今朝出勤途中で、久しぶりに

歩きタバコをする人を見た。

しかもポイ捨てまでやっていた。

多分、風体からすると旅行者か

地方から出てきた人、もしくは外国人か。

 

追っかけて顔を見たわけではないから

何とも判断が難しいが

珍しいなと思ったのと

ちょっとだけ嫌悪感が走った。

ポイ捨ても火がついたままだったし。

 

いつから、日本はこんなに

禁煙大国になったのだろうか。

たまにアメリカ以外の海外を旅すると

いまだに街でタバコをすっている

老若男女を見かける。

 

昔の日本はこういう光景が

当たり前だったなと思いつつ

通りすがりでタバコを持っている人がいると

ちょっと緊張したものだった。

やけどしそう!なんてね。
 

今ではそんなこともないし

すっかり清潔で

タバコの匂いのする場所のほうが

珍しいくらい。

 

私のツレアイも

若い頃からずっとタバコを吸っている。

今もそれは続いているけれど

家の中では、ほとんど吸わないし

休日は吸ってなさそうだ。

もしかするとちょっと出かけた時に

吸ってるのかもしれないけれど。

 

そんなわけで、現在の彼を

タバコ臭いと思ったことをはないけれど

学生の頃は

セーターや指の間から

タバコの匂いがしたものだった。

 

昔はそれが大人の匂いのような気がして

特段嫌だったわけではなく

むしろ好ましくも思っていた。

 

昔はタバコを題材にした歌もいっぱいあった。
ベッドでタバコを吸わないで

なんて艶っぽい歌も小学生だって

知ってたし、

そんな中でも

私が好きだったのは

1970年代の初めに作られた

プカプカ」という歌だ。

 

プカプカ   作詞・作曲 象 狂象

 

おれのあん娘は タバコが好きで 
いつもプカプカプカ
身体に悪いから やめなっていっても
いつもプカプカプカ
遠い空から 降ってくるっていう 
倖せってやつが あたいにわかるまで
あたい タバコ やめないわ 
プカプカプカププカ

おれのあん娘は スウィングが好きで 
いつもドゥビドゥビドゥ
下手くそなスウィングやめなっていっても 
いつもドゥビドゥビドゥ
あんたがあたいの どうでもいい歌を 
涙 流すまで わかってくれるまで
あたい スウィング やめないわ 
ドゥビドゥビドゥビドゥビドゥ

おれのあん娘は 男が好きで 
いつもフフフ
おいらのことなんか ほったらかしで
いつもフフフ
あんたがあたいの寝た男たちと 
夜が明けるまで お酒のめるまで
あたい 男 やめないわ 
フフフフフ

 

象 狂象とは西岡恭蔵という

シンガーソングライターのペンネームで

当時、時代の先端を走った女性で

DJでありジャズシンガーの安田南

モデルに書いたといわれている。

 

いかにもというか

時代を感じさせるわざと

はすっぱな印象の詞。

これが、逆に作者の

ナイーブさを浮き彫りにさせて

男の人が好きな女性を想って

書いたんだなと頷けるのだ。

 

ストーリーと人物像が割りと

はっきりしていて、当時流行った

ATGの映画とかアングラの劇団などを

髣髴とさせる少し癖のある歌でもある。

 

なので、これをカヴァーしている人は

沢山いるけれど

男性が圧倒的に多くて

代表的なところでは

俳優の原田芳雄

 

 

この人、本当にブルースや演歌を

唄わせたら、そんじょそこらの歌手なんか

吹っ飛ぶくらい上手い。

そしてかっこいい、味がある。

この歌も持ち歌のように素晴らしい。

荒木一郎の楽曲のカヴァーもいいけど

これは最高だね。

煙草と酒とブルースの似合う俳優であり

歌手だと思う。

 

そして、松田優作桑名正博

女性だと桃井かおりなんてのも有名だ。

泉谷しげる、桑田佳祐、福山雅治

なんてのもカヴァーしてるらしい。

それだけ魅力的な歌なのだ。

自分自身の歌唱力と表現力を

存分に発揮できる

ニュアンスのある歌というべきか。

 

でも、いまとなっては

喫煙者が激減して

世の中、吸える所も少ないし

むしろ、嫌煙家が増えている中で

この歌の良さがどのくらいの数の人達に

伝わるのかなと思う。

 

タバコの煙の何ともいえず

浮遊感というか

自由な感じというか

束縛から逃れられる

「一服」するという言葉通り

一休みしたり気分転換としての

大人の嗜みなんてのは

到底、今の時代理解されないだろうし

公には認められないだろう。

 

私は喫煙者ではないし

タバコを推進する気持ちはないけれど

本当の愛煙家はと

マナーがよく

人に迷惑を掛けず

個人の愉しみとして

上手に嗜んでいる人が多いと思う。

そして煙がこちらに来ないことが多い。

吸い方がうまいのだと思う。

 

そういう人達のためにも

この「プカプカ」という曲は

 

遠い空から 降ってくるっていう 
倖せってやつが あたいにわかるまで
あたい タバコ やめないわ 

 

というフレーズとともに

静かに生き続けて

歌い継がれていくといいなと思う。

 

1970年代の大人の歌として

長く覚えておきたい1曲だ。

 

なにもかもが雁字搦めで

自由恋愛もダメ、もちろん不倫もダメ

健康に悪いことはダメ

デブになるようなこともダメ

節制して真面目に生きることだけを

求められるなんてナンセンス。

規律と秩序を守って

身体に良いことを続けて

長生きしよう!って

面白いかな・・とふと思う。

 

大人でも不良になりたい時はあるさ。

それを赦せる人になりたい。

 

自分で何かを選び

そしてそれで傷つき

失うものがあったとしても

自己責任で人生を切り拓きたい。

 

大人って辛いし、苦しいし

背負うものもあるけれど

自分で責任を負える自由を

持っているのだから。

 

いろんな縛りから解放されたい。

そんな時にこの歌を思い出すだろう。

 

 

やっぱり音楽が好きってことで。