米国では今、富裕層が税負担の大きい州から、税制上のメリットがある州へ移住する動きが続いています。

米不動産情報サイト「Zillow(ジロー)」の共同創業者であるリッチ・バートン氏が、長年暮らしてきたシアトルを離れ、ラスベガスの住民になったことを明らかにしました。

バートン氏は約20年前にZillowを共同創業し、現在も共同会長を務めています。旅行予約大手Expediaの共同創業者でもあり、Forbesによる推定純資産は約12億ドル、日本円にして約1,920億円規模とされています。

「正式にラスベガスの住民になりました」

バートン氏はSNSで、次のように報告しています。

「正式にラスベガスの住民になりました。子どもたちは独立し、夫婦だけの生活になりました。人生の新しい章を始めることを楽しみにしています」

今回の移住は単なる個人的な転居ではなく、米国で進む「富裕層の資産移動」を象徴する出来事として注目されています。

シアトルからの富裕層が増加

ラスベガスの高級住宅市場では、カリフォルニア州だけでなく、ワシントン州シアトルから移住する富裕層が急速に増えているようです。

現地の高級不動産会社によると、1,000万ドル以上の住宅を購入するカリフォルニアからの顧客1組に対して、シアトルからは500万ドル以上の住宅を購入する顧客が約2組いるとのことです。

つまり、ラスベガスに流入する富裕層の中心が、これまでのカリフォルニアだけでなく、シアトルにも広がっているのです。

背景には、ワシントン州で予定されている税制変更や、州政府による規制強化への懸念があると報じられています。

なぜ富裕層はラスベガスを選ぶのか

ネバダ州が富裕層から選ばれる大きな理由は、個人所得税がないことです。

ラスベガスには、次のような魅力があります。

  • ネバダ州には州の個人所得税がない
  • カリフォルニアから飛行機や車で移動しやすい
  • 高級住宅地やゲーテッドコミュニティが充実している
  • カリフォルニアと比較して住宅価格に割安感がある
  • プロスポーツやエンターテインメント施設が増えている
  • 空港から高級住宅地へのアクセスが良い

特にラスベガス西部のサマーリンは、計画的に開発された高級住宅地として人気があります。ゴルフ場やショッピング施設、医療機関などが整備され、単なる観光都市ではなく、富裕層が生活する都市へと変化しています。

Google共同創業者もネバダ州へ

2026年1月には、Google共同創業者のセルゲイ・ブリン氏が、ネバダ州側のレイクタホにある4,200万ドルの豪邸を購入したと報じられました。

レイクタホのネバダ州側も、カリフォルニア州に近接しながらネバダ州の税制上のメリットを受けられるため、富裕層から高い人気を集めています。

米国ではフロリダ州やテキサス州が富裕層や企業の移転先として有名ですが、今後はネバダ州も、その有力な選択肢になっていくと考えられます。

人が動けば、不動産市場も動く

今回のニュースで重要なのは、富裕層の移住が住宅購入だけで終わらないことです。

富裕層が移動すれば、資産管理会社、金融機関、弁護士、会計士、飲食店、高級小売店なども後を追います。さらに企業や投資資金が流入し、オフィス、商業施設、賃貸住宅、ホテルなどの需要にも影響を与えます。

米国の不動産投資を考えるうえでは、「現在どこの不動産価格が上がっているか」だけではなく、「今後どこへ人と資産が移動するのか」を先に把握することが重要です。

Zillow共同創業者のラスベガス移住は、ネバダ州への富裕層・企業・投資資金の流れが、さらに本格化していく可能性を示しているのではないでしょうか。