俳優・寺田 農(てらだ・みのり)さんが14日にお亡くなりになりました。
映画「冬の華」で裏切り者の役を演じ、ラストに高倉健さん扮する兄貴分を刺そうといて逆に刺殺されるシーンが妙に心に残ります。
寺田さんは時代劇にもたびたび出演された俳優さんで、「剣客商売」の加藤剛版では『妖怪小雨坊』で奇怪な容貌の悪役・小雨坊を、藤田まこと版では『手裏剣お秀』で病気がちな道場主・杉原左内を善役で演じておられました。
awakinにとって時代劇と言えば「木枯し紋次郎」ですが、寺田さんは第2シリーズ第6話『女郎蜘蛛が泥に這う』にマザコンの盗人・煙の千代松役で出演されています。
「木枯し紋次郎」で親子を演じる北林谷栄さん(右)と寺田農さん
この回、放映が昭和47年(1972年)12月ですから、このとき寺田さん30歳、北林さん61歳で、年齢的には無理のない配役と言ってよいでしょうか。
北林さん演じるお甲はとんでもない悪女で、寺田さんが演じる千代松は悪親に仕込まれて悪行を重ねる盗っ人という役どころですが、紋次郎に関わった人間はみんな死んでしまう回が多いのに、このふたりは生きたままラストシーンを迎えるのは珍しいと言ってよいでしょうか。
あとこのお二人、後年に奇しくもジブリのアニメ映画で声の出演をされています。
「天空の城ラピュタ」・ムスカ大佐
有名といえばあまりにも有名なシーン、主役のふたりが滅びの言葉を唱えたことで現れた閃光を浴びて。『目が~!目が~!』
ほかにも『人がゴミのようだ。』があり、心の奥底にいつまでも残る寺田さんのセリフです。
「となりのトトロ」・カンタのばあちゃん
『め~い~ちゃ~ん!』は万人の心に残るセリフでしょうか。
トトロではこれ以上ない?善人を演じておられますが、「木枯し紋次郎」ではこれほどの悪い女は天保と言う時代が生んだとしか思えないというくらいの悪役を演じておられます。
息子を奪って自分を捨て去ろうとするお勝を絞め殺すときの、鬼気迫る演技には圧倒されてしまいますが、この名老け役の俳優さんについては、後日あらためて取り上げたいと思うところです。