緑ヶ丘ビーズ荘 -16ページ目

緑ヶ丘ビーズ荘

読書とビーズ。

新井素子。





遠い未来、惑星ナインに移住した人類は、原因不明の人口減を迎える。

打つ手もないまま、ついに<最後の子供>ルナの誕生を迎えてしまう…。





「生の意味を問い直し、絶望の向こうに確かな希望を見出す」

と裏表紙に力強く煽っているのですが…

これ、希望見出されてます?


読んでる間は確かに、希望を見出してる気がするんですよね。

ものすごく力強く前向きに、すべてを受け入れていくので。

読んでるこちらも力強く前向きに、希望に触れたような気がする…


…んですが、前向きに受け入れているのが『絶望』なので、

結局『前向きな絶望』であって、希望ではないのでは…

と、しばらくたってからじわじわくる。

新井素子さんらしいな~~~!!


この、見た目マカロンだが味は白子ポン酢、みたいな珍味ぶり。

ときどき無性に読みたくなる。





何といっても文体が独特なので、手を出すまでに相当躊躇していたのですが、

手を出したら止まらん感じなので、なんだかんだ長い間読んでるな~。

私コバルトのシリーズとか全部読んでたもんな。



ちなみにとっつきにくいのは文体だけではなく、

「カリスマ性があるらしいがその描写がないので、ちょっとアレな人にしか見えないキャプテン・リュウイチ」とか、

「悪い意味での鳥肌が止まらない、アカリが啖呵を切るシーン」とか、

相変わらず、結構な難所がしばしば設けられています。

ついてこれない者は去れ、という厳しさが感じられる…


乗り越えると「そうそう、この味。たまに食べたくなるよね~」って気分になれます。

もうとにかく、『この味』が特徴的すぎて、大きく外れることがない。

「新井素子読んだな~!」って感想が第一に来るので。


でもやっぱ上下巻は長かったかな…










ブラックウッド幻想怪奇傑作集。





必修古典怪奇小説としてちょいちょい名前の挙がるブラックウッドさん。

読んだことないな~でも多分今読んでもな~刺激が足りんそうやし…

と、探して読むほどではないが脳内には存在している方だったんですが、

図書館返却コーナーにひっそりと居られましたんで、一期一会と思って借りてきました。





うんまあ。

昔の怪奇小説なので奥ゆかしいよね…

霊現象はあるんですが、積極的に害はない。

もっとアクティブに呪ってくれんと、怖がりどころがわからんです。

こういう古典モノは純真可憐な年代で読んどかんといかんな。



こう、霊的存在が近くにあると、怖いとかより怠い…って描写は、

油断すると気力がなくなって汚部屋になってしまう身としては、

あ、あれってやっぱ悪い霊のせいかな~~~とか無責任なことを思って身近に感じられましたが。




ただ、一期一会の効能か、『野火』はきつかった…

読んでて熱い!

今年の、ホントに地獄の窯開きました?って猛暑と相まって、

そーそー、コレ地球の内部からも熱されてるよね?!とうなずきながら読みました。



『炎の舌』の、なんか嫌な感じの二人も…

話してるうちにそんなつもりじゃないんだけど悪口になってくことってあるしね~。

こういう人いるし、気をつけんと自分もそうなることあるよな…

と、結構古さを感じずに読めるのはさすが必修科目か。




『転移』も、

お~っそんな昔にエナジーバンパイアネタ?!先見の明がおありで!って感じでびっくりしました。

オチも効いてたし。



なんだかんだでソコソコ楽しんだな…

大ヒットってわけではないけど手堅い印象。

あと、とりあえず必修科目一個クリアって満足度も高いw


丸山天寿。

犯人バレあります。





メフィスト賞受賞作。

ですよね~!という、メフィスト賞らしさ全開でした。


始皇帝の命を受けた徐福が、不老不死を研究するための施設を建設し繁栄する琅邪の街。

街の二大商家、西王家と東王家に立て続けに起こる怪事件。

悲劇を阻止するため、警察官である希仁は徐福塾の医師らとともに奮闘するが…







できる限り壮大な奇想天外さを!という心意気の感じられる、メフィストものらしい元気な作品でした。

キャラ毎に特色・属性をつけてくれているため、わかりやすい反面ちょっと煩いかなー…

ストーリーはぐんぐん進んで読みやすいんですが、好みではなかったです。





この好み部分は、犯人または探偵の性格によるよな~~~。


新本格(あれ、まだこのジャンル名称でいい?今はなんか違う呼び方になってる?)って、どうしてもすっごいことやらかさないといけないじゃないですか。

人ひとり殺すために館を立てたり。死体を何体もぶつ切ったり。

これをやらかすため、犯人のメンタルもまあ結構なメンタル設定にならざるを得ないのですが…

ここはホント、合う合わないの部分だからな~~~。

エンタメミステリの作中なので、法的にとか道徳的にとかでなく。


で、今作は犯人のメンタルが私には合わなかったです。




実の父に復讐しようとして、娘であることを隠して嫁に入ったら父が良い人だったので惚れる。

腹違いの弟兼義理の息子も、慕ってくれたので恋人になる。

腹違いの妹兼義理の娘とも、両性具有だったんで愛し合うよ!


という犯人像を示されてしまうと、もう死体の入れ替わりとか屋敷消失とか、どうでもよくなってしまいますが。

そのメンタルがありなら何でもありですよね~って感じで。


新本格物はコレがあるから、好みにあたるの中々難しいんだよな~…