ラスボスらしく手が掛かったわ〜。
東雅夫編。世界幻想文学大全のうち一冊。
しまった神髄から手を付けてしまった!入門から行けばよかった!
『ザイスの学徒』 ノヴァーリス
好みなわけではないんだけど、いちばんインパクトあった。
何の話なのか、まっ………たく分からん!!
ふーん、この先生はあれかな、仙人みたいな感じ?あれ…先生の話は終わったの…?
…え、その少年はどうなった…つーか今何の話?自然について?火を噴く瞳をした若者…ってお前誰だ。
と、読めども読めども読み終わっても何の話か分からなかった…。
が、小難しい系か~飛ばそ。と読み飛ばすには文章が綺麗なんですよ~~~。
「縹渺たる青い姿の背後」「神聖なシャンデリアを形づくっているきらめく糸筋」「いとも妙なる響きと変幻する諧調」「千々の小暗い物悲しいひびき」…と、ちらちらと心魅かれる文章が目に入るため、飛ばすに飛ばせず。
いやちょっと、ホントに何が何だかわからない…が…美しかった気がしないでもない…ような気がする…と、感想までもが幻覚のような有様。
いくらなんでも幻すぎだろ!
『黄金宝壺』 E・T・A・ホフマン
『バブルクンドの崩壊』 ロード・ダンセイニ
この二つも好みではないんですが…私の『幻想文学』観を揺るがすインパクト。
『幻想』ってさ~、侘び寂びっつーか幽玄とかそういう、かすかな・ほのかなイメージなんだけど…
原色!!肉厚!!って感じ…やはり狩猟民族は体力が違う。
と、幻想文学を読んだ感想とは思えぬ感想が浮かびました。
まだバブルクンドは、栄華を誇った都が滅ぶよという諸行無常譚なので、ギリ私の思う幻想文学枠内。
黄金宝壺…これ冒険小説とかのジャンルじゃないの?
いきなり蛇に惚れる!胸の内に秘めるとか、蛇というのが暗喩で〜…とかでなくバーンと蛇に惚れて騒ぎまくる!
その騒ぎっぷりが絢爛豪華に加速!!魔術だアトランチスだと大騒ぎ!!
なんかもう唾とか汗とか飛んでそうだわ…。
異世界に行くというのは死と同義(ナルニアとかね)に捉える場合もあるかと思うんですが、
「いーやこいつは実際にアトランチスに行ってるね。このバイタリティなら週末ごとに人間界と行き来してても驚かんね」と思わせる逞しさ。
どちらも美辞麗句が凄まじく、観光地の千円ショップの軒先のようにギラッギラでジャラジャラ。
読むだけで疲れるが憎めん…。
『光と影』『沖の小娘』など、ザ・好みの幻想文学もあるんですが、インパクトで上記3点には負ける。
水彩画の街角スケッチと、金剛界曼陀羅くらい質感が違うんだもんよ…。
小松和彦。
神話・伝説・昔話などの構造分析を手掛かりに、日本人の精神の歴史を語る。
外れんな~~!
初論文集。
50年近く前の論文もあり、文章読みづらいかもな~と思ってたんですが、全然。
エンタメの波にもまれて文章が読みやすくなったのかと思ってたら、もともと上手いのか!
構造分析って、無味乾燥つーか、それやって面白い?私はあんまり…ってイメージだったけど、
テーマと文章が好みだとすごい面白いんやな~。
特になじみ深いテーマの、『屍愛譚をめぐって-伊弉諾・伊弉冉二神の冥界譚を中心に』がもろ好みでした。
横溝作品に死姦ネタ多いからね…。なじみ深いって、もちろんエンタメ枠内限定ですよ。
イザナギ・イザナミの冥界譚を死姦ととらえる、というのは、小松左京の短編にあったな~。
好むジャンルというのはシンクロするものだ…ネタが死姦ってのがアレですが。
論文なのでそうせにゃ話が進まんのでしょうが、短めの論文て、というか小松さんの文章か?
こう…死姦とは!美とは!愛とは!という定義を明確にしながら展開されるのがすごくいい。
取り扱われているのが日本の文化なので、
「そーそー、ふわっとそんな感じで思ってたんよ」という感触を明確にしてくれたり、
「そんなとこまで思ってもいなかったが、言われてみれば…」と納得したりとほんと面白い。
ここが好みでないと、「ねーよ!」って割合が多めになるんだろうな~と思われます。
小松さんホント好み。あのハードカバーのごっつい選集、チャレンジすべき?
死姦を出発点に、男女それぞれの愛や美の捉え方の違いについて、
わかりやすく面白く論が進み、オチにもってくるエピもぴったりかつ美しい。
わりと聞いたことある神話や民話が、言われてみれば愛の追及→破綻て図式になっているもんやな~。
ところでこう、好みジャンルを彷徨っていると、
「死姦といえば!」「「「「「上田秋成!!!」」」」」って印象を受けますが、偉大やな秋成…。
