成長都市として注目されてきたテキサス州オースティンで、集合住宅ローンの潜在的なリスクが高まっています。

Treppが2026年8月6日に公表した分析によると、オースティン都市圏の証券化された不動産ローンの延滞率は、7月中旬時点で1.46%でした。まだ深刻な水準には見えません。

しかし、集合住宅に限ると、ローン残高の17.3%が「ウォッチリスト」に登録されており、全米50大都市圏で最も高い比率となっています。

 

ウォッチリストは延滞を意味するものではありません。収益低下や返済余力の悪化などにより、継続的な監視が必要と判断されたローンです。

 

背景には急速な供給増加があります。オースティンでは2022年から2025年に7万5,000戸を超えるアパートが完成しましたが、同期間の需要吸収は約5万2,000戸でした。さらに、2026年第1四半期末時点で1万6,407戸が建設中です。

 

監視対象となっている集合住宅ローンは約34億3,000万ドル。そのうち2022~2025年に組成されたローンが72%を占めています。

 

対象物件の加重平均入居率は、融資実行時の93.4%から85.1%へ低下しました。純キャッシュフローを年間返済額で割ったDSCRも1.35倍から0.90倍へ悪化しています。平均的には、物件収益だけで借入返済を賄えない状態です。

 

投資家がオースティンの集合住宅を検討する際は、「人口増加都市」「築浅物件」という理由だけで判断できません。周辺の建設中戸数、実質賃料、入居促進のためのフリーレント、ローン満期、金利上昇後の借換え条件まで確認する必要があります。

 

延滞率は過去の問題を示す数字ですが、ウォッチリストとDSCRは今後のリスクを早めに知る手掛かりになります。市場の表面だけでなく、物件の返済余力を見極めることが重要です。