XX時XX分
カオルは一人公園を歩いていた。
その公園はとても広く、敷地面積の半分以上を占めるほどの大きな池があり、それを取り囲む遊歩道には所狭しとたくさんの木々が色濃く茂っていた。
そのおかげで真夏の痛めつけるような日差しは完全に遮断され、気持ちの良い空気がそこには流れていた。
子供達は池の淵でザリガニでも取っているのだろうか、大声ではしゃぎ回っているのが微笑ましく見えた。
その池の中央には、真っ二つに分断するかのように大人二人が通れるぐらいの橋が掛かっており、そこを渡るとすぐに向こう岸へ行けるようになっていた。
特にこれといった目的はなかったが、カオルはただ何となくその橋に向かい出した。
しっかりとした木造の橋だった。
ちょうど渡り始めたその時、ふと顔を上げると、その橋の先には白いワンピースを着た女性が一人立っていた。
元妻だと思った。いや、他人のそら似かもしれない。
だが、そう思った途端、女性はすぐに後ろ向きになり、目の前の橋を渡らず、池の周りの遊歩道を歩いて行った。
カオルは早歩きになり、次第にスピードを上げ、やがて走り出して橋を渡り切った。
しかし、いくら走って追いかけても追いつかず、むしろ見失ってしまうぐらい遠く小さくなっていった。
カオルは呼吸が乱れ、汗が吹き出し、だんだん体が重くなっていくのを感じた。
それでも、力を振り絞り、苦しくなった胸を押さえ、ふらふらになりながらも追いかけた。
とうとう気が遠退いていき、完全に女性が視界から消えてしまった。
同時に、カオルはその場に体ごと倒れこんだのだった。
6時35分
目が覚めた時、そこは自宅のベッドの上だった。