キ上の空論「幸福の黄色い10日後」感想②残像 | 元玉拾い(もと、たまひろい)のスポーツとか草花とか

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(「キ上の空論ツイッターより、拝借しました)

こんな、みんなが(中島さん以外)笑顔のシーンは、ありません

 

オープニングは暗転しないまま始まりました。

下手手前の袖から、戸田ちゃん(石塚みづきちゃん)が、ひとり歩いてきて、舞台中央を少し過ぎたあたりで立ち止まると、不機嫌そうに後ろを振り返り

 

「山本!さっきから、なんなん?ずっと後つけてきよんの分かっているから。山本!」

 

山本が誰か分からないけど、明らかに戸田ちゃんの方が上から目線な強い口調をさえぎるように、豪雨の音が鳴り響き、暗転

 

 

 

真っ暗闇の中

 

 

ねぇ、純くん。

ねぇってば。

 

なにぃ?

 

 

もうやめようよ。

 

 

ちょっと、待っとって。すぐ終わるから。

 

 

 

イナビカリが真っ暗闇をチカチカと照らすと、

無言で動かず、仰向けに寝ている女子とセックスしてるっぽい、男子の影が

 

 

 

ねぇってばぁ。

 

 

ちょっと待っとってよ、すぐ終わるから。

 

 

再びイナビカリにチカチカと映し出される二つの影

 

 

その傍らには金属バットを持って突っ立っている少年

 

 

 

ねぇ、戸田さん動かないよ。

死んじゃったのかな?

 

 

あぁ、もう。

集中キレたわ。

 

 

 

腹減った。

ガスト行こ。

 

 

 

ついさっきまで強姦していた背の高い男子は、淡々とそう言いました。

そのあと、声が高い、背の低い少年に対して、なんかひどいこと言ったんだけど、

思い出せないです。

 

 

イナビカリの中、一瞬、背の低い少年が金属バットを振り上げたように見えましたが、

次の瞬間、金属バットを降ろすと

 

 

うん。

 

 

背の高い男子の後を追うように、舞台奥の下手へ歩いて去っていきました

 

 

 

今回、再演となる「幸福の黄色い放課後」と

新作である、本作「幸福の黄色い10日後」が同時上演のため、

セットが一緒です。

 

舞台奥に、大きな窓が開いた壁(学校の教室と廊下を隔てている壁のように見えます)、のみ。

 

 

転換がありません。

暗転も、ほとんどありません。

 

 

強姦され、気を失っている戸田ちゃんは、動かずに舞台中央よりやや上手側、少し奥に倒れたまま動きません。

 

そのままの状態で、薄明りで身動きしない戸田ちゃんが見えている状態で、

舞台上手が明るくなり、手前側には、教室の椅子に座った女子;アヤカ(レベッカさん)と、なんかウキウキしたテンションを隠せない男子;志摩(鈴木研さん)

 

 

ふたりは、幼馴染で(高校生なのに、アヤカ、化粧濃くない?)

志摩は、クラスメイトのリナ(岩井七世さん)が大好き。告白したいけど、どうしたらいいか分からなくて、アヤカにアドバイスを求めてます。

 

平和な高校の放課後。

普通の青春。

 

ふたりが、可愛らしい恋愛トークをしている奥には、

強姦され、気を失ってる戸田ちゃんが倒れている

 

 

時系列的に考えてみると、戸田ちゃんが山本(真弓瞬さん)に金属バットで頭を殴られて気を失い、

純(むらさきしゅうさん)の自殺した父親が経営していた工場に連れ込まれて、純に強姦されたのは、

この10日間の一番最後の日じゃないかと思います。

 

でも、この時点で志摩はリナにまだ告白どころか、話がある、と呼び出すための手紙も渡してないんじゃないかな。

 

なので、戸田ちゃんが強姦された時と、

アヤカが進路面談の順番を待っていて、

そこに志摩がいたのは、同じではないはずです。

 

そうした、別の時刻の出来事が同時に舞台上にあることに、違和感は無かったです。

もしかしたら、僕の勘違いかもしれないし。

 

群像劇で、たくさんの話がオーバーラップしながら同時に進行(しかも、時間は行ったり来たり)しているので、いつものように、完璧に再現する自信がありません。というか、出来ません。

 

 

とにかく、リナは笑顔が素敵な、誰からも愛されそうな女の子で

 

 

 

 時折、背中が泣いていることに、気付きませんでした。

 

 

 

すでに、このあたりで、次、どの場面だったか、思い出せない。。

 

ただ、観ながら伏線が回収出来る手際の良さ、複数の場面が同時に舞台上にある構成、観客に投げっ放しでもなく、ダラダラと説明することもなく、セットが無かったり、表には出てこない(正解が分からない)セリフがあったりするので、いろいろと自分の中で考えることが出来るんです。

 

例えば、純は死んだのか?死んでないのか?

リナが泣いていたのは、リュウジくんに別れを告げた後なのか、告げる前なのか?

また、リナが久美ちゃんと楽しそうに会話してるのは、佐藤さん(リュウジくんの妹で建築科)に、リュウジくんとホテルに入るところを見られ、佐藤さんがら「どうすればいい?   別れぇや、当たり前やろ!」と罵倒された後なのか?

佐藤さんは、戸田ちゃん、リナにウソをついているのか、事実なのか?

 

 

 

 

山ちゃんの白いYシャツが血で真っ赤に染まり

 

意識を取り戻した戸田ちゃんが、ゆっくり体を起こし、跪きながら、スカートに手を入れて

恐る恐るその手を見ると・・

 

「血が出とるやん!」

 

 

 

リナ、辻ちゃん(野中ななみさん)、エミコ(加茂井彩音さん)は仲が良く、3人で下校しながら、

どうも、リナがコクられた?みたいな話になり、

 

 

エミコ「えーーーっ!リナもかよぉ」

 

「いや、まだ分からんし」

 

 

エミコの執拗な(笑)な追及は電車に乗っても続き

 

リナは、つい、手紙をもらったことを口走ってしまいます

当然、エミコは「手紙、見せてぇ」ってなるよね。リナは嫌がるよね。

 

あぁ、そうか、そうですか、手紙見せられない?もう戦争や!

と、電車の中でリナに詰め寄るエミコでしたが、

次の瞬間、満面の笑みで、手には黄色い封筒を持っているのでした

 

へぇ、志摩とか、意外やわぁ

 

 

封筒の外見だけって言ってたのに、結局、中から手紙を取り出そうとするエミコ

必死に止める、リナ

 

 

で、戦争はリナの全面降伏で、志摩くんが、話したいことがあるから、明日、夜、会いたいって書いてあったこと、待ち合わせ場所も、と白状。

 

夜だってぇ♪

 

エミコ「いいなぁ、みんな幸せで」

 

辻ちゃん「そうでもないよ、きのうもバトったし」「えっ、なんで?」「あぁ、たいしたことやないんやけどね」

 

 

たぶん、これは、後から出てくるのですが、ユタカ(川上憲心さん)が、辻ちゃんをサラぁ~っと、ホテルに入ろうとして、辻ちゃんが「今日はダメ!」って拒否したことを言ってたんだと思います。

 

 

なぁんて他愛もないガールズトークをしている視線の先には、

頭に包帯を巻いた男子が椅子に座り、その横に、男子が立っているのが目に入りました

 

 

建築の子やろ?

 

なんか、建築って荒れてるらしいやん

 

そうそう、カツアゲとか。財布無くなってたり

 

えぇ!ややわぁ

 

こないだなんて、暴力事件(こういう言い回しじゃなかったと思うのですが・・)があって、

あたり一面、血まるけだって

 

こわぁ

 

 

これも後から分かるのですが、梅村(奥田龍平さん)からのいびりにブチ切れた純が、隠し持っていたスパナで梅ちゃんの頭をぶん殴ったのです。その場には、山ちゃん、戸田ちゃん、夏樹(ナガタユウイさん)がいて、梅ちゃんの彼女である戸田ちゃん以上に夏樹が「梅村!」と梅ちゃんを助けようとして、

 

そこに、ユタカが教室に入ってきて、「血まるけ」の床を見て、ビックリするんです。そして、後日、辻ちゃんとデートしながら、

そう、なんか、そいつ、父親が自殺して。いっつも、口が半開きなん

 

えーっ、半開きって、閉じるか開けるか、どっちかにしてよって

 

みたいな話をしてるんです。だから、接点がないデザイン科と建築科だけど、

建築科で起きた事件を辻ちゃんは知ってたわけ。

 

夏樹は、ユタカに向かって「先生呼んできて!」と叫ぶんだけど

戸田ちゃんが「やめて!誰にも言わんといて。」「だって・・」

「梅ちゃんがあいつらにどんだけ酷い事してたかバレてまうやないの!そうじゃなくても、生活指導に目を付けられてるやから」

 

 

3人が電車から降りた後、梅ちゃんが「なんね?」

 

「行先が同じだけ」

 

 

純が手を伸ばすと、梅ちゃんが、チェッて顔しながらも、千円札を渡しました

座りぃや

 

端がいい

 

 

端に座っていた梅ちゃんは、ひとつずれて、そこに純が座りました

 

 

オレ、お前の彼女に「死ね」って言われたわ

 

 

 

戸田ちゃんに「死ねばいいのに」と言われるシーンは、後半にありました。

 

 

唐突に出てきた言葉が、後から実際にその場面が描かれて、あぁ、なるほどぉ、それで「死ね」と言ったのか、とかね、なんで強姦したのか、そういうことが徐々に明かされていくのです

 

 

重たい空気になったので、最後は、ユタカと辻ちゃんのホテルのお話しを

 

 

 

 

ユタカが辻ちゃんに告白するシーンよりも、

付き合いだしてから、ホテルに行こうとする場面の方が先に出てきました。

 

 

ねぇ、入ろうとしてるよね?

 

えっ、あ、ほら、別にそういうことじゃなくて、ゆっくり話がしたいなぁって、

カラオケとかゲームとかあるかもしれんしさ

 

あ、いや、準備が・・

 

え?毛とか?

 

そうじゃなくて、心の(準備が)

 

あー、そっか。じゃ、待ってる

 

 

手を降ろして結び、待ってるユタカ

 

あっ、本屋行ってようか?

 

いや、今日とか、そういうことじゃなくて。ごめん。

 

あっ、いいよ、いいよ、全然。お互い初めてだと緊張するもんな

うん、もう、全然

 

 

それから・・初めてじゃぁ・・ない・・かな

 

 

・・あっ、そうなんや。

 

ごめん、でも、こういうこと、先に言っといたほうが、いいかなって

 

あ、でも、全然、気にしとらんよ。オレは今の辻ちゃんが好きなんやし。

で、何人?

 

 

えーっ?!聞くの?

 

 

まぁ、ほら、世間話みたいなもんだから!

 

 

辻ちゃん、左手の人差し指を立てて、(ひとり)

 

 

それを見たユタカは、うんうんとうなづいてたら・・

 

 

ひょこーっと、右手がパーの状態で人差し指の後ろに(笑)

 

 

えーっ、十分、心の準備出来る経験値やん

そんなんやったらさ、パッと行って、ささっと

 

 

なにぃ、辻の体が目当てなの?!

 

 

そうじゃない、そうじゃないけど

・・初めては、いつなん?

 

小6

 

 

え”~早っ!

 

別に、普通やん

 

 

ごねるユタカに

 

 

今日は、月に一度の、女の子の辻なんで!

ルナルナな辻なんで!

 

 

・・・、それでも、いい!

 

 

よくない!

 

 

つづく!