特捜刑事マイアミバイス、東京では1986年から1988年の間地上波で夜9時からのゴールデンタイムに放映されていたそうですが、地方都市の広島では土曜の深夜11時台に放映されていたために殆ど話題にならなかった米国の刑事ドラマです。

 

当時20代だったawakinは、クルマにゴルフ、ギャンブルに現を抜かすノー天気な若者でしたが、当地ではカーグラTVに続いて放映されていたこのマイアミバイスを毎週楽しみにして観ておりました。

 

きょうはそのマイアミバイスの数あるエピソードの中から、好きなエピソードのひとつ、『El Viejo』を取り上げてみたいと思います。

 

米国では1986年11月に放映された『El Viejo』、スペイン語で老人という意味の題名ですが、カントリー歌手で俳優でもあるウィリー・ネルソン扮する老保安官が、ボリビア人の麻薬業者に殺された同僚の息子の仇を討とうとする物語です。

 


左の人物がウィリー・ネルソン、元テキサスレンジャーの大尉だった経歴を持つ老人です。右の髪を引っ張られて苦しんでいる色白の男は、麻薬の売人役で出演しているスティーブ・ブシェミ、彼はこのあと映画『アルマゲドン』や『コン・エアー』、『アイランド』で個性的な役を演じ、顔なじみの俳優さんと言ってよいでしょうか。

 

『山野楽器で、ニューカントリー歌手のウィリー・ネルソンが唄ったスタンダード・ナムバーのカセット三つを買う。ネルソンは三年ほど前に【忍冬の花のように】という映画で、すばらしい主演をしめしたっけ。』

                 (『池波正太郎の銀座日記』 どんどん焼き)

 

ウイリー・ネルソンの本業はカントリー歌手で、池波正太郎さんも深夜にウォークマンで彼の歌を聴きながら筆を進めておられたかもしれないと思うと、池波ファンで彼の作品のほとんどを読んでいるawakinは嬉しくなってしまいます。

「忍冬の花のように」は1980年7月公開の映画なので、作家が日記に記したテープを買った日は1983年のある日で、それはウイリー・ネルソンがマイアミバイスに出演する3年前ということになります。

 

公道上でボリビア人の殺し屋に命を狙われるソニー&タブス

 

日本の刑事ドラマと違い、本物の銃撃戦が楽しめるマイアミバイスです。

『El Viejo』では、フォードバンの固定座に据えつけたM-16を殺し屋が撃ちまくるという斬新?な演出が楽しめました。

 

このエピソードには矛盾点があって、シーズン3の1作目『When Irish Eyes Are Crying』で兵器の密売業者にバズーカ砲でブッ壊されたはずの黒のフェラーリ・デイトナが復活して登場します。(上の写真でソニーが運転しているクルマ)

というのも当初はシーズン3の初っ端に放映されるはずだった『El Viejo』が、ギャラ等の諸問題で完成が遅れ、エピソードの実行順序が変更されたために連続性の混乱が生じたということです。

 


エピソード中、老保安官はボリビア人たちと渡り合うための資金を得るために、レンジャー時代に使っていた博物館級に旧いコルト・ピースメーカーを100ドル札20枚=2,000ドルで質入れします。

 

当時のレートは1ドル180円程度ですから、日本円で約36万円となるでしょうか。

 

この資金で老人は洋服を買い、エクセルシオールホテルに部屋を取るわけですが、写真はそのときの領収書、赤線で囲っている部分は生年月日で、老人は5-30-20と記入しました。つまり1920年5月30日生まれということで、1986年撮影の作品ですからこのときのウイリー・ネルソンは66歳の男を演じているということになります。

 

ただし撮影時の俳優の実年齢は53歳だったそうで、その意味ではウィリー・ネルソンはフケ役を演じていたと言ってよいでしょうか。

 

日本であれば加藤嘉さんが有名ですがこの方もとても好きな俳優さんで、見識が深まるとともにマイアミバイスがますます興味深い存在になると思うのです。