朝のニュースを見ていると、東京の中野サンプラザホールが50年の歴史に幕を下ろしたそうです。

 

中野サンプラザホールというと、東京で暮らしていた学生時代にコンサートを聴きに、新宿にあった厚生年金会館とともに何度も訪れた懐かしい場所でした。

 

建物が壊されてしまうと景色はすぐに昔のものとなり、そのうちに忘れてしまうことも多いですが、そんな景色はほかにもあって、東京だと現役のころ出張で利用していたホテル『ザ・キャピトルホテル東急』もすでになく、夕陽が射し込んでいた古びた部屋の印象が記憶の中にあるだけです。

 

そんな自分のあたまの中にだけに残る風景は、広島にもいっぱいあります。

 

今日はそんな記憶に残る風景をちょっと探してみたので、載せてみたいと思います。

 


三篠にあったカープの合宿所「三省寮」(撮影日:2009.12.19)

小学4年生のころ近くの公園で遊んでいると、寮生だった山本浩二さんや衣笠さんがポロシャツを着て歩いてきて、二言三言会話したのを覚えています。寮は2011年9月に解体され、今は新球場用の芝生を養生する場所になっています。

 


横川にあったおもちゃ屋「村上玩具店」(撮影日:2010.1.18)

 

鉄人28号の巨大フィギュアが眩しかった老舗のおもちゃ屋でした。やはり小学生のころ、当時千円だったモノポリーを誕生日のプレゼントで親に買ってもらったとき、店の人が脚立に上って高いところから降ろしてくれたモノポリーを、手渡しで受けとったときのドキドキ感は忘れがたい想い出です。

 


鞆の浦にあった喫茶店「花宇宙・鞆工房 友光軒」(撮影日:2012.2.4)

 

寒い寒い冬の日、鞆の浦を家内殿と散策していると、身体が冷え切ってしまい休むところを探しているとお店に灯りがついているのが見えたのです。客はわれわれだけで店主の女性としばらくの間談笑させて頂きました。長く東京で暮らし、故里に帰ってきたと仰っていたその女性に再びコーヒーを淹れてもらおうと3年後に訪ねると、お店はすでに閉じていて、女性が亡くなられたことを知ったのでした。

 

鷹野橋にあった映画館「サロンシネマ」の階段(撮影日:2014.7.13)

 

こんな雰囲気の映画館は昔はいっぱいありましたが、今は映画が終わるとトコロテンように追い出されるシネコンばかりで風情がありません。おまけにコロナでほとんど映画館に足が向かなくなりましたが、このときはサロンシネマの「さよなら興行」、たしか上映されたのは黒澤明監督の『用心棒』だったでしょうか。