米国の研究所やバイオ企業向け施設「ライフサイエンス不動産」に、回復の兆しが見え始めました。

Newmarkが2026年8月13日に公表した調査によると、2026年上半期にはライフサイエンス企業18社が新規株式公開(IPO)を実施しました。資金調達環境が改善すれば、研究開発の拡大や新たな施設需要につながる可能性があります。

一方、不動産市場の現状は依然として厳しい状況です。

CBREによると、2026年第2四半期の全米ラボ・研究開発施設の空室率は過去最高の23.8%に達しました。純吸収面積もマイナス120万平方フィートとなり、2四半期連続で入居面積が減少しています。

平均募集賃料は年間1平方フィート当たり65.95ドルで、前年同期比8.1%下落。これで6四半期連続の低下となりました。特に西海岸市場で、テナントの退去や面積縮小が影響しています。

ただし、先行指標には明るい動きがあります。

バイオテクノロジー分野の研究開発雇用は2023年半ば以来の高い伸びとなり、年間ベンチャーキャピタル投資額も2022年第3四半期以来の水準まで回復しました。テナントが探しているラボ面積も、約50万平方フィート増加しています。

さらに、新規建設は今後10年間で最低水準になると予測されています。供給が減るなかで企業の資金調達と施設需要が回復すれば、現在の供給過剰が徐々に解消される可能性があります。

一方、「ライフサイエンス市場の回復」という言葉だけで物件を選ばないことです。

テナントの資金残存期間や信用力、賃貸借契約の残存期間に加え、ラボ特有の空調・電力・給排水設備、退去後の転用可能性、テナント誘致に必要な内装工事費まで確認する必要があります。

市場全体には空室が多くても、大学、研究機関、製薬会社が集積する地域の高品質な施設から先に回復する可能性があります。資金市場と雇用の改善が、実際の入居率上昇へつながるかが今後の焦点です。