米軍「主権の一部切り離せ」と要求 自衛隊が米軍指揮下に  | 渾沌から湧きあがるもの

 

 

米軍「主権の一部切り離せ」と要求 自衛隊が米軍指揮下に 
4月22日 衆議院予算委員会

 

*この動画からの文字起こし*



志位

日米首脳会談について総理に質問します。

エマニエル駐日米大使は総理を米国に国賓待遇で招待した意義について産経のインタビューに次のように語っています。

「岸田政権は2年間で70年代の日本の安全保障政策の隅々に手を入れ根底から覆した。防衛費のGDP比2%への増額、反撃能力敵基地攻撃能力の保有、そのための米国製トマホークの購入に踏み切った。防衛装備品の輸出にもメドを付けた。70年代の政策の隅々にまで手を入れ根底から覆した。」

私はエマニエル大使のこの評価はズバリ真実を語っていると考えますが、総理はどうお受け取めになったか。私は14日の本会議質問でこの問いをあなたにぶつけましたが答弁がありませんでした。「根底から覆した」という評価は間違った評価なのか正しい評価なのか端的にお答えください。



岸田

あのー、ま、訪米についての米国大使の発言でありますが、今回の訪米にあたっては、えー、この日米、それぞれグローバルパートナーとして法の支配に基ずく自由で開かれた国際秩序、これを維持強化していく、この大切なパートナーであるということをメッセージとして送りました。
合わせて、この日米同盟がインド太平洋の平和と安定と繁栄にとって礎であり、一層強化していくことを確認した次第であります。

そして、この私の政権において様々な取り組みを行った、これはその通りでありますが、しかし、そうした訪米についても、そして今日までの政権の取り組みについても、すべてこれは我が国の憲法、或いは国際法、そして国内法、この範囲内での対応であるということ、これは間違いないところであります。

よって平和国家として専守防衛に徹する、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、こういった基本方針についてはいささかも変わっておりませんし、今後も変わることはないと考えております。



志位

間違った評価とはおっしゃいませんでした。

あの、専守防衛と、いうことも言われましたけれども、射程2000~3000キロの大陸の奥深くまで届く超音速ミサイルなど、敵基地攻撃能力の兵器の保有をすすめながら専守防衛というのは成り立ちません。

そして、総理がやってきたことは歴代政権が憲法に基ずく平和国家の理念としてきたことを悉く根底から覆したものであって、この点で私はエマニエル大使の発言というのはまさに図星だと考えます。

今回の日米首脳会談はこの道をさらにエスカレートさせようというものになっています。

その最大の問題はバイデン米大統領が「日米同盟が始まって以来、最も重要なアップグレード」と述べたように、米軍と自衛隊の指揮統制のかつてない連携強化に踏み込んだことにあります。

総理は14日の私の質問に対する答弁で「日米首脳会談においては日米が共同対処を行う場合に様々な領域での作戦や能力を切れ目なく緊密に連携させていく観点からシームレスな統合を可能にするため、日米でそれぞれの指揮統制の枠組みを向上することで一致を致しました」と述べました。


それではどういう日米共同対処、やろうというのか。パネルご覧ください。

 


これはしんぶん赤旗日曜版の情報開示の求めに応じて開示されたもので、2022年12月に防衛省が作成した内部文書であります。

敵基地攻撃における日米共同対処のオペレーションのサイクルが図解されております。目標情報の共有、反撃を行う目標の分担、成果についての評価の共有等について、日米で協力を行う、これが明記されています。

重要なことはここに「指揮統制」と明記していることです。つまり米軍と自衛隊が指揮統制でも緊密な協力を行うことが明示されております。

総理、そうなりますと指揮統制は情報でも装備でも圧倒的に優越的立場にある米軍主導で行われ自衛隊は事実上米軍の指揮統制の下におかれることになることは明らかではありませんか。いかがでしょう。



岸田

あのー、日米間でそれぞれの能力を発揮するために緊密な連携を行うこと、ま、これは当然のことでありますが、えー、自衛隊のすべての活動、これは主権国家たる我が国の主体的判断のもとで、日本国憲法として国内法関連法令に従って行われること、そして自衛隊および米軍がそれぞれ独立した指揮系統に従って行動すること、これはなんら変更がありません。

これ、あのー、えー、法令において日本国内閣総理大臣がこの自衛隊の最高指揮官と定められているわけですし、日米ガイドラインにおいても各々の指揮系統を通じて行動する、各々の憲法に従って対応する、これは明記されております。

このように重ねて日本の指揮系統は独立したものであるということを確認をしております。この方針はまったく変わりませんし、それに基づいて具体的な対応が行われるものであると考えています。



志位

あの、総理は自衛隊は独立した指揮系統でやるんだということをおっしゃったわけでありますが、軍事の現場をよく知っている専門家はなんといっているか。

自衛隊幹部を務め防衛大臣政務官、外務副大臣を歴任した自民党の佐藤正久氏は先日討論番組でこうおっしゃっています。

「反撃能力を日本が持とうとすると目標情報ひとつとってもアメリカから相当情報をもらわないと目標情報は取れない。目標情報を日米で協力した後にこの目標は日本が、この目標は日米、この目標はアメリカ、と目標配分をやらにといけない。さらにこの目標についてはどのミサイルを何発撃つとか、実際にその効果判定もしないといけない」こう述べてですね、「目標情報から米軍がらみになる」と述べています。

もうひと方、元航空自衛隊第7航空団司令の林吉永氏はしんぶん赤旗の取材に答えてこうおっしゃっている。

「自衛隊には国内は別にして海外のどの敵基地を反撃していいか、反撃した結果どういう戦果が出たのか把握する能力がない。そこは米軍に頼ることになる。米軍の判断に引きずられ反撃に際限がなくなる。作戦が米軍主導に陥って日本の専守防衛がアメリカ流の戦争にとって代わるという戦争指揮に悩ましさ危惧が生じるだろう。」


軍事の現場をよく知っている専門家は敵基地攻撃をやろうとすれば米軍に全面的に頼ることになる、こう言っている。これは実態がそうなると言っている。

総理がいくらですね、「自衛隊は独立した指揮系統」と言って何の保証もないんじゃないですか。保証言ってみてください。



岸田

あのー反撃能力についてご指摘ありましたが、反撃能力そのものについても、これは日本の国民の命や暮らしを守るために日本国憲法の範囲内で、国内法の範囲内で対応するものであります。その外に出るものではまったくありません。

そして、その上で米国の情報に頼ることが大きいから結局引きずられるというご指摘ありました。これ、情報の共有、これはもちろん大事なことでありますが、少なくとも日本の自衛隊の行動、これが憲法の外に出るとか、平和安全法制の外に出る、こういったことは決してあってはならない、これ当然のことであります。

そうした日本の立場や考え方、あるいは制限については、これまで日米の間でガイドラインの作成等を通じて再三確認をしています。その範囲内で日本は行動する、これは今後も変わることはないと考えています。



志位

結局ですね、あなたは独立した指揮系統でやるんだと、建前言っているだけなんですよ。私が聞いたのはその実態的保証なんです。保証については言えない。

朝日新聞の取材に答えて現役の自衛隊幹部はこのように言っています。

「共同作戦の実行では米軍の圧倒的な監視偵察能力、装備に頼らざるを得ず独立した指揮系統では日本は動けない。今後は独立した指揮系統という岸田答弁がネックになる

ここまで言い切っている。

あなたの答弁通りやったら自衛隊動けない。ですからね、独立した指揮系統の保証などどこにもないんですよ。


さらに進めたいと思います。
政府は敵基地攻撃とミサイル防衛を同時に行う統合防空ミサイル防衛を推進するとしています。パネルご覧ください。これは米インド太平洋軍が2018年に発表したIAMDビジョン2028の概要であります。


ここでは米軍のIAMDの基本方針として「米インド太平洋軍は自由で開かれたインド太平洋を維持するために自由な作戦行動と戦力の投入を可能にするよう高い能力を持つ同盟国とシームレスに統合する能力を備え、あらゆる航空ミサイル脅威から重要な基地と機動部隊、遠征部隊を防衛する」こう明記しています。

総理は日米首脳会談で「シームレスな統合を可能にすること」を確認してきたとおっしゃいましたが、自衛隊が進めるIAMDは米軍のIAMDとシームレスに統合するということになる、ということですね。



岸田

えー、この米軍のIAMDですが、これ名称は似通ってますが、我が国の統合防空ミサイル防衛能力、これはまったく別物であります。我が国の統合防空ミサイル防衛能力は米国の要求にもとづくものではなく、また米国が推進するIAMDとは異なる我が国主体の取り組みであります。
その上で自衛隊のすべての活動、先程来申し上げておりますように、日本国憲法、平和安全法制、こういった国内の法令に従って対応していきます。

それでも引きずられるのではないか、こういったご指摘でありますが、これ法令上、自衛隊の最高指揮官は日本国の総理大臣であります。総理大臣がこうした指揮官としての責任をしっかり果たしていく、その中に憲法の範囲内で平和国家としての構えの中でしっかりと対応していく、これ当然のことであると考えています。



志位

あの、総理は日本のIAMDと米国のIAMDはまったく別物だとおっしゃったけど、今、示したように「シームレスに統合する」と米側が言ってるわけであります。ここに米空軍が発行している航空宇宙作戦レビュー持ってまいりました。ここにはIAMDビジョン2028についての公式の解説が載っております。筆者は米軍太平洋IAMDセンター所長のサべージ大佐であります。そこでは「IAMDの能力を米国が単独で高めるのは実行不可能だ」と述べた上で「インド太平洋軍の広大な管轄では同盟国やパートナー国が絶対に不可欠であり、地域の同盟国とシームレスに統合をするというビジョンは新しいビジョンの革命的な側面だ。」と力説しております。

総理がいくら別物だと言っても、連携相手の米軍はシームレスな統合が絶対に不可欠だと言ってるわけであります。そしてこの米軍文書は「シームレスな統合とはすべてのプレーヤーすべてのコーチが同じプレーブックを持ち互いの動きやルールを熟知し首尾一貫して効果的に訓練し一緒に作戦を実行する。プレーヤーとコーチは混ざり合い一緒に訓練し敵からは準備の整ったひとつのチームとして見られる」と述べております。

つまりIAMDを実施しようとすれば米国と同盟国とのシームレスな統合が絶対不可欠となり、プレーヤーつまり各国部隊とコーチ各国指揮官が混然一体となって作戦を遂行する。米国と同盟国との指揮統制が一体になる、と。これ米側の公式文書ですよ、いかがですか。



岸田

あのー、シームレスな統合を可能にする、シームレスな統合、という言葉が使われますが、これは日米が共同対処を行う場合に様々な領域で作戦や能力を行うわけですが、それが切れ目なく緊密に連携させる、えー連携していく、このことが重要であるということを申し上げているわけでありまして、指揮統制が一体化するとか、相手の指揮統制の下に入るとか、そういったことを申し上げているわけではありません。

いずれにせよ、この連携を深めながらも我が国の行動が我が国の憲法をはじめとする平和国家としてのこの枠組みの外に外れるというようなことはあってはならないわけでありますし、それを最後しっかりとグリップするのが日本国の総理大臣の責任であると考えています。



志位

指揮統制がどうなるか、一体化するわけではないということを繰り返すわけでありますが、この米軍文書は非常に明朗に書いております。

 



「シームレスな統合とは米国の国防総省が進めている統合全領域指揮統制というシステムにインド太平洋地域のすべての同盟国を組み込む」ものだと述べられております。

統合全領域指揮統制とは陸海空、宇宙、サイバー、電磁波などすべての領域の情報を一元的に統合し「攻撃すべき目標」と「最適の攻撃手段」を迅速に決定する指揮統制のシステムであります。

そしてこの米軍文書は広大なインド太平洋地域においては域内のすべての同盟国をこの統合全領域指揮統制システムに組み込む必要があるとはっきり述べております。

更に重大なことは「そのためには同盟国に主権の一部を切り離させる。政府をあげてのアプローチが必要だ」とまではっきり明記してございます。

総理、これが米軍の言うシームレスな統合ですよ。米国防総省が進めている指揮統制のシステムに文字通り自衛隊を統合し、日本の主権までアメリカに差し出す、こうした方向に進むことを日米首脳会談であなた合意してきたんじゃないですか。そういう自覚ありますか。



岸田

統合領域指揮統制についてご指摘がありましたが、米国務省が作戦環境について共通理解を得る観点からミッションパートナーとの間で指揮統制システムとの統合が理想であると述べているものの、統合領域指揮統制について、これ統合を目的として開発したものであるとは承知しておりませんし、具体的な内容、これは明らかになっておりません。この評価について申し上げることは出来ませんが、いずれにせよ、この日本として主権国家として安全保障を考えた場合に日本のこの平和憲法、この外側にはみ出るなどということは決してあってはならないと思っていますし、それをしっかり管理することこそ政府の大きな責任であると考えています。



志位

米国の側は統合全領域指揮統制システムにすべての同盟国を組み込むんだとはっきり言ってる。

今日、私は自衛隊は独立した指揮系統というがその保証はあるのかと何度も聞きました。あなたはひとつの保証も示せなかった。建前を言っただけであります。自衛隊は事実上米軍の指揮下に置かれることになります。そしてこれは紛れもない憲法違反であります。そして日本の国の独立をかなぐり捨てるものです。今、日本が進むべき道は軍事的対応の強化の道でなく、東アジアの平和を構築するための憲法9条を生かした平和外交にこそあります。

 

 

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遅くなったけど、こういうのが絡む話だからどうしても文字にしておきたかった。

 

 

 

 

 

 

 

岸田は自衛隊の最高指揮官は日本国総理大臣と繰り返していますが、その総理大臣がアメリカの三下という自覚はないのか言いたくないのか…やたら主権国家を繰り返すのもねぇ…

 

岸田の様子だとなんも知らんでアメリカ様がくれた原稿を読んでたのかなぁという気が。

 

 

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