ずっと忘れていた記憶が
急に蘇ることがある。

先日、題名のない音楽会を
みていたら
水をテーマに
何曲か演奏されていた。

その中に
ルーマニアの作曲家
イヴァノビッチの
ドナウ川のさざなみ」が
入っていた。
これヨハン・シュトラウス2世の
美しき青きドナウ」と
混乱されるそうだが
全く曲調は異なる。

なんと、これには
日本では歌詞をつけられて
歌われていたそうだ。

ドナウ河の漣    作詞:田村貞一

月は霞む 春の夜
岸辺の桜 風に舞い
散りくる花の ひらひらと
流るる川の 水の面(おも)

棹さすささ舟 砕くる月影
吹く笛さそう 花の波

調べゆかし 笛の音(ね)に
横雲垂れて 水ゆるぐ
流れのままに ささ舟の
そのゆく末や 春おぼろ
棹さすささ舟 砕くる月影
吹く笛さそう 花の波


で、これを見ながら
急に思い出したのが
自分の小学校最後の
ピアノ発表曲だったことだ。

youtubeを見ていると
特に有名な旋律を
取り上げた
2~3分程度の短い発表曲も
あるようだが
4部からなる長いバージョンもある。
10分弱か。

私がピアノの発表会で
弾いたのは
その長い方で
楽譜も数ページに渡る
変化に富む楽曲である。

意外と起伏もあって
最初の入りから親指と小指の連打
結構な盛り上がりから
始まり、その後にワルツに移る。

ワルツも
短調で、どちらかという
哀愁を帯びた曲調で
日本人には合うといわれている。

これは、たぶん小6の時だったか。
今思うと
なぜ、こんな曲を
覚えられたのか
10分に及ぶ楽譜を暗譜していた
自分にも驚くし
この歳になって
その長い楽譜をそらんじて
歌えたのにびっくり。

それだけ練習もしていたのかも
しれないけれど・・・
細部に渡り、指の動きや
音符を思い出せたことに
驚きを隠せなかった。

なのに、すっかり
この曲を弾いたことを忘れていた。
記憶から飛んでいた。

自分の中では
ビートルズの
ヘイジュードとか
レットイットビーとか
エルトン・ジョンの
ユアソングとか
そういう軽いものを
弾いていたこと、
気が向くと
ドビュッシーの「月の光」を
陶酔しながら(ばかだな)
弾いていたことは
覚えている。

実際、一生懸命練習した曲を
忘れていたのはどういうこと?
嫌なことだったのかしら。

人間の記憶って不思議だ。
ずっと何十年も忘れていたのに
急に思い出すなんて。

ということで、
ピアノの練習も好きじゃなかったし
曲もほとんど覚えていないと
思っていたけど
脈々と潜在する記憶の中に
関わった楽曲は残っているということだ。
このあたりに音楽療法の
謎も含まれているのかな。


やっぱり音楽が好きってことで。