■書評■ 人生で大切なことはすべてプラスドライバーが教えてくれた | 知磨き倶楽部 ~ビジネス書で「知」のトレーニングを!~

■書評■ 人生で大切なことはすべてプラスドライバーが教えてくれた


人は、どんな境遇にあろうと、どんなもの・ことからであろうとも人生における大切なことを学び、成長に向けて生き方を変えていけるのだという好例。
マラソンから学ぶ人、RPGで学ぶ人、マンガで学ぶ人……、そして本書のようにプラスドライバーから学ぶ人。

気にはなっていたのだけれど、もしドラ風の装丁に狙いが感じられて正直引き気味だった。
(しかも内容にはほぼ関係ないし。これ本書に対する唯一の不満。)
しかし、それだけを理由に読まないというのは、なんだかもったいない本なのではないか…という気にさせられてきたのもまた事実。
そして、最初に一言で言うのならば「読まずに済ませないでよかった」と言っておきたい。
クルマになんて興味がなくてもそう思えるはず。

ちなみに、僕自身、取りたてて車が好きだということはない。
自動車免許は仕事で必要だったから持っているし、自家用車も持ってはいるけれど、運転するのが好きだと思ったことは一度もない。
典型的な週末ドライバーだから事故さえ起こさない程度の運転ができればいいと思っている(妻に言わせればそれも怪しいレベル)。

また、以前、免許取り立てでクルマに関する知識のない若い女性が登場するCM(クルマ関係なのは間違いないが、なんなのか忘れた)があったのだけれど、何で若い女性=クルマに関する知識がない的な図式が世の中に成り立ってるんだろう。
恐らく、僕は世間的に免許取立ての若い女性が思われているのと同じくらいに知識がないと思う。
興味もないからエンジンルーム覗いたってちっとも覚えられないし(覚えようとしないとも言う)。

それでもクルマに関する例えが使われた本書の人生訓(著者の原さんが学んだこと)が響くんだよね。

自分の人生、自分で運転しようぜ!: 「オートマなんておもしろくねぇじゃん。アクセル踏んでたら、勝手にギヤが変わっちゃうんだぜ。自分でギヤを選ぶから楽しいんじゃねえかよ
(中略)
 「考えてもみろよ。クルマに勝手にギヤを決められたらイヤだろ? なんでもそうだろうが。自分がすることを、他人とか周囲から決めつけられたらおもしろくねぇだろ。ちょっと大げさかも知んねーけどさ」(p.24)

僕も免許はマニュアル車で取ったけど、クルマはこれまで全部オートマ(笑)
まあ、僕の場合、クルマは完全に快適な移動を実現する為のもの、という割りきりが自分の中にあるのでマニュアル車にしようという気は今も全くないが、人生に例えるならば別。
というか、自己啓発本なんて読み漁っているけれど、結局のところ、人生を自分の思うようにコントロールして、なりたい自分になる、自分のしたいことをできるようにすることが目的なはず。
言っている事はちっとも新しくなんかない。
そうではなく、普遍的で、大切なことだからこそ、何を通してでも学べてしまう。

人生も、ドリフト走行で!: 「横を向いてもアクセルを踏んでいけ。視線は常に進行方向を見ておけ」
(中略)
 そんな怪しい念仏を唱えているうちに、ボクの今までの人生も、ドリフトみたいなものだと思えてきた。
(中略)
 ドリフトのように左右に振れることがあったとしても、常に進む方向を見ながら、アクセルを思いっ切り踏み込んでいかなきゃいけなかったんじゃないだろうか。(p.38-39)

人生における目標とか、目線の高さとかそういうものの大切さ。
大ベストセラーの『7つの習慣』にあった「ミッションステートメント」をはじめとして、これも自己啓発書を読めばたいてい学べること。
しかし、どういう言われ方をすればその人の腹に落ちるのかということがよく分かる。
ドリフト走行で行くならば、くれぐれもコースアウトだけはしないように気をつけなければいけないけれどね(汗)

※ ドリフトの分からない方のために念のため動画を。


余計な思いは捨ててしまえ!: 「捨てることで速く走れる」
 これは、クルマだけでなく、人間自身もそうかも知れない。
 ここのところのボクは、会社での嫌な思いとか、先輩に対する怒りとか、同期の山下に対する妬みとか、いろいろなものを抱え過ぎていたように思う。
 そんなモノは、重い荷物になるだけだから早く捨ててしまえばよかったのだ。
 余計なことは考えずに、仕事に集中する。
 お客様のために全力を尽くす。
 それが、今のボクがしなきゃいけないことなんじゃないだろうか。(p.109)

まあ、これも自己啓発としては言い古された感があることは否定しない。
しかし、全くその通りだし、そして自分を顧みたときに同じように抱えすぎてしまっているものがあることに気づく。
なぜ、こんなに原さんの当時の状況、心境に共感してしまうのだろう、と思うくらいに自らの思考回路がオーバーラップする感覚。

あ、もしドラ風の装丁からフィクションのように誤解されがちだけれど、本書は実話。
本書を読んでも僕らがプラスドライバーから何かを学べるようになるわけではないし、プラスドライバーから学びましょうということでもない。
どんなところにも見受けられる、普遍的で大切なことを、原さんの物語を通じて感じ、自分自身の生活の中に探してみよう。

追伸:
実は本書は感動的な物語という一面も持ち合わせているのだが、それについては実際に読んで感じてもらいたい。

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■ 関連リンク

公式サイト: 人生で大切なことはすべてプラスドライバーが教えてくれた
著者ブログ: 人生で大切なことはすべてプラスドライバーが教えてくれた

■ 基礎データ

著者: 原マサヒコ
出版社: 経済界 2010年3月
ページ数: 268頁
紹介文:
生まれつきの障害は、いつも目の前に立ちはだかっていた―。失敗と挫折、そしてめくるめく歓喜。人生の生き方を描く「逆境を乗り越えた」男の実話。
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