ここのところ、ずっとBialystocksの曲を聴いている。
Vocalの甫木元空と、Keyboardの菊池剛による2人組バンド。
甫木本(ほきもと)という名前は珍しい。

そして音楽だけでなく映画監督でもある。

菊池の方はジャズピアニストという一面もある。

この二人の織り成す世界感がとてもアーティスティックで音楽を聴きながら絵画を見てるような気分になる。

あと覚えにくいバンド名。

これは映画の主人公の名前でボーランドの都市の名前にちなんだものらしいとのこと。覚えられないけど語感がおしゃれ。

 

それでこのBialystocksのいろいろな楽曲をずっと聴いていたら、70~80年代の曲を彷彿とさせる感じがあって、似ているバントがあるのではと思いを巡らせてみた。
華美ではないけれど、心に染み入るような情緒豊かなメロディと美しい歌声…
そうしたらブレッド&バターを急に思い出して、曲を聴いてみたらこれがまた懐かしくそしてグッと来てしまった。

岩沢幸矢と岩沢二弓の兄弟デュオで70~80年代に活躍した湘南サウンドと呼ばれ人気があったし、今でも音楽活動を続けている。

 

楽曲も井上陽水や松任谷由実やスティービー・ワンダーなど幅広いアーチストとのコラボも多く、今でも長く愛されている。

 

その中で、あらためて歌詞とメロディに唸ったのが「あの頃のまま
作詞・作曲が呉田軽穂ことユーミンで、これが良く出来てる。

ユーミンってやっぱり天才だったんだなと思うと同時にブレッド&バターの歌が繊細なのに自由でセンスがあって心地よい。

あの頃のまま

 

作詞・作曲 呉田軽穂

 

6時のターミナルで

ふりむいたきみは

板に付いた紺色のスーツ

今でも気まぐれに街をゆくぼくは変わらないよ

ああ あのころのままさ

 

去りゆく若い時間を

ひとり止めしているようで

うらやましいやつだよとはじめて笑ってくれた

 

For yourself For yourself

そらさないでおくれ その瞳を

人は自分を 生きてゆくのだから

 

ネクタイ少しゆるめ 寂しげなきみが

馴染みの店に腰すえる夜は

陽焼けした両足を投げだしてぼくも

"Simon and Garfunkle"

ああ ひさしぶりにきく

 

人生のひとふしまだ 卒業したくないぼくと

他愛ない夢なんかとっくに切り捨てたきみ

 

For myself For myself

幸せの形に こだわらずに

人は自分を 生きてゆくのだから

 

 

学生時代の友達が全く違う道を歩んで先を進んでいるのに、まだモラトリアムの中にいる僕との距離を歌にしたもの。

男性目線で書かれたものだけれど、おそらく誰しもが感じたことのある感情なのではないだろうか。

 

そして、それぞれの幸せの形があって、価値観の違いもあって、自分が今幸せならば人と比べることをしなくてもそれでいいんじゃないかと思わせる歌でもある。

 

ブレッド&バターのVocalだから、サラリとした諦観の中にも希望がある。

 

独特の高音の切なさと肩の力の抜けた都会的なサウンドが、時代を超えて今も説得力がある楽曲になっている。

 

彼らが学生時代の部活活動のように歌っているというのがわかるのは、昨今の楽曲にありがちな言葉が追いかけてくるような切迫した感じが無いし、行間に余裕があって歌詞をじっくり噛み締めるような和みも感じられるのが70年代の楽曲の良さかもしれない。 

 

この曲を聴くと、久々に見かけた友人がまぶしくて建物の柱の陰に隠れてそっと眺めた頃を思い出す。向こうは正装で私はすっぴんでTシャツとスニーカーみたいな。

懐かし~想い出。

 

Bialystocksとブレッド&バター
ともにアルファベットのBで始まる
この全く年代の違う二つのグループに
この酷暑をクールダウンしてもらおう。

懐かしさでブレッド&バターに軍配が上がったけれど
多分Bialystocksはぐんぐんとこれからも上昇すると思います。

乞うご期待!


やっぱり音楽が好きってことで。