緑ヶ丘ビーズ荘 -5ページ目

緑ヶ丘ビーズ荘

読書とビーズ。

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水曜休みが今日だけなんで、二本観てきました。

『空海』
評判通り猫大活躍で大満足‼️
あと白楽天がものすごいカッコよかった…
字幕版もあったら観たかった〜!

『ショーマン』
歌とダンスがものすごかった…
主人公、遠目に勝手に思う「良きアメリカ」を練り上げた感じ。

どちらもスクリーンで見る甲斐ありました( ´∀`)


スティーブン・キング。

ミステリなのでご注意ください。










海辺の遊園地を舞台に描く青春ミステリー。

『戻れない青春時代の痛みと美しさ』という、背表紙の売り文句を裏切らない一作。


夏の終わり、小さな遊園地、仲間、初恋の傷、死期の近い少年、その少年を支える母と犬…

泣かすぞー!!というキングの意気込みが伝わってきます。

そうまで泣かす気満々で来られると、若干引…くんだけど、やっぱりまんまと泣いた。

まあ泣きますよね…。



マイナスポイントから言いますと、ミステリーとしてはどうかなー…

なにぶん、遊園地に纏わる幽霊話が、実は連続殺人だった!

という事件の概要が判明するのも、ストーリーの後半ですし。

主要人物である少年とも触れ合いも物語中盤で、なんつーかスタートダッシュ遅いんよ。

あと、事件の真相も、主人公が言っている通り「証拠になるようなことは何も」。

犯人が宣言通り、真相に近づいた関係者をさっさと始末せずに、

主人公との1対1の対決に臨む意味もわからん。


と、ミステリにはアリバイ!動機!トリック!そして名探偵!!

みたいな様式美を望む派(私)には、ミステリ満足度はちょっと…って感じなんですが、

そもそも「ミステリ書くぞ」というより、

「泣かすぞー!!」という心意気で書いてるだろうからなあ…。


スタートダッシュが遅い分、そこに至るまでにそれはもうロマンチック気分を盛り上げるんですよ。

良き母、良き父、良き友、良き仕事仲間、良き時代…

というのを、じっくりうっとりしみじみ積み上げていくので、

こっちも「もうここまでやってくれたら泣くしかない」みたいな気分になる。

そこまでやってさらに!って感じで、

『無垢で聡明で、それゆえ長く地上にはいられない少年』が出てきますからね。

結構あざといレベルじゃない?!泣くよね?!


駐車場での母の涙が最もグッときましたが、

最初から最後まで嫌な奴だった男の、ラストの働きにもグッときました。

実際嫌な奴だったんだけど、でも…みたいな後を引く感じ、本当に上手い。


BGMにBONJOVIの『ローラーコースター』を推したいです。







平井呈一。




名翻訳・名解説で怪奇ファンに名高い平井呈一。


中菱一夫名義で書かれた2編の創作に、


エッセイを加えたホラーファンのための復刻版!








荷風の『来訪者』で、


私のホラー地図に混乱をもたらす色男ぶりだった平井呈一さん。


ちょうどその頃、創元推理文庫で復刻するとの噂を聞き付けたので、


「おお…なんの神の啓示よ…?」と思って早々に予約。


ほぼ復刻と同時に手に入れたというのに、


手を出すのは年明けになってしまったという…。


個人的に「この人なら大外れってことはないな」って実績がなく、


かつ、私、この人おススメのマッケン読んだことある!


多分この人の訳で!そしてイマイチだった!


ということを思いだして躊躇っておりました。




が、面白かった!ごめんね後回しにしてて…。










『真夜中の檻』


旧家の古文書類を調査に来たわたしは、


美しい未亡人・珠江と知り合う。


珠江の美しさに心魅かれる一方、屋敷には次々と怪異が訪れる…




地方の旧家に纏わる陰惨な物語…


という設定に弱すぎだろ、


と我ながら突っ込むほど弱いです(横溝由来だよね…)。


なので個人的に設定だけでも美味しい。


その上、時代が時代なので、


奥ゆかしい怪奇描写だろうとあんまり期待していなかった、


視覚に訴えかける怪奇現象が、惜しげもなく続出!


特に蔵の2階に現れた、


おそらく首吊りの幽霊らしきモノの登場シーンが素晴らしいです。




女王様に目を付けられたマゾ男の至福って感じですが、


人外との恋愛には寛容、どころか積極的に推していきたい私には、


結構すぎる物語でした。










『エイプリル・フール』


平凡な主婦・江見子の元に届いた一通の恋文。


エイプリル・フールのいたずらと思われたその手紙から、


意外な展開が…




人外との純愛。


たとえ相手が人外でも、純愛を装うならハードルが高くなる私ですが、


意外や意外、ものすごーく良かった。




「それだけ見ていると、池の面を水鳥でも泳いでいるようで、へんに幻想的に綺麗であった。」


「愛妻に先立たれた男の深い愁嘆は、はたの見る目に涙を絞らさせた。」


というような、地の文の描写が所々ハッとするほど好み。


後の解説で知ったのですが、


なんと平井さんは横溝正史と同年生まれとのこと。


この時期の方の書く文章が、ベストで琴線に触れるんだな~~~。




純愛だけあって、登場人物の誰一人にも、


不倫や禁じられた恋などという生臭い意識がなく、


ただただ現象として、真摯な愛情があったのみ、という爽やかさ。


ごめんごめん、後回しにしてて!って感じでした。










雑感。


・創作2作のみ?!もったいない~~~!


荷風か?荷風のせいか?!と、思わず荷風が憎らしくなるほどですが、


ご本人にあんまりガツガツ書く気がなかったみたいですね~…。


つーか文壇からは追放されつつも、好きな怪談に耽溺し、


玄人筋からは一目も二目も置かれ、


晩年は若者たちに師とも祖とも愛され慕われ…と、


人生満喫してた風で何よりです。


・序文の荒俣さんのエッセイ、涙なしに読めないほど良い。


扱いがめんどくさいことこの上ないが愛さずにはいられない明治男の姿が、


ほんの数ページに生き生きと描写。


これからモダンホラー読もうってのにここで泣かすか。


・そんな荒俣さんの正直な一言。


「おそらくこのご気性が、…荷風問題をはじめとする交友面での事件につながったのだと思うが、…」


…やらかしたの荷風相手だけじゃないんだな、きっと。


・ビアス!!ホラーに一家言ある方々から、必ず出てくるこの人。


山田章博の、あんまり美しくて胸が痛くなるような短編漫画にも登場しており、


「ビアスっていいよね」


と言ってみたいものだと思って何度かチャレンジしたけど、


イマイチなんだよね~…懲りずに再チャレンジしたくなりました。