緑ヶ丘ビーズ荘 -15ページ目

緑ヶ丘ビーズ荘

読書とビーズ。

J・ティプトリー・ジュニア。





もうかなりな長い間、

『たった一つの冴えたやり方』という作品を読んでみたいな~、

と思ってるんですよ。

耳に残る印象的なタイトル、折々目にする高評価…


にもかかわらず、なんでかチャンスを逃したまま未読。

あ、この人読むなら『たった一つの~』読もうと思ってたのに~、ま、いっか。

と、今回も逃してこちらを読んだのですが…

なんでチャンスを逃すのかわかりました。


ティプトリーの「感動」分野に疑問を抱いているからだな。私が。

感動つーか、良い意味での少女小説風味というかリリカルさというか。

『たった一つの~』って感動作ぽいタイトル・評価・表紙だったよね?


え~ほんとに~~ティプトリーで~?

という懐疑が、読むチャンスをみすみす逃しているのだ。多分。


何読んだ印象か定かではないけど、

ティプトリーの印象って…

『アメコミぽい骨太のバカエロ』または『身も蓋もない冷徹さ』なんですよね…

と、この短編集でも印象を新たにしました。





『地球は蛇のごとくあらたに』


バカエロ代表。

ポジティブでアクティブでインテリのバカ。

そのすべての要素でスケールがでかい。

地球に愛されている・愛しているという信念を貫く女性の一生。

結局、地球から愛されているわけではなかった…のですが、

いやでも、君はやるだけやったよ!立派だ!!

そこまでやったら、結果はどうあれ、君も満足なのでは?!

と、健闘を称えたくなるバカエロ。

わりとこういうの好きです。





『もどれ、過去へもどれ』


冷徹代表。

ドンを殺す→ダイアンが長生きできない→長生きしてないならそもそも55年後へタイムトラベルできないのでは→55年後に行かなかったらドンを殺せないのでは→ドンを殺せないと長生きする→…

という、タイムパラドクスのモヤモヤ感はもちろんのこと、

「細かいことはいいんですよ。

真実の愛に触れようと触れまいと、愚かな生き物に救いなどないってことをわかっていただければ。

あ、これは意地悪で言ってるわけじゃなくてね?」

という、身も蓋もない感。

だってさ~、途中までの流れから、

「その記憶は持って帰れないけど、真実の愛に触れた体験が、ダイアンの過酷な時代を生き抜く力になるんだな」

って思うじゃないですか。

血も涙もない結末にしましたな…


『肉』もそんな感じでしたが、

この

「無知で無力な生き物に救いなどない」

という淡々とした冷徹さが…軍人さんだったから?



嫌な感じでもガッカリでもないんですが、

この作風で感動モノ…?

本当にティプトリーの感動作って、私の好みでもイケるのか…?という

『たった一つの~』への躊躇いになっている気がします。



ロマンティック時間SF傑作選。中村融編。





ジャック・フィニイ、ロバート・F・ヤング他

となっており、

掲載順でもアルファベット順でもない…

ネームバリューか~シビアっすな。

と思いながら読んだんですが、


なるほど。

本当~~~に、この二人の短編がダントツでロマンチックであった…






ジャック・フィニイ『台詞指導』


20年代の古き良きアメリカをテーマにした映画撮影中、

それとは気づかないほどささやかに、当時にタイムスリップしていた。

そのタイムスリップに気づいたとき、一人の女優の演技と人生が変わっていく…

という、起承転結で言ったら『起』の部分ぽい短編。


これが!

すごいロマンチックだった!

とくに20年代で華々しいエピなんかなく、

こういう車が走ってて、服装はこんなで…と描写されてるだけなのに、

「そうそう…いい時代だった…」みたいな気分になる。

いやいや、20年代のアメリカなんか知らんから!

どういう仕組みでそんな気分にさせられるのか、謎だ…。


ロマンティックSFではなく「コレがロマンティックだ!」と言われても、

「なるほど!」と思うほどのロマンチックでした。

もう、ロマンチック師匠って感じっすな~…





ロバート・F・ヤング『時が新しかったころ』


白亜紀後期へのタイムトラベル、そこで出会う超高度文明を持つ火星の子ども…

と、フィニイの作品と異なり、がっつりSF推しの短編。

何人たりとも私の作品からSFの冠を取り去ることは許さん、という気合が感じられます。


バリアを張ったり爬虫類型ビーグルで誘拐犯と戦ったり、

キャンプファイアーでホットドッグにマシュマロ!

とお楽しみ満載。よう短編にまとめたな。


とにかく子どもが可愛い!

マーシーが、カーペンターに冷たい女性に腹を立てるところなんか、

礼儀正しい口調がいい味で、いい子やな~!!とウルっとくるほど。

しかもここでのセリフがオチにつながるという…


ただ子ども時代が可愛すぎて、

あ~、まあそうするしかないけど、最後色恋沙汰で落としちゃうか~…

というのが、わずかながら残念でした。





あとさ…なんかこう…両作品とも…

タイトルそれで良かったん?




投稿写真

久々に 珈琲 伊藤 のワッフル。
誘惑に負けた…
またしばらくネギとキノコで暮らさねば…。

#ワッフル