緑ヶ丘ビーズ荘 -14ページ目

緑ヶ丘ビーズ荘

読書とビーズ。

東雅夫編。

オチばれネタばれあります。


信頼の東さん。

ところで検索すると、候補に「お名前+女好き」と上がってくるのが謎だ…

誰か別の東さんのことだろうか…?

こんだけ読んでてコンスタントにアンソロ出版、講演もやってて、

かつ噂になるほど女好きだったらすげーな。体育会系?






『天守物語』 泉鏡花


ものすごく横溝成分に飢えてた時期に、

谷崎と鏡花が結構影響与えてるよ!という評判を聞いて、手を出したお二方のうち、

谷崎は「んー…まあ…もういいかな」って感じでしたが、

鏡花はかなりの高確率でヒットが多かったです。

多分谷崎さんの文章は、知的で冷静すぎるんでないかと思う。私には。


ご本人は浪曲嫌いで名高かったというので、コレ言うと怒られそうですが…

泉鏡花って、ど艶歌ばりに文章にこぶしが効いてますよね。

天守物語だと、「千歳百歳にただ一度、たった一度の恋だのに。」とか。

恥ずかしげもなくグイグイ押してくる感じが。

書いてるうちに盛り上がってきました!!ってノリでグッときます。

しかも盛り上がりどころが頻繁にあるので、ゴージャス感がすごい。





『山姫』 日影丈吉


個人情報保護、という概念があったかどうかもわからない時代の作品…

とは言え、そこまで一般人の生活をばらしていいのか?

と、紀行文だと信じて読んでました。


まんまと騙された!

いや、画学生との会話あたりから、そんなに人のセリフ覚えてないだろうし、

若干創作入れてるんだな~くらいには思ったけれども。

ラスト一文を読むまで、エッセイとしか思ってなかったもんな~~。

びっくりした!怖かった!!

あの、こー…お姫様の顔がカタっと鬼に代わる、伝統芸能のからくり人形のようでした。






『件』 内田百閒


いつかどこかで読んだことがあるような…

というのは気のせいで、なんかこういう夢を見たことがあるのかもしれん。

という、ボンヤリした既知感を感じる作品。


いや実際なんかのアンソロで読んだんだと思うんですけど。

なんつーか、えっ、内田百閒てジャンルSF?

筒井康隆とか小松左京とかと一緒のアンソロに入ってても、違和感ないよね?

もやもやした、目が覚めたら寝汗がひどい…って感じがうまい。


あ、でも小松左京のトラウマで、件自体が怖いんでそのおかげもあるかもしれないです。




















浜たかや編著。






すんごい大作らしいんで、原文は敷居が高すぎる…。

ざっとあらすじを確認したい。でもあらすじだけってのも味気ないか?

と贅沢を言って、手を付けるのをためらっていた八犬伝。

ネットではおススメとして、必ず浜たかやさんの児童書が挙げられており、

ようよう手を出しました。



良かった!



見どころに次ぐ見どころを、あんまりうるさすぎない雰囲気にまで整理してくれていて、

大変読みやすい&わかりやすい!

あんまり説明的にならずに、ちゃんと流れに乗れて面白かったです。

キャラもそれぞれ個性的で魅力的。

キャラの説明だけでも結構ページ喰うから、苦労なさったでしょうなあ…


ど~したって、そこもうちょっと詳しく読みたい…ってとこは出てきますが、

それがまた、もうちょい原文に近いやつも読んでみようかな~という気にさせてくれます。


児童書なので、オドロオドロしい雰囲気というよりも、

晴れやかな爽やかなイメージの方が強いのですが、イラストで上手いこと補ってた。

山本タカトさんて、異形の扉絵かなんかでお見掛けしましたっけ?

妖艶でぴったりのイラストでした。



ところで原文読んでないんで、

コレが馬琴の原著でもそうなのか、浜さんの好みなのかわからないんですが…


小文吾が突出していいキャラだよね?


各犬士とも見せ場はあるんですが、明らかに小文吾が目立ってるんですよね~。

こう、出てくるとこちらの顔がほころぶような。


特に良かったのが、船虫を捉えた時。

船虫から「あんたも呑め」と言われて、素直に一緒に呑むんですが…

その直前に「私が一服盛ってあんたの目を悪くしたんだよ~」って言われてるのに!

呑気かつ豪気!!


キャラの属性からすると、最も私好みなのは道節だと思うんですが、

ストーリーを追っていると小文吾ファンにならざるを得ない…


何となく、「浜さんのイチオシが小文吾なのでは」と思うので、

他の八犬伝も読んでみようと思いますw





東雅夫編。


ファンタジー耐性がないせいか、怪獣って縁遠いんですよね。

ヒーローもウルトラマンよか戦隊モノ派だったので、

そもそも巨大って概念にそんなにグッとくるものがないのかな~。


と、思いつつだったのですが結構面白かったです。


ゴジラが核兵器の恐怖なんたら~というのは聞いたことありましたが、

怪獣華やかなりし頃…って、まだまだ戦火の惨劇・核兵器の衝撃が生々しかったんだな~。

人知を超えた何らかの存在が、人知の傲慢を破壊する…というテーマがはっきりしており、

意外と今読んでも面白い。

さすがに放射能が万能すぎだろ、即効性のある黒魔術みたいになっとる…という違和感はありますが。





『「ゴジラ」の来る夜』 武田泰淳


武田さんて読んだことないけど、純文畑の人でなかったっけ?

あー…ゴジラが来る夜の人間模様を風刺的に描く!みたいな感じか…

と、早々につまらなそうだと見切ってたら、ラストでものすごいビビらされた。

いらんやったやん、その人間模様とか殺人事件とか!!


問答無用の滅亡を描いたら、ページが余ったんで前にコントを書き足しました、

みたいなノリだった…油断してたので鳥肌立ったわ。





『マタンゴ』 福島正実


かの有名な。見たことないんですけど、ご高名はかねがね。

元ネタの『闇の声』の後に収録していてくれるため、どちらも美味しく味わえます。


つーか福島さんてなんか…家にあった黒い背表紙のSF文庫たちの中におった?

なんか文章つーかノリが、懐かしいというか親しみを感じるというか。

煮詰まってくる人間関係、ジワジワ近づいてくる恐怖の源、

そしてラストの、幻覚なのが現実なのか惑わす余韻…

そうそう、コレコレ!私がSFに求める雰囲気ってコレですよ!と膝を打ちたくなりました。






『マグラ!』 光瀬龍


え~…当たったからって俺に怪獣を振られましても…

もう巨大化したらいいんだろ、魚だからマグロ→マグラってことで。


と、やる気なかったことを正直に打ち明けるご本人のエッセイが載っております。

短編なので色々唐突だな~と思っていた点は、そもそもやる気なかったからか?

(とくにラブロマンスの唐突さ。乱丁かと思った。)


しかしこれが冒頭から、オドロオドロし~い、いい雰囲気で。

科学の傲慢を警告する土着信仰、ショッキングな死体描写…と、

やる気出したら、半村良ばりの一大ロマン巨編になったのではないかと思わせる惜しさ。

やる気なくてコレか!やる気出せよ!