緑ヶ丘ビーズ荘 -35ページ目

緑ヶ丘ビーズ荘

読書とビーズ。

田中啓文。異形選出。




















★☆☆

関ヶ原の戦いから数十年後、石田三成は生きていた!

僧形で諸国を漫遊し、出会う難事件を解決…しかし彼には遠く鹿児島での目的があった。

三成の生存を知った幕府からの命を受け、柳生十兵衛が三成を追う!

三成の運命は、そしてその目的とは?!





諸国漫遊・事件解決という水戸黄門を思わせる設定に違わず、ほのぼの時代劇。

読中感読後感とも悪くなく、連絡短編集なのでサクッと読める。

けど、コレじゃない感がすごい…


異形から選出なので、テンション高いグロをどーしても予想しちゃってたんですよ~~~。

タイトルと表紙からそうでないことは明らかなのに。

ほのぼの系の話も多く書いているらしいので、引き出しが広い方なんだろうなあ。

冒険せずに『異形家の食卓』選べばよかった…(←タイトルからしてテンション高いグロだと思われる)


そこそこ面白いので、私の心構えがなかったらもっと高評価だったかも…




いやごめん、やっぱあんまりかな…

背表紙に『ミステリ仕立ての痛快時代小説』って書いてるんですが、そんなにミステリでも痛快でもなかったです。

薄い。

秀頼の意味不明の嫌がらせや、凄そうに出てきてそれっきりの宮本武蔵とか…薄味。

「へえ…」って思ったきり次に進みやすいので、ちょっと暇つぶしに読むには最適なんですが。

なんかちょいちょい元ネタがあるらしく、それを知ってたらもっと面白いのかもしれないです。

せっかく十兵衛出てるのになあ。


あ~~~、でも考えてみると、私ちゃんと読んだ時代小説って、山風の忍法帳シリーズくらいかも。

私の時代劇観が間違ってる可能性は高いねえ。

異形選出。西澤保彦。オチばれネタばれあり。




















★☆☆

23年前、父が殺されたことによって、自由を捨て家業を継いだ姉。姉の犠牲の上に私の人生がある―――。

突然、父が殺された夏にタイムスリップしたわたしは、運命を変えることができるのか?!






かなり面白くて、とりあえずラストまで読もうと結構必死で一気読みしました!

切ない切ないって書いてあるので警戒してたんですが、ベタッとした泣かせに走らずオチもいい。

別の作品も読もう!って気分が盛り上がらなかったので、★1にはしたんですが。


途中のタイムスリップ理論も、こんがらがってるのを諦めずに説明してくれていて親切。

しかしタイムトラベル物、パラレルワールド物なのでどうしても…

「えーっこの世界は問題解決したけど、解決してない世界があるんだよねえ…」というモヤモヤした気分が。

そこを途中で懇切丁寧に説明してくれているんだけど、「まあまあそうなんだろうけど何か…」と割り切れない気持ちになります。

この世界の解決方法も、お姉さんが自由に生きられてハッピー、なんだけど、元の設定では旦那さんが可哀想すぎて…このお姉さん自体が好きになれなかったのが敗因か。

あっ、そうそう、あんまり直接出てこないもんだから、お姉さんの魅力がちょっと伝わってこなかったです。


ストーリーはほんとスピーディーで興味深く、最後まで読まずにおれないです。

西澤保彦、好みの設定のはずなのに、そして読むとやっぱり面白いのに、1回読んだらしばーらく遠ざかる傾向にあるんですが、キャラの好みが違うんだな~~~。納得。

因みに同様の傾向に恩田陸もあるな。

そう考えると、キャラ小説って良くないイメージの言葉だけど、キャラが好みって大事なことなんだな~。


ところで解説文。

物語中のエピソードを活かしているので、全くそんなつもりはなんだと思うんですが、『いつか猫になるその日まで。』というラスト一文でハッとしました。

あーーー、この閉じた感じ、それでいいのかともやっとする感じ…新井素子の質感に似ているんだわ西澤さん!
因みに、新井素子は「こんな喋り口調・考え口調のキャラ嫌だ…」という点を乗り越えると、意外と遠ざからずに読みます。

森真沙子。異形選出。オチばれネタばれあるかも。




















★★☆

乱歩・鏡花・荷風…文豪たちが見た東京に息づく異界。

過去・異界と現代をつなぐ伝記ホラー傑作!





短編集ですが読み応えありました。

そういえばこういう、妖艶耽美真っ向勝負!!って雰囲気の作品読むの久しぶりかも。心意気からしてすでに好みじゃないですか。


6編収められてますが、文豪シリーズってまだ続けてくれてるのかな?異形で書いてた足穂も、このシリーズですよね?

ということは、別冊もありそうで楽しみです。



どの作品も剛腕150キロって感じの耽美振りで楽しいのですが、一つ選ぶとしたら『無闇坂』。

・そもそも乱歩自体好みの範疇

・憑き物払い中の惨劇って展開も大好物

コレは推すだろ!って感じですが、現代部も上手いんですよね。

こう、のどかなんだけど、何か悪いことが起きている…らしいんだが私には詳細不明、という心許なさが。


で久々に思い出したんだけど、昔深夜にTVで放送された映画。

オランダかオーストラリア…なんかオのつくとこだったと思う欧米で、女の子たちが山に登って行方不明になるって話だったんですよ。

何か陰謀めいたことがあったような…なかったような…とにかくオチもなく詳細不明で、「も~深夜に時間無駄にしたわ」と思ってたんですが、その後長らく心に残ってたんですよね。

ひょっとして傑作だったのか。もう一回見る?って言われたら断るけど。

あの映画の後味のような、どんよりした不穏さが良かったです。乱歩テーマなだけに、起きた事件の凄惨さとの対比も効いてて。


話自体はそんなにインパクトなかったんですが、『水妖譚』は引用された鏡花の文章にうっとり。

さすがにここぞの一文を引用すると、キラキラしさが全開やな!

確か鏡花の短編何作か持ってたよな~、と思って読み返したら、ここぞの一文どころか全文金襴緞子。

何食ってたらあんな文章になるんだろうなあ。