緑ヶ丘ビーズ荘 -23ページ目

緑ヶ丘ビーズ荘

読書とビーズ。

近松門左衛門。角川ソフィア文庫版。

冥途の飛脚と心中天の網島も入った、心中3大作品集です。


鏡花みたいな、古風で華やかな文章が読みたいな~

と、知恵袋なんかでつらつら眺めると、鏡花好きなら近松とかでないかい?

というご意見があったので。

そこまで遡らんとダメかい?とは思いましたが、確かに七五調は堪能できそう。

昔曾根崎心中くらいは読んだはずだが…と再チャレンジです。




有名な「この世の名残…」部分の、七五調での畳みかけは圧巻でした。

が。

うーーん、もともと文章というより曲(?)だからか、七五調でない部分は思ったよりリズムに乗りづらい。

句読点がな…なぜここにって理解ができないもんだから。

浄瑠璃で聴いたらいい感じなのかもしれないですが…





ストーリーは心中ものなので、わかりやすくかつ盛り上がります。

とにかく「よーいドン」で死に向かって突っ走る。

まあ、心中するほど追い詰められてる二人なので事情があるのは当然ですが、

3作品とも、男側の事情が自業自得なのであんまり「可哀想!」って悲惨さはないです。

「盛り上がってんねソコのお二人!」みたいな。


男が全員自業自得な中でも、とくに『冥途の飛脚』!!!

忠兵衛のクズっぷりがすごい。

これは「悪の魅力」的なクズでなくて、正真正銘のダメかつムカつくクズっぷりです。

客の金に手を付ける、諫められたら泣き落とす・ごまかす・逆切れする、

「お前のためにやったのに」とか言ってなんか被害者気取り。


武士の金に手を付けて追手がかかるんですが、

読んでるこっちも、「このクズを生かして逃がすな」って気分でしたよ。


これさ~~~

人形浄瑠璃の、端正かつ恐ろし気な人形が演じてたら、人間界の基準を超えてなんか泣けたりすんの?

つーか浄瑠璃はダメ男が好みなの?

と浄瑠璃に興味がわくほどのクズなので、ひょっとしたら近松の狙い通りなのか…???


投稿写真

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今日はコートでは温すぎるくらいでした。
季節外れだけどどーしてもサンマ気分だったので。塩サンマなので辛かったけど美味かった!


小松和彦論考集。


先日高田衛って人の江戸文学論集を読んでいたら、

「お前そんなとこそこまで気にするか?!」という、

学者さんらしい浮世離れ加減と、江戸への歯止めの利かない愛情が大変面白かったです。

こういうの読むと心が洗われる気がするな~~~ってことで、

最近論文集がマイブーム。


小松和彦さんは守備範囲がオカルトの方なので、わりと親しみやすい。

ご高名はかねがね…つーかちょいちょい雑誌とかでお会いしますよねという、

勝手な親しみなんですが。


この本は、ごくごく短い章立てで、興味深いモチーフがアレコレ取り揃えられており、

ちょっとお洒落なおせちのようです。

また、大波小波はあれど周期的に訪れる、ホラーブームオカルトブームで鍛えられているのか、

門外漢素人さんも寄っておいで!って感じに文章が平易で読みやすい。

図を使ったり別の学者さんの意見や原文を紹介したりと、飽きのこない仕上がり。さすが。


取り扱っているのはオカルト事象なのですが、ご本人はオカルトには全く興味なさげです。

霊がいたりいなかったり、祟りがあったりなかったり、それは心の底からどっちでもいい!!

なぜその話がその形で伝わったのか、そこが肝!!!

という、門外漢から見れば「そこ?!」って部分を熱烈に愛してらっしゃるんだねえ…


特に良いなあと思ったのは『支配者と御霊信仰』。

いや、第Ⅱ部の支配の始原学は全体的に特に良かった。

思いもしなかったけど言われてみれば!という腑に落ち具合と、

もうちょい詳しく言ってくれたら、古典とかがもっとわかりやすく楽しめるかも…

と期待させる匙具合が抜群。


確か図書館でがっつりした全集をお見掛けしたことのある筆者なので、

頑張って読み進めたい。