「運命の人」最終話(第10話)/〜最終回だけ完全に別のドラマ! | どら☆ぶろ〜テレビドラマ感想ブログの決定版

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連続ドラマの感想やあらすじ(放送回までのネタバレ含む)などについてを主に書いてます。
目標とコンセプトは「面白いドラマをより多くの人に見てもらいたい」です。
朝ドラ「ごちそうさん」「あまちゃん」のあらすじ・感想が日課です。
旅行記も稀に書いています。


日曜21時~
TBS系

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◎あらすじ(ネタバレあり)
有罪が確定したまま、失意のまま沖縄の地にやってきた弓成(本木雅弘)。
珊瑚礁の見える美しい岬で投身自殺を図ろうとして、ガラス工芸職人の謝花ミチ(美波)に助けられる。

五年後、
ミチと穏やかに暮らすようになった弓成だったが、
ひょんなことから沖縄の新聞記者
儀保(津田寛治)に記事執筆を依頼される。
執筆依頼を受けてから、沖縄の闇の過去・現実の姿を記録し始める。
沖縄の人が過去と向き合う姿を見て、弓成は自分の過去とも向きあう決意をする。

一方、東京では妻・由里子(松たか子)は弓成を待ち続けていた。
また、昭子(真木よう子)は職を転々とし、夫(原口泰造)との離婚が成立した。

そんな中、沖縄で米兵による少女暴行事件が起こる。
本土からはスクープ欲しさに記者が押しかけ、
沖縄では米軍撤退を求める運動が激しさを増した。
その騒動の中、ミチが倒れる。
ミチは数年前にも起こった米兵による暴行事件の被害者で、過熱する騒動でフラッシュバックを起こしたのだった。

沖縄での米軍撤退の運動は日増しに高まり、ついに決起集会が行われた。
その様子がテレビで放送され、集会に参加した弓成の姿が一瞬だけ映った。
その姿を見た由里子と昭子。
由里子は沖縄に行く決意をし、昭子は故郷の北海道に帰る決意をする。

沖縄で弓成と再開した由里子は、そこで沖縄返還密約に関するスクープを目にする。
渡米中の琉球大学教授がアメリカの公文書館で沖縄返還密約に関する証拠文書を見つけたのだった。
弓成の追っていた事実が別の角度から証明されたのだった。


◎みどころ
とりあえず、「何で今このドラマを放送したのか」ってのはなんとなく分かった。

◯おもしろポイント
無い。
重厚な作りで作り手の気合が入ってるのは伝わってくるけど、「面白い」や「オススメ」ではない。

◯ツッコミポイント
①最終話だけ「沖縄編」
最終話になって舞台は完全に沖縄に移行した。
沖縄でのモッくんの日々と、新たな「運命」の出会い。
沖縄で米軍撤退を願う人々の姿を描いている。

前回まで東京で記者活動や裁判ややさぐれ云々とぜんぜん違う。
いわば第二部。(番組HPにも「沖縄編」とか書かれてる)

山崎豊子って第一部と第二部でガラっと状況変えたりするけど(「白い巨塔」とか)、
まさか最終話だけ第二部とは!

斬新すぎて呆然としちゃう。



②真木よう子の描きっぷりがテキトー
外交機密漏洩、裁判云々であれだけ派手に出演して「モッくん転落記」の超重要人間だった真木よう子が今回出てきたのがたったの4シーン程度。出演時間は合計5分程度。
夫(原口泰造)との離婚シーン、
テレビでモッくんを見つけるシーン、
山部(大森南朋)と過去を振り返るシーン、
北海道に向かう空港のシーン(しかも超偶然なことに沖縄に向かう松たか子と空港ですれ違う)。

たったこれだけ?
しかも前回まであんなにモッくんや松たか子に敵意剥き出しだったのに、今回急に安らかな感じになっていた。
その急変ぶりは何?何かあったの?
まさか「5年経って憎しみも徐々に薄れた」とかいうオチ?
そんなテキトーな・・・


③いきなり性格が変わったキャラクターたち
イキナリ安らかな表情になった真木よう子に、
執念深さが消えてアッサリオヤジ(しかも体調良さそう)になった原口泰造、

人間そうそう性格変わんないと思うんだけど。



④エンディングに入ったナレーションがムチャぶり
本編終了と同時にエンディングとモッくんのナレーションが入った。
「沖縄返還密約がアメリカの公文書館で明らかになった後も政府は密約を認めず、2011年に密約文書開示請求の裁判でも原告が敗訴し、司法は外務省を守った。震災後の今日でも国民に不都合な真実は国民に明かされていない。」云々のナレーションが入った。
沖縄返還密約云々の話は良いが、「震災後の今日でも~明かされていない」ってイキナリ震災の話?
ドラマ本来の流れと全く関係ないのでは?


◯つまらなポイント
ハッキリ言って「豪華キャストで演出も力入れてるのにこの程度?」と思った。
あまりにもコスパが悪そうなので、その理由を真剣に考えてみた。

①話数が足りない。
原作のボリュームや内容の重さを考えると、1クールではどうやっても書ききれない。
しかも本作のテーマらしい「挫折と再生」の再生部分の「沖縄編」がたった2時間になってしまってる。
テロップで突然「5年後」とか出てくるのも痛い。
予算やスポンサーやプロダクションとの調整もあったとは思うけど、2クール位かけて丁寧に書けないのなら、最初から制作すべきではない。

②ドラマなのに解説がやたら多い
演技描写が難しい場合や、どうしても割愛しちゃう時にはやっぱ解説が必要になる。
それはそれで仕方ない。
でも、解説がやたら多い。毎回毎回解説がやたら入る。
いちいち解説しなきゃいけないような内容なら「池上彰の学べるニュース」とかでいい。
ドラマにするな!

③作品のテーマまで解説しちゃった!
「何でこの時期にこのドラマ作ったんだろう?」ってずっと考えながら見ていた。
最終話のエンディングのナレーションシーンでやっとわかった。
「沖縄返還密約や東日本大震災のような事件では大事な事は表に情報として出てこない。国民の知る権利(国家をはじめ権力機構に対する)をもっと尊重しろ」
って事が言いたかったらしい。
それってナレーションで言う事???
ドラマの演出や演技の中で「ああ、こういう事が言いたいんだな」って視聴者に思わせなきゃマズイんじゃないの?
ドラマの意味無いじゃん。


って、いくつか項目挙げてみたけど、敗因は明らかに
「ボリュームのある作品を無理やり1クールで放送した」事。
だからキャラクターが豹変したり、最終回だけ全く別の話になったり、やたら解説が多くなったりする。
キャストも演出家も悪くはない。
「”運命の人”を1クールで放送する」と決断した責任者が悪い。