「outsider」
著:tk
ぼうっと空を仰いで僕は何気なく最後のたばこを吸った。
ふと周囲の喫煙所に目をやると、ケータイをしきりに見ながら
煙たそうにタバコをふかしているやつばかりだった。
僕は「最後の一本だな・・・」だと呟いておなじみのスカイブルー
のパッケージをくしゃくしゃに潰した。
アパートに帰ってみると、せまいポストに無造作に請求書が
押し込まれていた。これで明日の家賃がピンチになってきた。
最近、変わりばえのしない日々が続いている。
いい加減、ハイになったりロウになったりする自分に嫌気が
さしてきた。
2007年 12月。
刺さる寒さに肩を身を寄せ合っているカップルが目につく
表参道。当時、僕は自分の職に疑問にもっていた。
生計をたてるのに精いっぱいだった。でもこれでいいのか
とか思っていたわけだ。
表参道の奥の小路の中の、
いつものhubにはいって友人のマークに会った。
マークは苦い顔をして待っていた。
「で?昨日はどうだった?」と僕は切り出した。
「その前に飲み物たのもうぜ」マークはもったいぶった。
「まあ。そうだな。じゃあ俺は生。おまえは?」
「もう飲んでるだろ」相変わらずこいつは酒好きだな。
バーボンなんかふつう飲むかと思いながら僕は話をもとに
戻そうとした。
「で、ゆきとはどうなったんだよ?」こないだマークが
やたらハイテンションで話していた子のことだ。
同じ会社ではなく、別の業界でアパレルってやつだ。
「ちょっとまて。おまえの脳内は女の子か遊ぶことしか
ないのか?」マークは嫌味たっぷりに言う。
「脳内メーカーじゃHと遊ばっかりになるだろうな?
だって一日中座ってパソコンと向き合ってたら
誰だってそうなるだろ?」と僕は弁解がましく言った。
「僕がやった後彼女なんていったと思う?」
「・・・・いいものもってるね。とか??」
「私、結婚してるの。で子供も2人いるんだ。」
「まじかよ?」
「だからあなたは私が会いたくなった時にあって
それが無理ならあわなくていいって。」
微妙。
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2011年。 現在。
「なんかこれデジャブだな。おまえ
まえもそんなこといってなかった?
んで今回は2番手じゃなくて3番手って
どんだけ笑わせてくれんだよ。」
僕は4年前とまったく同じhubで少し
おっさんになったマークに話した。
「それにしても・・・なあヒロ。」
マークは少し寂しそうな瞳でいう。
「もう俺ら若くないし最近まじで
ちゃんと付き合いたいと思うんだよ。」
「おまえにしては大人になったな。」僕は
タバコを吸っている横のおっさんをちらっと
一瞥していった。
「んで、そうなんだよ。最近、言ってきたんだよ。
異業種交流会ってやつ?」
「ほう。で?」
「・・でそこで俺は彼女探ししてたわけだ。」
「ふん。」
年甲斐もなくカルーアミルクをすすった僕は
やっぱり子供だ。
「でもしばらくした後僕はゲイじゃないかって
思うほど、ある男をつきまとうことになったんだ。」
「気でも狂ったか?二丁目いってこいよ。」僕は
にやにやしながら言った。
「誰だと思う? 河瀬だよ。」
「河瀬?知らないね。」
「知らないのか?今かなりきてるんだよ。業界じゃ
かなり有名らしい。」
「そうなんだ?」僕はまったく興味ないですオーラ
丸出しで言った。
マークは顔を近づけながら僕に耳打ちする。
「アイツ会社を立ち上げたんだ。そしたら半年で
売りあげ500万の会社にしちまったんだ。
しかも資本金100円で。」
「まじで?」
「それがさ。募金はやってんじゃん?
それとかシェアとかさ。」
「ほう」
「で傘をただで貸すかわりに傘に広告を募集したわけさ。」
「原宿駅かどっかに傘を大量に貸してそこに広告を募ったわけだ?」
「まあそういうこったな。」マークはわくわくしながら言った。
「で?そのありがちな話の落ちは?」
「シェアを募った結果、身内がつづいてたんだけどついにH&Mのプレス
に会うことに成功したんだよ。それでいまじゃかなりフリーペーパーを
中心に口コミがひろがってって・・・」
「河瀬か。思い出した。俺あいつきらいだな。」と僕はモスコミュールをすする。
「まあいいじゃん。そこからFOREVER21とかもきて。
いまじゃかなりの広告収入があって、で誘われたんだよ。
俺といっしょに働いてくれないかってさ・」
「ふーん。ありがちなベンチャーサクセスストーリーだな・」僕は
相変わらずタバコを吸うおっさんをうざそうな目で見た。
続く