米国では住宅価格の上昇によって、持ち家世帯の資産が過去最高を更新しました。一方、近年住宅を購入した人の一部では、ローン残高が住宅価格を上回る「含み損」が増えています。
住宅市場が二つに分かれていることを示す、興味深いデータです。
住宅ローン関連データを提供するICEが2026年8月10日に発表した調査によると、住宅ローンを持つ所有者の住宅資産は、2026年第2四半期に初めて18兆ドルへ達しました。
このうち4,750万人は、住宅を売却せず借入れなどに活用できる「引き出し可能な住宅資産」を合計11.7兆ドル保有しています。ICEによれば、1人当たりの平均は約21万2,000ドルです。
住宅価格も再び上向いています。2026年7月の全米住宅価格は前年同月比1.5%上昇し、伸び率は14カ月ぶりの高水準となりました。ただし、金利上昇の影響で直近の月次上昇は鈍っており、今後も同じペースで価格が上がるとは限りません。
好調な数字の裏側では、約81万3,000人の借り手が、ローン残高より住宅価値が低い「アンダーウォーター」の状態にあります。その人数は前年から44%増加しました。
特に影響を受けているのは、価格が高かった2022~2025年に購入した人、FHA・VAローンの利用者、そしてピーク時から住宅価格が下落したテキサス州やフロリダ州です。
差し押さえ後に金融機関が保有するREO物件は、2026年6月に周辺の類似物件より平均27.5%低い価格で売却されました。これは過去20年以上でも大きな割引率です。ただし、差し押さえ件数自体はまだ少なく、安いREO物件が市場に大量に出ているわけではありません。
住宅ローン金利も依然として高水準です。Freddie Macによると、8月20日時点の30年固定金利は平均6.65%。2週連続で低下しましたが、前年同期の6.58%を上回っています。
投資家が米国住宅を検討する際は、全米平均価格だけではなく、購入時期、地域別の価格推移、ローン延滞、REO在庫を確認することが重要です。特にテキサス州とフロリダ州では、人口増加だけで判断せず、郵便番号単位で在庫と値下げ状況を見る必要があります。
米国の住宅所有者全体は豊かになっていますが、その恩恵は均等ではありません。今後は資産を多く持つ長期保有者と、高値で購入した最近の買い手との差が、さらに注目されそうです。
