ランチで夢をかなえる人のファーストステップ ■書評■ 『アライアンス・ランチの教科書』 | 知磨き倶楽部 ~ビジネス書で「知」のトレーニングを!~

ランチで夢をかなえる人のファーストステップ ■書評■ 『アライアンス・ランチの教科書』


ランチタイム、あなたはどのようにこの時間を使っているだろう?
同僚(上司・部下)と近場にランチに出かけたり、つかの間の息抜きとして一人で静かに過ごしたり、自己研鑽のための勉強や読書に励んだり、はたまた仕事が忙しすぎてメールチェックなどしながら慌ただしく過ぎていったりと様々だろう。
ちなみに、上で挙げた例は基本的に僕の過ごし方だったりする(笑)

著者の平野さんは「「ランチ」こそが、夢をかなえる第一歩(p.2)」と断言する。
そのためには上に挙げたようなランチタイムの使い方ではなく、本書で提案されている「アライアンス・ランチ」を実践することが大切だ。
ちなみに、平野さんの著書を読んだことがない人のために、あらためて平野さんの唱える「アライアンス」について振り返っておきたい。

アライアンスとは: 私が提唱している「アライアンス」とは、「周囲の人から長期的な信頼を獲得し、その人たちの力を借りて成長していく」という考え方を指しています。
 さらにシンプルにいえば、「周りの人に助けてもらえる人材になる」こと。その結果として「自分のやりたいことを実現できる力を手に入れる」というわけです。(p.5)

確かに、僕のランチタイムの使い方ではこういった「アライアンス」に繋がっていく気配など微塵もない。
ランチタイムを有効に使って自己研鑽しよう!という考え方もあるだろうし、それはそれで「夢をかなえる第一歩」なんだと思ってやっていることなのだろう。
ただ、現代にあっては一人で成し遂げられることなんてそれほど多くはないわけで、そういう観点から、平野さんは「アライアンス・ランチ」による人脈作りなどの重要性をこれまでの著書でも唱えてきた。

それなのに、あまりにも多くの読者が読んだだけで実践していない様子を見るにつけ、もう若い人向けの啓発書的なビジネス書を書くのは止めようと思ったとか。
うーん、耳が痛くないと言えば嘘になる……(汗)
しかし、そんな平野さんを口説き落としたのも、実は本書の編集者がしかけた「アライアンス・ランチ」の効果だとか。

実行あるのみ!: 私が実践する「アライアンス・ランチ術」を使えば、今すぐにでも、将来あなたに力を貸してくれるであろう素晴らしい人材とつながることができるのです。人見知りでも、口ベタでも、全く問題ありません。(p.12)

今すぐにでも、とか言われると逆にちょっとひるんでしまう僕がいるのだが(汗)、そういう「ほんとかよ~」的な態度を取る人に限って、理屈をひねり出しては結局実行しない。
つべこべ言わずに、素直にランチタイムの使い方を変えてみるべし! だ。

とはいえ、いきなり見ず知らずのエグゼクティブやら著者やらに連絡してランチに誘うという行為は、字面を見るだけでもハードルが高いという人が圧倒的多数だろう。
(そうじゃない人は既に実践しているか、あるいは本書を読んで平野さんにいきなりメールできるタイプの人だろうが、僕は違う。)
だから、取り組みやすいところから取り組んでみればいいわけだ。
そもそもエグゼクティブや著者などとランチをする、ということが肝ではないのだから。

とにかくどんどん会ってみよう!: 大切なことは、他社の方や他部署の方と時間がある限りランチを繰り返してみることです。何度もやっているうちに、人付き合いが苦手な人であっても余裕ができて、いろいろは発見が生まれます。自分の知らなかった世界が広がっていることでしょう。(p.41)

あの人と知り合っておけば得しそう…とか、最初からそういう下心をもって相手を選んでもダメ。
平野さんは、そんなことよりも「自分と波長が合うかどうか」が重要だと説く。
それだって結局のところは話してみなければ分からないわけだから、とにかくどんどん会ってみよう!ということになる。
ファーストステップとしては「半径3メートルにいる仲間を誘ってみる」なんていう、超身近なところからスタートしてもOKだそうだ。
(普段から仲良しで一緒に行動している仲間ではなく、一度ゆっくり話してみたいなとか、ちょっと苦手かも…と思っている人くらいから)

これならかなりハードルが低いのではないだろうか。
僕の場合は、10名ちょっとの小さな会社で働いているので、半径3メートルの仲間でランチに行ったこともないような人はいないけど、確かに同じ会社で働いていながら、ランチに一緒に行ってみて印象が変わったという経験は何度もある。

とすると、僕の次のステップは、元同僚でちょっと疎遠になってしまっているような人だとか、勉強会などで何度かお会いしたことのあるブロガー仲間とか、そういう方を誘ってみるということなのかもしれない。
ああ、ドキドキするなあ(笑)

しかし、生きた人脈を作っていくためには、やはり何度も実際にお会いして話をしていく以外にないというのは事実。
さらに、こちらからの一方的なラブコールでは「人脈」とは言わないわけで、相手にも「会ってよかった」「また会いたい」「人に紹介したい」と思われるようになっていかなければいけない。
(本書でもまずは自分を磨き、自己ブランディングを行うこととしている。)
ただ、そのことに引っかかっていると、いつまで経っても先に進めないので、会社の名前も最大限利用するなど、若い人でも色々とできることを本書では教えてくれている。

若い人たちが実行に移さないことを嘆いて、一度は「アライアンスシリーズ」で若い人向けに書くことを止めようと思った平野さんが、敢えて再び若い人向けに書いた本書だからこそ、実践する気構えのある人だけ読めばいい。
それによって生まれる「差」は、時間が示してくれるはず。

追伸:
本書には特別付録として「エグゼクティブが選んだビジネスに使える名店60」が付いている。
(そのため実質的な分量は160ページほどだ)
僕は東京で働いているので活用可能だが、それでも頻繁に利用するには経済的な打撃の大きい店ばかり(汗)
さらに、大阪の4店舗以外は全て東京のお店であり、東京以外で働いている人にとっては活用の機会もほとんどないだろうと思われるので、その点はあらかじめご留意のこと。

※ 本書は徳間書店編集部の高嶋様より献本いただいた。この場を借りて御礼申し上げたい。

追記(2010/10/19)

本記事にコメントもいただいていますが、『語学力ゼロで8ヵ国語翻訳できるナゾどんなビジネスもこの考え方ならうまくいく』や『8カ国語翻訳者が明かす 大人のための「超手抜き」英語勉強法』の著者である、水野麻子さんとのアライアンスランチが実現しました。
最新刊の出版の裏話などもお聞かせいただき、大変楽しいひと時でした。
アライアンスランチ、いいですよ!


■ 関連リンク

著者ブログ: ★カール教授のプラットフォーム*アライアンスインサイト★
著者Twitter: @carlhirano


■ 基礎データ

著者: 平野敦士カール
出版社: 徳間書店 2010年9月
ページ数:214頁
紹介文:
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