緑ヶ丘ビーズ荘 -37ページ目

緑ヶ丘ビーズ荘

読書とビーズ。

異形選出。乙一。

オチばれネタばれ有ります。




















★★☆

のどかな町に潜む犯罪、不穏な空気…殺された少女が見つめる幼い兄妹のひと夏!






デビュー作、執筆当時16歳!!

という状況にもかかわらず、丁寧で端正、持ち味も存分に活きてます。すごいな!


すいません私があんまり…子供って残酷なんだよ!純粋なんだよ!って話がピンと来ないタイプなんでマイナス1(^▽^;)

『恐るべき子供たち』とかも「ふーん」で終わっちゃったもんな~、作画が萩尾望都だというのに!


本人が死んでいるため、冒頭からオチ。

夏休みにゆったり読むとかだったら気分が乗るかも。


でもちょっと、持ち味というか風味は十分・これで十代か~って感動はしますが、私の好きな乙一のノリはさすがにまだ出てない感じです。

好きな乙一のノリ…それは明るい絶望感というか絶望しつつ生命力が逞しいつーか、そんなノリです。

何しろ主人公死んでますんで、逞しくはなれんわな。


引き出しが広い方に、好きなノリばっか求めるのは失礼かとも思うんだけどね。

ごめん保守派で。


同時収録の『優子』も、登場人物が全員病弱な風情です。

でもこっちの方が好きかな。


ベラドンナ生えてるの知ってたんなら根こそいどけ!とか、心神耗弱とは言え、奥さんを焼き殺した相手のフォローを任せる医者とか、ツッコミどころは有りつつ雰囲気重視で。

民俗学の異人殺し逆バージョン。

ホント民俗学風味に弱いな、我ながら!


最近は別名義も使いつつ活動されているような上に、心魅かれるタイトルが多いです。

近いうちに別名義物も読んでみたいな~。



異形選出。桜庭一樹。オチばれありかも。




















★★★

戦後から平成に連なる、女三代の大河物語。

辺境の人から置き去りにされた千里眼の少女・万葉は、製鉄業で地元きっての繁栄を誇る赤朽葉家に嫁ぐことに…激動の昭和と連動して生きる、女たちの物語。






いやもう…もうもう、食わず嫌いですまんかった!!

と、第1部を10ページくらい読み進めたあたりから、心の中で合掌しつつ読みました。


なんと面白いんだ!!早く言ってよ!!

ダメだ止まらん、という思いと、しかし一気に読み終わるのも勿体ない!という思いで葛藤しましたよ。

ミステリでないので、謎解き部分が結構雑っつーかどうでもいい。

時代背景上仕方ないんだけど、現代で〆るとどーしても、それまでに比べて小ぢんまりした印象になる。

など、些細な難点はありますが、ほんと些細です。面白さに比べれば。


心の故郷が獄門島なので、あの辺の地域の旧家ってだけで胸が高鳴る…

という私の特質を抜きにしても、相当面白いと思うんですがどうでしょうか。


現代史ってどーしても、味気なくなるか思い入れ有りすぎて湿ってしまうかの恐れがあるんですが、上手いこと乗り切ったな~。

製鉄業って、ほんと戦後史を体現してたんですねえ…


孤児・千里眼・玉の輿、という「あ、ああ…すごいね、主人公…」と気恥ずかしくなって目をそらしそうな設定にもかかわらず、全然嫌味なくスムーズに読み進められます。

タツが主人公以上にぶっ飛んでるからかな~。

弔いの儀式も質素で美しくて、そういう風習あるかもな!と思わせてくれます。


第2部がいちばん好きかも。

80年代に入っての話だからそこまで荒唐無稽には…というこちらの予想を裏切って、ギャグなのか不安になるほど怒涛の展開です。

ギャグかなあと思いつつ、要所要所で泣かされます。蝶子さん…(iДi)


やっぱり現代の第3部には、あんまり印象残ってないんですが…いやでも圧巻の面白さでした!


異形選出。福澤徹三。落ちばれネタバレガッツリありますのでご注意。



















★☆☆

実話怪談の実力者による、日本ならではの怪奇7編。





ハートウォーミング系長編・連作がやはり無理だったため、「できるだけ長編!」とか言わず良さ気なものを手に取るようになってます。この意気地なし!


で、短編集。ホラー。解説平山夢明。

異形でも気合い入れて怖がらせに来てくれた福澤さん!


…なので期待しすぎちゃったかな~…。


何つーか、サイコホラーっていうんですか。

「人の心って脆いですね、怖いですね」って話だったんですね。

都市伝説系では重要な要素ですよね。私も嫌いじゃないさ!むしろ好き!


でも、「読むぞ~~~霊!!」って気分で取り掛かったんで、コレじゃない感がな…


霊も出るんですよ。

バラエティに富む霊が出るんですが、人間関係の中で完結しているんで、もうソレ喫茶店とかで話をつけろ!みたいな気分になっちゃうんですよ。

いや私の心構えが間違ってたのに、逆切れなんですけどね。


人間の私は反省すべきなんですが、霊にとって逆切れとか逆恨みって大事だなーと。

コレコレこーいうことがあったんで、この人殺します、って霊より、ちょっとソレ意味わからないんですけどそもそも意味ないですよね、って霊の方がパワーありますよね?

死にゆく自分と滅びゆく何とか菌が結びついちゃった貞子とか。






人の身の逆切れを反省しつつ、おちばれネタバレありで次の2編については切れます。





『超能力者』

主人公の中年男がピュアすぎ。

目の前で見ても、まったく種や仕掛けがわからないんで、超能力かも!!ってお前は戦後の小学生か?

しかもやってるネタがスプーン曲げにカードマジック。

発行2003年とはいえ、その頃にはマジックネタバレ流行ってたはず。

あんまり何もかも白昼にさらけ出すのも色気がないよね~~~とは思いつつ、不倫してる中年男がそんなにピュアな意味ねーだろ!!

後でそれを暴く友人が出てくるので、あえて種を説明しやすいネタにしたのでしょうが、スプーン曲げにカードって…

マジシャンは血で血を洗う修練の末に技を体得しているらしいので、種や仕掛けがわからなくてもすごいマジックだな~ってなりませんかね。

霊も出るんですけど、おっさんの初心さに比べれば小さい問題に見えるという、斬新さを狙った…のか?


『不登校の少女』

さすがに、あ~人の心に潜む闇、みたいなテーマだったか~、私の心得違いか…

と思い知らされはじめてはいたんですが、まあ短編集だし毛色を変えたのもあるんじゃないかな、と期待させてくれてやっぱり心の闇だった作品。

もう奥さんが怪しすぎるんですよね。

お前がやったんだな。って感触があまりにも強烈なので、「と、思わせといてとうとう来るか?!」と思ったんですよ。

来ませんでした。裏の裏を狙った…のか?

霊も出ますよ。出るんですけど、なんで半年以上放置?冥途観光でもしてたの?


と、細かい点が気になるのはやはり人間関係の上で出てくる霊だからでしょうね。

意味不明の怨霊とかだったら、出たいときに出ても「まあそうだろうな」って思いますからね。






期待が大きすぎると逆切れしてしまうという教訓を得ました。

…うーん他の作品に手を出すか迷うわ。