アメリカの住宅市場で、今後の投資の流れを大きく変える可能性のある法律が成立しました。
2026年7月、「21st Century Road to Housing Act(21世紀住宅法)」が成立し、大手機関投資家による既存戸建住宅への投資が大きく制限されることになりました。
機関投資家は既存戸建を350戸までしか保有できない
これまで米国では、大手ファンドや機関投資家が一般住宅を大量に購入し、賃貸住宅として運用するケースが急増していました。
特にジョージア州アトランタでは、賃貸戸建住宅の約30%を機関投資家が保有しているともいわれ、住宅価格の上昇要因の一つとなっていました。
今回の法律では、既存の戸建住宅については1社350戸までという保有制限が設けられました。
これは一般の住宅購入者が住宅を購入しやすい環境をつくることが目的です。
一方で「Build-to-Rent」は対象外
しかし、この法律には重要な例外があります。
賃貸専用として新築される「Build-to-Rent(BTR)」住宅は、この350戸規制の対象外となりました。
つまり、
- 既存住宅を大量購入する時代から
- 新築賃貸住宅を開発・保有する時代へ
と、投資資金が大きくシフトすると見られています。
住宅市場の専門家からは、
「BTRが今回の法律の最大の勝者になる」
という声も上がっています。
BTR開発が再び加速
昨年、アメリカでは10万戸以上のBTR住宅が建設中となり、その勢いは年々拡大しています。
特にアトランタでは約6,800戸が建設中で、前年から開発ペースは約2倍に増加しています。
BTRデベロッパー各社も、新法成立を受けて計画を再始動。
ある大手デベロッパーは今後12か月で1,500戸のBTR住宅を開発する計画を発表しています。
アトランタ市場に注目
今回の法律の影響を最も受ける都市の一つがアトランタです。
人口流入が続き、住宅価格は2022年初めの32万ドルから、2026年6月には42.9万ドルへ上昇。
1ドル=162円で換算すると、
- 約5,180万円 → 約6,950万円
まで値上がりしています。
住宅価格の高騰と住宅ローン金利の上昇により、「購入は難しいが戸建住宅には住みたい」という層が増えており、BTRへの需要はさらに高まると予想されています。
日本企業にもチャンス
日本の投資家や不動産会社にとっても、この法改正は非常に興味深いニュースです。
これまでのように中古住宅を買い集める投資から、賃貸専用住宅を開発・保有するモデルへと市場が変化していく可能性があります。
今後は、
- BTRコミュニティ開発
- 戸建賃貸ファンド
- 日本企業との共同開発
など、新たなビジネスチャンスが広がることが期待されます。
米国不動産市場では、制度変更が投資トレンドを大きく変えることが少なくありません。今回の新住宅法は、今後数年間の住宅投資の方向性を左右する重要な転換点となりそうです。
