪の身となり、抜け殻のような生活をし、強大となった松ケン(清盛)に為す術もなく、悔しい涙を流すしかない。
しかし、口から出てきた言葉は「我が身は滅びようとも、源氏の魂は滅びない」。
今は涙を流すことしか出来なくても、「源氏の魂」がまだ消えておらず、必ずのし上がってみせるという覚醒の涙。
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呼び起こされた「源氏の魂」が涙となって溢れ出る


一方、栄華を極め、傍から見れば「地位も権力もある家の棟梁」の窪田正孝(重盛)は、のしかかる「平家一門の棟梁」というプレッシャーと戦っていた。
「嫡男だが母は他界した」「正妻を母に持ち、自分を脅かす弟の存在」「破天荒だがかつて無い力を手にした偉大なる父」というプレッシャーの数々と。
そんな中で、息子が敵対する藤原摂関家に辱めを受ける。
可愛いはずのわが子が、悔しい思いをして帰って来たが、「平家の棟梁」というしがらみに囚われすぎて、「ここで黙っているのが棟梁としての正しい判断」と信じて動かない。
息子が諦めたように去って行こうが、兄弟たちに「悔しくないのか?」と言われようが。
そうして信じた判断だが、「偉大なる父」に覆されてしまう。「偉大な父」は復讐を選んだのだ。

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森田剛(時忠)の家臣が羽を付けているのを偶然見かける

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壊れた敵の輿の近くには「松ケンの命令で動いた」森田剛の家来の証拠の羽が”意図的に”残されている

「偉大な父」が秘密裏におこなった行為は、息子に「ありがとう」と言わせ、敵対勢力を牽制し、一門の中でも「さすが棟梁」と言われてしまう。
全ては自分の判断とは裏腹に。
自分の信じた判断を全て覆され、「偉大なる父」の存在が「偉大過ぎる父」という諦めへの最後のひと押しとなってしまう。
無力感と敗北感に打ちひしがれた窪田正孝は、声を抑えて自室で地団駄を踏み、妻にその苦しさを吐き出すことしか出来ない。
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「偉大なる父」という壁の前に諦めが涙となってこぼれ落ちる

目覚めた涙と諦めの涙。両家を担う次世代の涙はその将来を示唆する。



◯ツッコミポイント
①細川茂樹(藤原基房)表情百変化
大西建誠(平家の棟梁の次男・資盛)と細川茂樹(摂政・藤原基房)が橋の上ですれ違った。
お互い「自分が行く」と言い張り、細川茂樹が先に手を打った。
大西建誠を輿から引きずり下ろさせた。(殿下乗合事件)
日頃の平家への恨みを晴らさんとばかりに、ニヤニヤ顔で楽しそうに。
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歌を歌って余裕かましてます。

しかし、その後松ケン(清盛)の復讐を受けることとなる。
歌を歌いながら輿に乗っているところに、森田剛(時忠)の手下の者が現れて、家来は髷を切られ、輿は壊される。
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追われる時は恐怖しかありません。

「襲っている時に歌を歌ってる」が「歌を歌ってる時に復讐される」のが、なんともまあ皮肉的。
あと、山本耕史が保元の乱で逃げる時も似たような表情だったのは、「貴族の没落」「武士の台頭」を1年間通して魅せる演出だろうな~。


②暴れた窪田正孝!
優等生で大人しく、感情を表に出さないようにしている窪田正孝(重盛)。
しかし、今回の「殿下乗合事件」の際に、自分の非力さや迷いが高まって、ついに部屋で暴れる。
書いてた書の手を止めて、筆を投げ、その紙をビリビリに破く。
机をひっくり返し、立ち上がって押し殺したような声で叫びながら地団駄を踏む。
松ケンも若いころよく叫んだり暴れたりしていたけど、つくづくよく人が暴れるドラマだ。
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「ゴキブリ潰してます!」のような踏みっぷり!



◯雑感
大河の主人公は松山ケンイチ(清盛)である。
しかし、ドラマの中の時代は次世代へ完全に移行した。


窪田正孝(重盛)と岡田将生(頼朝)の涙が対比として出された今回。
自分の無力さや迷いに涙する窪田正孝と
非力ながらも棟梁として涙の覚醒をした岡田将生。

さてさて、次回のテーマは言葉自体が有名な「平家にあらずんば人にあらず」らしい。
芽吹いていた次世代の攻防が、一気に成長して開花しそうな予告編。
まだ1クール分以上あるのだけど、それでももう1話1話が惜しい!
惜しくて、見たいような見たくないような。