なんだかんだで、試験は終了。
自信があるものあり、運を天にまかせたものありだけれど、ともかく終わったのだ。
試験というモノの持つ独特の緊張感を久しぶりに味わった。
勉強は出来るほうではなかったけれど、むかしから試験は嫌いではなかった。
はじまる瞬間の、もう戻れないかんじ。
沢山の人がいるのに、一人一人が目の前の紙切れと自分自身に向き合う孤独感。
終わった瞬間は、着陸を果たした飛行機の安堵感に似ている。
どこに着いてしまったにしろ、もう着いてしまったのだ。
思いで深い試験はいくつかあるけれど、中でも特別だったのは高校時代に受けたデザイン系の資格試験だ。
他の科に在籍していた私は、一つしたの学年の子たちと一緒に補修を受けた。
すごく目立っていたし、恥ずかしい気持ちもあった。
何度か基本的な講習を受け、実際に課題を提出する段になって、デザイン科の先生は私にキッパリと言った。
「君は下手くそだ。だが、なんとかなる」
この一言は今でも、何かに挑戦する時の私の座右の銘になっている。
実際試験の時は大変で、かき込むマスを一つずらして埋めてしまって頭が真っ白になり、その後30分ほど窓の外を眺めてみたり(笑
やがて我に返り、あわてて全てをホワイトで消し、上から書き直した。
結果なんとかなってくれたその資格は、一枚の証明書以上のものを私の中に残してくれた。
そして今やまた、新たな挑戦の季節がやってきたのだ。
大変だ、なんて口にしながら、少しだけワクワクしている自分が居る。