昭和の初め、かの牧野富太郎さんがその群生を見て感激し、自ら着ていた白シャツに擦りつけて摺衣にしたという芸北八幡のカキツバタが咲く季節です。

 

家族と一緒ののんびりドライブの途中立ち寄ってみました。

 


『広島蓬旅館を出て大学演習地に向う途中、カキツバタの自生地を過ぐ、今正に花盛りにて、遅からず、早からずという有様なり。』

牧野博士はカキツバタの群生に出会った日の日記にこう書かれています。

 

上の写真は昔の上田郷で撮られたもので、今では保存民家が1軒と復元された建屋が1軒残るだけになった中門造りの民家とともに、満開のカキツバタが写っています。

 

言わば伝説的な風景というわけですが、残念ながら上田郷の自生地は八幡川の直線化や乾田化のための川床の掘削など開発が進んだ結果、昭和の終わりには天然記念物の指定が取り消されてしまうほど衰微してしまいました。

 


花を咲かせたカキツバタ(撮影日:2023.5.17)

 

現在は町内の数か所で保存されていた株を元にカキツバタ畑が作られていて、この時期にはいっぱい花を咲かせて目を楽しませてくれます。

 

ただこちらは影がなく日中は暑いので、とくに平日は誰もいません。

 

風景独り占めというわけですが、たまたま居合わせたダイサギにピントを合わせてみました。