フロントフォークオーバーホール | イルカに乗った中年

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「ジャンプするイルカ」こと,ヤマハZeaLをメインにしたブログです.

ジール再生計画.今回はフロントフォークです.

 

車輌状態を確認した時は,スッカスカでした.シールがボロボロ(ジールがボロボロと掛けてはいません.たしかにボロボロですが)でオイルがにじみ出ており,フェンダー,ホイールまでオイルまみれでした.可動部分より上の部分は多少のサビはありましたが,縦方向のキズはありませんでした.

 

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フロントフォークの取り外しはとっても厄介です.

まずはタイヤを外すことから始まりますが,その前に下準備が必要です.

タイヤを外した後は前方に何もないので,支持しておかなくてはなりません.しかし,マフラーが邪魔で支持できそうな場所がありません.

 

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財布の中身を見て悩みましたが,安いものがありましたのでスタンドを買いました.

ジールにはセンタースタンドがありませんので,フロント・リアの両方使えるものを選びました.

 

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写真を見ても,実際に使ってみても,どうやってフロントを支えているのか理解できませんでしたが,タイヤが浮いた瞬間は感動しました.

 

 

無事に車体から外れ,分解していきます.

ダストシールは金属部分はサビついて膨張し,ゴム部分と分離していました.一度分解したのでしょうか,ゴム部分にこじ開けた跡が見られました.

 

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オイルは入ってましたが,ドロドロです.本来の色はヤマハはいちごシロップの赤です.カヤバは緑だった記憶があります.

 

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これからが大変な作業でした.

インナーチューブ内部のシリンダのボルトを外すのですが,ふつうに六角レンチを回してもシリンダが空回りして,ボルトが緩みません.

裏技としては,インパクトレンチを使って外す方法がありますが,私は持っていません.

 

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そのため,専用工具が必要となります(イラスト上).

また,オイルシールは打ち込まなければならないため,これまた専用工具が必要です(イラスト下).

 

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またもや,お財布と相談し,諸先輩方のお知恵を拝借し,自作しました.左から,

フォークシールドライバ 塩ビ管(VU40) 単体

フロントフォークシリンダ用レンチ 塩ビ管(VP19) バルブソケット(六角) チーズ(継ぎ手)

フロントフォークシリンダ用レンチ 丸座金付ボルト(M24) Wナット

 

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フォークシールドライバは,ドライバといっても叩いて使うものなので,フルボトムした状態のインナーチューブより長くします.

 

フロントフォークシリンダ用レンチは,ボルトを緩める力は相当なもので,塩ビ管ではゆがむだけでボルトは緩みませんでした.

金属製ボルトで試みましたが,写真上の丸い部分が手で支え切れず,万力で固定して,ようやく緩みました.純正工具のようなT形,もしくは両側ともダブルナットにしてレンチやスパナを使った方が良かったのかもしれません.

 

ちなみに,丸座金付ボルトの正規の使い方は下のイラストです.木造建築の柱の固定に使います.丸座の他に角座もあります.

 

 

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フロントフォークは外観はシンプルですが,中身は複雑です.部品の点数が多いです.特にインナーチューブの外周には下から,

7.26 メタルスライド

9.28 ワッシャ

6.25 オイルシール

5.24 スナップリング

8.27 ダストシール

と,これでもかと入ります.

 

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パーツクリーナ(前回はブレーキだったので,ブレーキパッドクリーナと正式名称を呼びましたが,今回からはパーツクリーナと呼びます)で各部品を清掃後,シール系の部品を交換し,組み込みます.オイルシールは自作?の塩ビ管を使って打ち込みます.

オイルを規定量入れ,数回インナーチューブを動かした後,数十分放置してエア抜きをします.

最後に長~いスプリングを収めてボルトキャップを締ますが,私が非力なのでしょうが,スプリングが収まらず,なかなか締まりません.危うくアルミ製のボルトキャップをなめてしまうところでした.

 

フロントフォークを車体に組み直します.

左右の高さを合わせるため,ボルトキャップの位置をトップブリッジを基準にして調整し,締付けます.

 

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フェンダー・タイヤ・ブレーキキャリパーを取り付けて,作業終了です.

 

スタンドを外してみると,スタンド先端の金具が曲がっていました.立てていた状態で車体を動かしてしまったので,フロントが今にも地面にくっつきそうでした.タイヤ交換をする時にまたスタンドを使うので,それまでに何とかしたいと思います.ちなみに,リアは問題なく使えました(この金具は使いません).

 

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ショックの具合は,とても柔らかい印象です.こんなに柔らかくていいのかってくらいです.実際に走ってみて様子を見たいと思います.

 

 

今回は専用工具の自作に手間取られました.フロントフォークシリンダ用レンチは,塩ビ管の方が200~300円安い理由で選びましたが,「安物買いの銭失い」とはまさにこのことです.この自作工具はもう二度と使うことはないと思いますが,もし,自分でフロントフォークをオーバーホールなら,長さ50~60センチのボルトの両端にWナットがおススメです.1,000円でお釣りがきます.

 

次回はドライブチェーンです.