アメリカ各地で新しい賃貸マンション(集合住宅)が次々と建設され、近年の家賃高騰の原因となっている強い需要に対して新規供給が増え、その需要を満たしています。

 不動産データ分析を行うReal Page社のレポートによると、2024年8月時点での賃貸マンションの年間完成戸数は74万戸になり、50年ぶりの高水準となった、と言っています。これは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック時代に建設が遅れていた賃貸マンションの供給が賃貸マーケットに出回っているため、前年比79%増となっています。

 このような新規物件の完成により賃貸アパートマーケットに賃貸物件が多くなり、競争が激化する中、不動産開発業者は賃料の値下げを余儀なくされています。住宅サービス会社レッドフィンによると、新築物件の募集賃料は第2四半期に1,746ドルに下落し、前年同期比6.2%減で2022年以来の最低水準となった、と言っています。

 特に人口急増が見られた大都市圏であるテキサス州ダラス・フォートワース地区では、2021年から2022年にかけて賃貸マンションの家賃が20%急騰し、入居率は93.4%に達しました。ディベロッパーは歴史的な賃貸マンションの建築ブームを起こし、結果的に現在の当地域の賃貸マンションマーケットに打撃を与えており、集合住宅マーケットの成長を抑えています。

 しかし、今年の集合住宅着工戸数は6%減の33万3000戸にとどまったため、家賃の下落は鈍化する見込みです。