劇団男魂第17回本公演「航路」①オープニング | 元玉拾い(もと、たまひろい)のスポーツとか草花とか

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劇団男魂(メンソウル)第17回本公演「航路」 @中野ザ・ポケット

 

舞台、上手奥にある小さなテーブル上に置かれた、小さなラジカセから、AMラジオの放送が流れています。舞台は暗転し、その小さなラジカセにピンスポットが灯されて、開演しました。

 

舞台上が明るくなると、カップラーメンの食べ掛けやらで汚れたテーブル、周りにもゴミが散らかった中で、白髪の初老の男性(寛治:よこやまよしひろさん)が缶ビールを飲んでます。少し離れて、無表情で座っている男性(研司:坪内守さん)。

 

(ラジオを聞くでもなく)けっ、くだらねぇな。こないだの野球観たか?日本シリーズの最後の試合が10-4だってよ。くだらねぇ。だいたい、なんで泣いてんだ?男が人前でよぉ、くだらねぇ。

 

ん?(缶ビールを飲み干して)

 

よろよろと立ち上がって、冷蔵庫から、また缶ビールを取り出すと、プシュっと。

 

研司が、見かねて「おい、昼間っから飲み過ぎだろう」

 

うるせぇ、どうせオレぁ、もうすぐ死ぬんだぁ。

なぁんにもなくなっちまった。

 

あいつらに、ただ飯食わせてやって、金出して仕事とってきてやったのに。辞めたと思ったら、独立だってよ。おまけに、取引先、全部、持ってきやがって。オレぁなぁ、あいつらんとこ行って、殺してやろうと思ったよ。

 

道夫さんだっけ?あの人、最後までいたんじゃないのか?

 

あ?ふっ、道夫か。最後の日、俺が軽トラのフロントガラスぶち割ってたら、じーっと見てたっけ。

 

ここいらじゃ、脇田電工って言やぁ、知らないヤツはいなかったんだ。

それがよぉ。

 

 

ラジオでは「マドモァゼル・アイ」先生による、人生相談が流れています。

 

年齢は?

42歳です。

ご家族は?

主人が50歳、子供は上が13歳・男の子、下が10歳・女の子です。

どうされましたか?

上の息子なんですが、高圧的な父からの態度に、他人とのコミュニケーションが取るのが苦手になりまして。不登校になったのが小学校3年の時で・・・

 

ところで、何しにきた?金ならねーぞ。

ここには、なぁんにもないんだ。(せき込む。)

 

 

やめろよ、気が滅入るよ。

 

俺なんか、ずっと滅入ったままだ

 

どうした?高圧的な父からの態度に、他人とのコミュニケーションが取るのが苦手になったか?

 

 

 

研司は、いら立つように部屋を出ていきました(部屋、と言っても、床に散らかったゴミと、テーブルがあるだけです)

 

 

暗転

 

 

ピアノの音  ♪ドー

 

コーラス

♪まめまめまめま

 

♪ド#

 

コーラス

♪まめまめまめま

 

明るくなると、オルガンを弾いてる先生の前に、数名が縦2列になって、発声練習をしてます

 

♪レ

 

コーラス

♪まめまめまめま

 

はーい、じゃあ、これから歌う曲の譜面を配りますね

ここは、集合住宅の有志で始めたばかりの合唱サークルの練習場

 

立花先生役の松岡美結さんは、ミュージカルに出演されていて、最近は実際にボイトレの先生をされているそうです。

 

いやぁ、疲れたなぁ。ちょっと、一服しません?

と、お調子者であまりやる気なさそうな小園(山田諭さん)

 

僕も、一服

いかにも軽そうな金子(黒木俊穂さん)

 

一服って、まだ30分しか経ってませんよ

 

あの・・脇汗がヒドいんで、着替えてもいいですか?

鼻の下にひげをはやし、あまり表情がなくて朴訥とした感じの福山(横山貴之さん)

 

コーラス経験者は2名で、

気が強そうな丸山綾子(泉田珠華さん)と

自称リーダーで俺が引っ張るぞオーラ全開(でも、なんか勘違いさんっぽい)な田沼(新晟聡さん)

 

とても姿勢がよくて、でも、それがとっても緊張しているっぽい、青木宏江(今井久美子さん)と、

宏江のとなりに立っているハンサムな好青年、宏江の息子の青木翔太郎(清田悠聖さん)

 

僕も、ちょっと、トイレ  と、この場を離れる翔太郎

 

5分休憩することになり、コーラス経験者の綾子と田沼が、団地内での交流を深めて犯罪を防止することを目的に、この合唱サークルを立ち上げたってことを立花先生に説明します。

 

でも、よく集まりましたね

 

なんか、すみません。ほら、合唱、って感じじゃない人もいるし

 

 

稽古場の奥で、脇汗で濡れたTシャツを脱いで上半身裸になって、脇の下にスプレーをかけてる福山さんをチラ見した綾子が

 

なんか、すみません

 

いいんですよ、そのために私がいるんですから

 

同じ団地とはいえ、ほとんど面識がないので、自己紹介しようと田沼が提案して、

立花先生も「いいですねぇ」と言ったところで、

 

ほら、ちょうど、みんな戻ってきましたよ

 

 

田沼

 

えー、練習を始める前に、先生に自己紹介をしたいと思いまぁす!

 

 

すると、また小園が「やだよ、そうじゃなくて緊張してるのに、自己紹介なんて」

同調する金子「僕は、ミステリアスな男でいたんで(自己紹介、しません)」

 

すると、綾子が今にも殴りかからんくらいの勢いでふたりに詰め寄り

「自己紹介!先生が欲しがってるんだよ!」

 

 

と、そこに

 

やぁ、すみません、遅くなっちゃって

 

と、男性がひとり入ってきます

 

田沼「ちょうどよかった、今、自己紹介してるとこなんですよ。じゃ、丸山さんから」

 

「えっ?なんで?」

 

すると、綾子がビンタ( ゚Д゚)

 

えー、丸山です。今、殴ってきたのは、わたしの妻です。

なんで殴られたのか、分かりません(仲田育史さん)

 

次に田沼さんが自己紹介して、農協職員だそうです

 

青木宏江です。コーラスをやるのは、短大のサークルの時以来で30年振りです。

すごく緊張しています。よろしくお願いします。

 

 

あっ、じゃあ、次、お願いします

 

 

福山です

 

福山さん、広告代理店?印刷屋さんでしたっけ?

 

・・いえ

 

 

すると、丸山さんが「それ、A棟の福山さんでしょう。あの人、印刷屋さんですよ」

 

 

あ、そうでしたか、すみません。あの、お名前は?

 

 

福山です

 

じゃなくて、下の

 

 

・・・あーるです。・・・雅治です。

 

 

えっ?

 

みな、爆笑になります。怪訝そうな、福山。

 

爆笑の理由は、福山のルックスが、朴訥としていて、あまりにも名前と不釣り合いなもので

 

 

またも小園が「フルネームでやってよ、じこしょうかい!」と脱線させていきます

 

 

田沼が「すみません、もう、収集つかないんで、フルネームでお願いできますか?」

 

すると、ステージ前方の中央に立って「福山雅治でぇす」と、モノマネで自己紹介した

福山さんでしたが、客席は笑っているけど、ステージ上の稽古場ではビミョウな空気に(笑)

 

あ、普通の名前ですみません。青木翔太郎です。

 

となりに福山さんが、相変わらずちょっとびっくりしたような表情のままで立っていて

田沼さんに「福山さん、目立ちすぎ。ちょっとさがりましょうか」とたしなめられます

 

市役所に勤めています。このコーラスには、母に誘われて参加しました。よろしくお願いします。

 

 

小園「よ、いい男!女の子、連れてきてよ!」

 

(申し訳なさそうに)もうすぐ結婚するので

 

 

てな感じで、素性が明らかになった人と、そうじゃない人がいますが、

なんとか自己紹介が終わり

 

では、始めましょう

 

立花先生がオルガンを弾き始めました

 

 

ベートーベンの「運命」

 

♪ジャジャジャジャーン  ジャジャジャジャーン

 

すると、ステージ奥の壁の上半分が「バン!」と下へと開き

 

そこに「航路」の大きな文字と、

なにやら、A3サイズをもうちょい縦長にした色画用紙が降ってきて、

 

合唱メンバーと先生がそこへと集まります。BGMは、「運命」の続きが

 

 

で、ひとりずつ落ちている色画用紙を拾って、ステージ前方に出てきて

その色画用紙を客席に見せます。そこには、「清田悠聖」など、

それぞれ、出演者の名前が書かれています。

 

丸山夫妻が自分の色画用紙を客席に見せたところに、舞台上手から、バレリーナっぽい回転をしながら

若い女の子が入ってきて、背中に「宮瀬葵菜」と書かれた色画用紙を貼っていて、丸山家の娘さんの由貴ちゃんです。

 

曲は、運命から、何曲かに変わっていきました。

 

 

コーラスメンバーが自分の名前が書かれた色画用紙を客席に見せてから、袖にひとりずつはけていき、全員いなくなると、第1シーンでビールを飲んでいた、寛治、研司がひとりずつ、ステージ上を横切りながら、自分の色画用紙を客席にみせて

 

最後は、大きめのキャリーバッグを引きながら、なぁんかさえない表情の男性(森田:大塩ゴウさん)

 

そこまで大きくはない荷物を持った男性(倉元道夫:杉本凌士さん)が色画用紙を持たずに上手袖から入ってくると、下手袖近くの黒い壁(今回のセット、左右と奥は黒い壁で、そこにオレンジ色や水色などの三角形や長方形に色画用紙が貼ってあるセットです)から、長方形の色画用紙をはがすと、そこに「杉本凌士」と書いてあり、その色画用紙を下手袖に投げて、

 

ステージ中央に置かれた黒いベンチに座ります。

 

ここまでが、オープニング。

 

ここから、

・倉元と森田、ふたりの会話

・研司の一人芝居+由貴、寛治との絡み

・合唱の稽古場、丸山家

 

3つの話が、独立して、話の内容も、雰囲気も全く異なるオムニバスのように展開していきました。

 

 

続く