インジェラというのはテフと呼ばれるイネ科の雑穀の粉を水で溶いて数日間発酵させ、クレープのように焼いたものです。本格的なドーサ(スリランカではトーサイ)と同じように、田舎で食べるインジェラはかなり酸っぱく感じます。写真はエチオピアのオロミア州西グジ県(当時はボラナ県の一部)のマルカ・ソーダの食堂でインジェラを焼いている様子を撮ったものです。


で、インジェラですが、2008年に初めてエチオピアに行ってまだ時差ボケで体の調子が悪い時に、フルフルという料理を食べました。これは乾燥したインジェラを刻んで、ベルベレ(赤トウガラシやニンニク、各種スパイスを混ぜて作ったもの)とパーム油で炒めて、インジェラの上に載せて食べる料理で、言わばインジェラ・オン・インジェラです。

かなり辛くてちょっと酸っぱいと思いましたが、特に不味いとは思わなかったのでパクパク食べました。そうしたら胃が痛くなって来て、翌朝から体がインジェラをまったく受け付けなくなってしまったのです。これはかなり重症で、仕方がないのでインジェラは避けるようにして、パスタやパンばかり食べていました。ただ何ヶ月かしたら、まろやかなシュロ・ワット(ひよこ豆のペースト)だけは、時々であれば何とか食べられるようになりました。

そしてさらに1年くらい経ったとき、南ウォロ県コボ郡というところで出てきたバイヤイナトゥーという料理を仲間たちが食べているの見たら、急に食べてみたくなって、それで再び本格的にインジェラを食べてみました。そうしたら幸いなことに体が受け付けてくれて、それから普通に食べられるようになったのです。

ご覧になっておわかりになるよう、バイヤイナトゥーというのはベジの料理で、各種の野菜をインジェラの上に並べたものです。エチオピア正教はエジプトのコプト教などと同じように水曜日と金曜日が肉断ちの日(ツォムといいます)で、ベジの料理しか食べないのです。さらにクリスマスの前43日間、イースターの前55日間なども肉断ちになります。ですのでアムハラ州の田舎では、肉断ちの日にしかバイヤイナトゥーを出さない食堂が多いようでした。一方、オロミア州の南の方では、毎日普通にバイヤイナトゥーを出している店が多いようでした。

いまではインジェラ、特にバイヤイナトゥーとアサ(フィッシュ)・ゴラーシュが大好物になったのですから、わからないものです。

まずバイヤイナトゥーの写真を何枚か。

続いてアサ(フィッシュ)・ゴラーシュです。こちらはティラピアを揚げてピリ辛味にしたものをインジェラに載せて食べます。