アメリカの国勢調査データによると、2022年には通勤に片道90分以上を費やすアメリカ人が増えています。これをアメリカでは「スーパーコミュート(通勤)」と呼ばれています。アメリカでは長時間通勤は新しいものではありません。スーパーコミュート(通勤)は2010年代を通じて大きな問題になっています。大都市圏で住宅価格や賃貸のレントが高騰したため、大都市圏の郊外へ住宅開発が拡大し、働く人は購入可能な住宅や手の届く賃貸住宅を求めて職場から遠く離れた場所に移ったことが原因です。更に大都市は人口が毎年増加していることも住宅不足に拍車をかけています。2010年から2019年にかけて、スーパー通勤率は全労働者の2.4%から3.1%に上昇しました。ピーク時には460万人のサラリーマンが毎日3時間以上の通勤に耐えていました。  

 一方、COVID-19パンデミックにより、多くの人が自宅勤務を行い、通勤しなくなり、渋滞が緩和されたことで通勤時間が短縮され、一時的な小休止がもたらされたようです。アメリカの仕事がリモート化されるにつれ、郊外や郊外近郊での暮らしの需要は依然として強く、2021年にはスーパー通勤者の数は150万人以上減少しています。

 しかし、2022年にはオフィス勤務が再開されました。一方、リモートワークは引き続き人気がありましたが徐々に減少しオフィス勤務へ戻り、2021年と比較してオフィスへ通勤するサラリーマンが1,000万人増加しました。その結果、スーパー通勤者(往復3時間以上)の数は前年比で約60万人増加しました。これは記録上最大の年間増加であり、ピークにはまだ遠く及ばないものの、スーパー通勤者の総数は370万人に戻りました。

 地域的には、カリフォルニア州、テキサス州のいくつかの大都市圏、シアトル、ニューヨーク、ワシントン DC の周辺では スーパーコミュート(通勤)をする人の割合が2桁の割合になる地域が見られます。特にロサンゼルス地域が全米でスーパーコミュート(通勤)をする人の割合が最も高くなっており、片道2時間通勤の人も結構多いと言われています。

 アメリカの通勤時間が長くなっていることがリモートワークを支えている理由の一つです。