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【書評】仕事するのにオフィスはいらない

サラリーマンとして毎日定時に会社に出社するという働き方のみならず、働き方には色々な形態があり、今の世の中は多様化した選択肢を、実際に選択することができるようになってきている。


本書は副題が「ノマドワーキングのすすめ」とされている。

「ノマド」という聞き慣れない言葉については、まえがきに解説があるので少し長らくなるが引用しておきたい。

日本語に直訳すれば、「遊牧民」。北アフリカの砂漠や中央アジアの草原で、羊や牛を追って生活している彼らが、ノマドです。

でもこの本で語るノマドは、遊牧民のことではありません。

遊牧民がラクダという砂漠で最強の乗り物を駆り、オアシスからオアシスへと移動しながら生活しているように、狭苦しいオフィスを出て、さまざまな場所を移動しながら働いている人たちです。

言ってみれば「オフィスのない会社」「働く場所を自由に選択する会社員」といったワークスタイルを実践している人たちのことです。


著者の佐々木さんは「ノマド」をこのように定義することで、こうした働き方を推奨しているのだが、やみくもに何でもかんでも推奨しているわけではない。

はっきりと「セルフコントロールができないタイプの人は、ノマドワークスタイルには向きません。」と断言している。

僕も賛成なので、この点については誤解がないように本書を読み進めてもらいたい。



そんなノマドの特性を佐々木さんは4点指摘している。


ノマドの特性

第1に、ノマドは本質的なフリーランサーです。

第2に、ノマドは、パーマネントコネクティビティで動いています。

第3に、ノマドはアテンションをコントロールする人たちです。

第4に、ノマドは鍛え上げられた情報強者です。

これらの特性について、内容から身につけ方、活かし方まで本書で詳細に説明されており、ノマドワークスタイルに憧れを持つ人は是非一読してもらいたい。



ただ、こうした働き方に憧れを抱いても、多くのサラリーマンは自分でそうした働き方を選べる状況にあるわけでもないだろう。

会社としてノマドワークを実践できる物理的な環境が整っていないケースも非常に多いだろうし、周囲の理解が得られないケースはもっと多いだろう。


そんなサラリーマンの方々でも、上記のような特性を身につけ、普段の仕事に生かすことにより、仕事の生産性を劇的に変化させることができる可能性を秘めていると思う。


さらに、第5章の「クラウドを使いこなす」に紹介されている各種ツールは、ノマドスタイルであるか否かに関わらず、多くのビジネスパーソンにとって知っておきたい知識である。

これは本書のもう一つの目玉であると思われるのでここでは紹介を控えるが、僕も既に採用させていただいているものがいくつかある。

ただ、一つだけ紹介させていただくとすれば、Webブラウザは、やはりFirefox を推奨されている。

僕は勝間和代さんが推奨してから存在を知ったのだが、最近随分と利用者が増えているような気がしているWebブラウザだ。

しかし、今、僕はLunascape の操作性に慣れてしまってから、どうもFirefoxでの閲覧にストレスを感じてしまう。

きちんと比較検証できるほどにITスキルが高くないので申し訳ないのだが。。。



ノマドワーキングを実践しようとしている人は勿論のことだが、そうではなくても、仕事の生産性を少しでも高めたいと思うすべての人に一読してもらいたい一冊。



【併せて読みたい】


貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する

(書評記事は こちら


ダンゼン得する 個人事業者のための会社のつくり方がよくわかる本

(書評記事は こちら


【基礎データ】

著者: 佐々木俊尚

出版社: 光文社(光文社新書) 2009年7月

ページ数: 248頁

紹介文:

スマートフォンとクラウドが新しい働き方を可能にする。

さらば残業!さらば満員電車!自分の時間を増やし、人生を豊かにする“遊牧民”的働き方とは?


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